金の野獣と薔薇の番

むー

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プロローグ

遠い約束

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オレには7歳より以前の記憶がない。

目覚めたら病院のベットにたくさんの管に繋がれて寝ていた。

順調に回復して管も点滴のみになったある日、記憶をなくしたのは事故で頭を強く打ったからだと教えてもらった。

オレを知る人のおかげで、自分の名前が"結季ユウキ"であると知った。


記憶がないことに始めは不安ばかりだったが、1ヶ月も経つと諦めがついた。
記憶を失ったのは、心を守るためだと言ってくれたからだ。
だから、長い人生の内の約7年間の記憶と引き換えに命を得たと思うことにした。
そう考えないとたぶん辛い。

体の傷が癒えた頃、オレの名を教えてくれたその人が、行き場のないオレを家族として迎えてくれた。
家族は皆優しく、他人のオレを本当の家族として受け入れ愛してくれた。
オレは幸せだったーー。

でも夢の中のオレは、記憶から消えた両親をいつも泣きながら探している。
そんな夢の中に現れ慰めてくれる男の子はオレを優しく抱きしめ必ず約束を交わす。
何度も夢の中で会っているのに顔も名前も思い出せないその子との大切な約束。

「また逢えたら……」

たぶんそれは、オレが記憶を無くす前、


遠い日の約束。

__________________

今回は結季がメインの話です。

4/20から、1日2回の更新で進めていく予定です。
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