家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫

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第37話

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「あいたたたっ!」


また同じ攻撃を食らわないように、俺は急いで縛ってあった炎の輪を力ずくで吹き飛ばし、足元の氷を殴って割った。

それと同時に再び、浩美からヒールが届いた。今度は非常にありがたい!



「何故だ!今の攻撃を受けて、何故死なないのだ!?」


答えは簡単だ!昨日のタークの闇魔法で多少なりとも痛みを感じた俺は、昨日のうちに魔法耐性と物理耐性を極端に上げたのだ!

家族を守れずに、死にたくないからね!


戸惑ってるとこ悪いが、みんな隙だらけだ!!


俺は体が自由になると同時に、固まっていた精霊使いたちを次々と撃ち抜いた。アイルが正気に戻って、慌てて指示を出す頃には2人の精霊使いが倒れることとなった。


「直ぐに身を隠すんだ!!」


ここでさすがに森の木の裏に身を隠されてしまった。
残るは3人…





アイルは困惑していた。

アイルは250年前自分の掟破りのせいで起きた戦いで、あまりにも多くのものを失った。父と母、多くの友人たち、200人を越える街の人たち。

また大切なものを失うことを恐れ、自らを厳しく律し、努力を重ね、アイルはかつて人間と戦った時よりはるかに強くなっていた。他の精霊使いも人数こそ少ないが、その分余計に鍛え上げていた。

少数精鋭…この言葉がしっくりくる素晴らしい仲間たちであった。



それがどうだ…たった1人の人間を相手に既に4人もの命を失ってしまった。


「アリー、ターク、フレイ、ナーム…」



あの男は何者なのだ?

かつて戦った人間たちは精霊使いの魔法を防ぐ方法などなく、次々と死んでいった。使う武器は似たようなものを使ってるので、奴らの仲間であることは間違いないだろう…

しかし、それにしては強すぎる!!どうすれば奴を殺すことができるのだ!?



「族長、一旦引きましょう!!奴は我々3人だけでは倒せそうにありません。」


「ハルフ、ミール…確かに奴は強い!そして、不死身にも感じるほどの打たれ強さだ!しかし私たち3人が力を合わせれば、まだ奴を倒す方法はある!!」


「本当ですか?」


「多少…無理をさせるが聞いてくれるか?」


「「もちろんです!共に皆の仇をとりましょう!!」」




 残る3人の精霊使いは一ヶ所に集まって動かない。


「もう諦めて帰ってくれ!俺はできれば、ユウナさんの父親を殺したくない!」


これまでアイルを狙わなかったのは、この為だ。

司令塔を潰せば、有利になることは分かっていた。そして、人間に対してあそこまでの強い憎しみや嫌悪感を持つアイルを殺せば、もしかするとエルフと今よりは話し合いの場を設けることも可能となるかもしれない。


そこまで分かっていても尚、ユウナさんの目の前で父親を殺したくない!と考えてしまう俺は甘いのだろうか…?


しかしここで引いてくれなければ、さすがに殺さない訳にはいかなくなるだろう…頼む、ここで引いてくれ!!



願いは虚しく、森の方から風の刃の魔法が放たれた。
俺はため息を吐きたい気持ちを抑えて、身構えた。

しかし、風の刃は俺のことを無視するように奥へ飛んでいく。


「ママ、風の刃がそっちに向かってるぞ!気を付けろ!!」


「これくらいなら、平気よ!」


浩美のライトシールドが、風の刃を防いでいく。


そこへアイルの声が響いた。


「そんなところでのんびりと見てていいのか?家族を見捨てるのか?」


「見ての通り、あのくらいの攻撃は防いでくれるからな!」



「きゃー!」


「何、この氷!!アイススケートみたい。」


「こ、これはお父様の氷の魔法です!しかし…こんなに広範囲を凍らせてもダメージを与えることなど不可能な筈なのですが…」



「私の魔法で、お前の家族は掴まれる物は全て凍りついている!ここに大量の水が押し流したらどうなる?あの崖から落ちても、お前の家族は平気なのかな?」



 その言葉通り、家族の上空には凄まじい水が生成されていっていた。あれが放たれれば家族は崖の下へ落下する恐れが高い!


「卑怯だぞ!!それにあそこにはあんたの娘のユウナさんもいるんだぞ!」



俺は家族の元へ全力で駆け出した。


「みんな早く崖から離れるんだ!!」


「駄目なの…この氷、すっごく滑るの!なかなか思ったように進めないの!!」


浩美の慌てた声が返ってくる。



 俺がみんなのところへ辿り着いたタイミングで、上空の水が無惨にも放たれる…完全に俺ごと狙ってやがる。


さらに崖に向かって強烈な風が吹き荒れ、俺ですら簡単にはこの氷ゾーンから逃げ出すことが困難な状況になっていた。


「くそっ!」



俺はこの状況を打破する策を捻り出そうと、頭をフルで動かすが、どの方法も時間が圧倒的に足りない!!!




 その時、俺だけでなく、この状況を絶望しながら見ている者がいた。

それは精霊のムーである。


彼は1000年以上もの長きに渡り、孤独であった。そして無能である自分には幸せなどくる筈もない…と全てに対して諦め生き続けてきた。


そんな彼を能力など関係ない!ただ家族として居てくれるだけでいい!…と受け入れてくれたトモヤたち家族。

言葉だけてなく、惜しみ無い愛情と温もりを与えてくれていた。
ムーは生まれて初めて心からの幸せを感じていた。


まだ出会って何日かしか経っていないが、ムーにとってこの家族は、本当に大切な存在となっていたのだ!


この時ムーは本気で、この家族を救えるのならば自分の命など要らないとまで考えていた。


その気持ちが奇跡を起こした!


ムーが突然、目映く光り輝き出したのだ。



「ムー?一体何が起きてる?」


「トモヤ!何故だか分からないけど、トモヤの家族を守りたいと思ったら、力が溢れてきたよ!!一緒にあの水をどうにかしよう!!!」


「あの水をどうにかできるのか?どうすればいい?」


「分からないけど、僕を信じて…時間がない!!」


「分かった!」



俺がムーと「あの水をどうにかしたい」と心を一つにすると、俺の中でムーが一体化したような感覚を感じ、何かが起きた!


その瞬間、奇跡は起きた!!



上空から勢いよく流れ落ちてきていた大量の水が、目の前から消え去った。


そう!蒸発するわけでも吹き飛んだ訳でもなく、跡形もなく消え失せたのだ!!

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