至高のオメガとガラスの靴

むー

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番外編/後日談

後日談:レア・アルファ

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アカリちゃんと番になってから1週間経った頃、僕とアカリちゃんはお父さんに呼ばれた。
そこには、お母さんと蒼さんと百合たまゃんもいた。

❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎

「レア・アルファって何?」

アカリちゃんは初耳だったようで、「何のことやら?」と首を傾げた。

「レア・アルファとは特殊な能力を持つアルファのことだ。アルファの中でも1%しか存在しない特別な種で、その特徴は瞳に出る」
「瞳……あ……ヒロの左目」

アカリちゃんの言葉にお父さんは頷く。

「ヒロのその赤い瞳がレア・アルファの証だ。そして、俺もレア・アルファだよ」

お父さんは眼鏡を外してアカリちゃんに瞳を見せる。
僕は前に一度見たけど、赤みを帯びた瞳はやっぱりよく見ないと気付くことはできなかった。

「あ、本当だ」
「ヒロほど綺麗な赤じゃないけど…。まあ、そのおかげで気付かれることはない」

驚くアカリちゃんに、ふふっと笑って眼鏡をかけなおしたお父さんは話を続ける。

「レア・アルファは遺伝でしか現れないから、数が少ないんだ。瞳の色も大体は二十歳を過ぎた頃に発現する。だが、ごく稀に"運命の番"に出会った時に発現することがある。ヒロは生後3日で発現した。アカリちゃん、どういう意味か分かるよね?」

生後3日。
初めてアカリちゃんに会った日。
チラッと隣にいるアカリちゃんを見るとポカーンとした顔をしていた。

「……ボクがヒロの"運命の番"?」
「正解」

数秒の間の後「キャー!」とアカリちゃんが抱きついてきた。
お父さんの後ろで、お母さんと百合ちゃんもなんか盛り上がってる。
蒼さんがコホンと咳払いをすると静かになった。

「レア・アルファは瞳の色によって能力が異なるんだ。俺とヒロの瞳の赤は『縁』だよ」
「えん…」

赤い糸、みたいなものかな?

「アルファとしての能力は高いのは勿論、赤い瞳のレア・アルファは『近者に富と栄誉を与える』と謂れていて、ベータ・オメガ問わず、そばに居る者に影響を与えて能力を引き上げるんだよ。俺の場合は蒼、貴美、百合ちゃんがそれに当たる。まあ、元々能力が高い3人だから影響してるかはいまいち不明だけど」
「僕の場合は……マサキとトーマ?」
「アカリちゃんもだよ。あの華麗な蹴りはヒロの能力で引き上げられたんだと思う」
「やっだー透くん、褒めないでよぉー」

や、アカリちゃん、たぶん褒められることではないよ。
あと、僕の背中バシバシ叩かないで。痛い…。

「レア・アルファの存在はかつて戦争をも引き起こした時代があったらしい。ああ、あと、レア・アルファの瞳欲しさに眼球を抉り取る事件もあったそうだ。特に子供のうちに発現することは珍しく、その瞳は宝石のように美しいから現代でも欲しがる人がいるとか……これは噂だけど……」
「「あ…」」

僕とアカリちゃんは同時にあの日のことを思い出した。
僕たちを誘拐して捕まらなかったあの男は、レア・アルファを知っていた。
だから僕を貰うと言ったんだ。

「あと、大事なことがひとつ」
「大事なこと?」
「レア・アルファの番契約は特殊なんだ。学校の授業で受けただろう。番契約は、オメガの発情期にアルファと性交渉中に項を噛まれることで成立すると」

コクンと頷く。
その日僕は風邪で休んだから、アカリちゃんが教えてもらったけど。

「だが、赤い瞳のレア・アルファの場合は全ての理を無視して項を噛んだ相手を無条件で番にできるんだよ。バース問わず、な」
「バースを、問わず…」
「貴美は俺の番だよ」

驚いてお母さんの顔を見ると、クスッと笑って頷いた。

「ヒロとアカリちゃんの場合は仮契約になっちゃったけどね」と、お母さんがウインクした。

「仮契約って?」

アカリちゃんと僕は首を傾げる。

「あの時、ヒロくんの犬歯、まだ一本しか生えていなかったのよー」

百合ちゃんがそう言い、ふふふっと笑った。

アルファの歯は、左右に鋭い犬歯が生えている。
それがオメガの項を噛んだ時に食い込んで痕を残すのだ。
アカリちゃんの項を噛んだ一歳の僕の歯はまだ数本しか生えてなくて、犬歯に至っては一本しか生えてなかった。
それが中途半端な番契約になって、発情期を迎えたアカリちゃんを苦しめたのだと…。

「アカリちゃん、ごめんね。僕のせいで…」
「そんなこと言わないで。それに…これがボクを守ってくれたんだよ」
「アカリちゃん…」

アカリちゃんは僕の手を取って項に当てた。
そこには触れれば見なくても分かるほどくっきりとした凹凸があった。
一歳の僕が付けた痕は上書きされてもうない。今の僕が付けた証だけだ。

「あ、そういえば。アカリちゃんの発情期の時、いつもと違う匂いがしたんだ」

それを伝えると、百合ちゃんが口を開いた。

「ああそれは、お祖父様の血かしら」
「お祖父ちゃん?」
「そっ、アカリからみたらひいお祖父様ね。あそこの実家のオメガも特殊らしいのよ。アカリの匂いはその血のせいかもしれないわね…。その血のせいでアカリの発情期のフェロモンってちょーっと刺激が強かったのよ。だから、数日間は誰にも会わせられなかったし、匂いが弱くなるまで大体1週間はお休みにしたの」

百合ちゃんの話に、アカリちゃんと僕は「ほへぇ」となった。

「えっ、それじゃあ、アカリちゃんの発情期は1週間じゃないの……?」
「ふふっ、肝心なこと言ってなかったわね。アカリの発情期はキッチリ5日間よ」
「……あっ、そっかぁー」
「そうよ」
「「うふふっ」」

その意味を理解したアカリちゃんは百合ちゃんは笑い合ってたけど、僕にはまだよくわからなくて首を傾げたままだった。


「ヒロ。答えづらい質問していいか?」
「うん?」

お父さんがズレた眼鏡を指で押し上げながら聞いてきた。
みんなの顔がちょっとニヤニヤしてて、ものすごく聞くのが怖い。

「アカリちゃんが一城可那斗に項を噛まれた日、ヒロもしただろ」
「えっ、えっ、そ、それは…」
「うん、ヤったよー」

真っ赤になって狼狽える僕に対して、ケロッと答えるアカリちゃんに、僕の頭は爆発しそうだ。

「百合ちゃんが言うように、アカリちゃんの発情期が5日間だとしたら、ヒロとした時にアカリちゃんの発情期終わったと考えられる。だから、一城可那斗に項を噛まれても番にはならなかった。……そう認識したけど合ってる?」

すごく大事な話なのに、僕とアカリちゃんとのエッチに気付かれて、僕はパニックでお父さんの話が耳に入らない。
キョロキョロする僕の視界にうんうんと頷くアカリちゃんと百合ちゃんが辛うじて入った。

「使われた薬も誘発剤ではなく媚薬だったのも幸いだったよ。でなければ、番契約を『上書き』されていたかもしれないしね」

ビクッと僕とアカリちゃんの肩が跳ねる。
それだけ脆い契約だったんだ。

「アカリが一時的にヒロくんの匂いが分からなくなったのは精神的なものからよ。心を守るために無意識に匂いを遮断したんだと思う。それほどアカリは辛かったのでしょ…?」
「…そうか……うん……辛かった…すごく….」

アカリちゃんは僕に抱きついたから、僕はその背中をさすった。

「あと、もうひとつ」

しんみりした空気を明るいお父さんの声が容赦なくぶち壊す。
お父さん、空気読んで。

「ヒロの成長の伸び悩みだが……。これはあくまで仮説の話だが……。子供の頃にアカリちゃんに項を噛まれたのが原因だと考える。番に項を噛まれたことでヒロのアルファとしての成長を止められた。こう、蓋をされたようにな」

お父さんは手で蓋をする動きをする。

「でも、アカリちゃんと番になった今、その蓋はなくなったはずだ。これからヒロはアルファとして一気に成長するだろう」

それは、僕が外見も中身もアルファらしくなるということだろうか。
もっと身長が伸びるのかな?
それならちょっと嬉しいな。

「あらあら、そうなったら、ヒロくんモテちゃうわね。どうする、アカリ?」

手を頬に当てて困ったポーズをする百合ちゃんに、僕に抱きついてたアカリちゃんは俯いたまま震える。

「そんなの……」
「アカリちゃん?」

地を這うようなアカリちゃんの声に不安しかない。

「全部蹴り飛ばすに決まってるでしょぉぉ!」

それはダメー!

__________________

修正が中途半端になりました。
落ち着いたら直します。

そのせいもあり、めちゃくちゃ詰め込んだ話になってしまいましたが、私が設定したヒロの話になります。
『レア・アルファ』とか安直な名前ですが、ヒロの赤以外も設定はあります。
それは別の話で考えている設定になります。

そして、アカリが一城可那斗の番にならなかったカラクリになります。
これは、ヒロやアカリの視点からでは説明出来なかった部分でもあります。
ちょっとこちらのご都合展開で申し訳ないです。(アカリの項に可那斗の歯型残したくなかったので……)

あと、すみません。
最後、ちょっとふざけた感じになりました。
これで、後日談は終わりです。
この後、番外編を3つあげます。
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