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第十話 ジル
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「カリーナ、どうしますか?」
アイは、この状況をどう打破するのかをカリーナに問うた。
「任せて」
カリーナは不敵に笑うと、階段を堂々と降りていった。
――――(カリーナ視点)
階段を降りると、そこには屈強な二人の男を後ろに控えさせた、小太りの男が立っていた。脂ぎった顔に、無駄に装飾のついた高価そうな服が鼻につく。
「そこの女! 何勝手に建物に入ってる!」
男は唾を散らしながら怒鳴りつけてきた。
「ジルって人に用がありまして……」
「私が! この商会の副会長のジルだ!」
(……この人がジルなのね……)
「あなたがジルなのね。それなら良かった! 単刀直入に聞くけど、盗賊団のアジトを教えてくれない?」
ジルは分かりやすく大きく動揺を見せる。
「な、な、な、盗賊団だと!? し、知らんぞ、私は!」
「残念だけど、昨日、あなたのお仲間がポロッと吐いちゃったんだよね」
カリーナは動揺しているジルを哀れみの目で見つめた。
「や、やれ! お前ら! こいつを捕まえろ!」
ジルは、裏返った声で後ろに控えさせた男たちに命令を飛ばす。
男達は、カリーナを捕まえようと左右から飛びかかる。
「バレバレなのよ、初めから!」
カリーナは拳を握ると、その男二人をまとめて殴り飛ばした。
ドゴォン!
男たちは壁に叩きつけられ、白目を剥いて呆気なく気絶する。
「さてさて、お話を聞かせて頂戴、ジル」
腰を抜かし、後ずさるジルに優しく微笑んで近づいた。
「ひ、ひぃぃ!」
突然、ジルは懐から白い球を取り出すと、それを地面に叩きつけた。
ボンッ!
「ゲホッ、ゲホッ!」
球から猛烈な勢いで白い煙が溢れ出し、煙で視界が遮られた。
「めんどくさいことをするわね!」
煙を腕で払いながら悪態をつく。
(大丈夫、入り口の扉が開く音は聞こえない。まだ近くにいるはず)
しかし、煙が晴れた頃には、ジルの姿は跡形もなく消えていた。
◆◇◆◇
「みんなー! ちょっと降りてきてー!」
下からカリーナの声が聞こえてくる。
「さっきの音、何だったのですか?」
カリーナを心配していたアイが、すぐに階段を降りてきた。
カリーナは、床で気絶している二人の男を指差した。
「あら……」
アイは瞬時に状況を理解した。
「なんだ、怪我でもしたのか?」
ブレイブが、浮かない顔をしているカリーナに聞く。
「怪我はしてないわ。それより、ジルが見つかったの」
カリーナは皆に伝える。
「どこだ? あいつらか?」
ブルーが倒れている男達を指差すが、カリーナは首を横に振った。
「さっきまでいたんだけど、煙幕を使って、この建物のどこかへ消えたわ」
「そういうことか。でもそれなら、二階には誰も来てないから、この狭い一階を探せばいいだけだな」
ブルーは気楽に言った。
「そうね。でも、どこに隠れたのよ?」
商会の一階は、入り口とロビー、そして受付カウンターしかなく、人が隠れられるような場所など見当たらない。
「あの受付のカウンターだとか棚だとか、全部どかせば、秘密の扉でも出てくるんじゃねぇか?」
ブルーが適当なことを呟く。
「どかすったって、どうやってどかすのよ。これだけの家具を」
「よし、任せろ」
ブレイブは、「待ってました」と言わんばかりに、腰につけた黒い球を手に握った。
「何よそれ」
カリーナが、その球について尋ねる。
「まぁ見てなって。……よし、みんな外に出てくれ!」
全員、外に出ると、ブレイブの所作を見守った。
ブレイブは、全員出たことを確認すると、黒い球を建物の中に放り投げた。
「ボン!」
ズドォォォォォォン!!!
轟音と共に爆風が巻き起こり、建物は内側から弾け飛んだ。屋根が吹き飛び、壁が崩れ、一階の床だけを残して全てが瓦礫と化した。木片が雨のように降り注ぎ、辺りに散らばった。
「いやぁ、派手に散ったな。これで探しやすくなった」
ブレイブは、満足げに笑った。
ゴッ!!!
「いてぇよ! 何するんだ!?」
ブレイブは、背後からアイにフルスイングで頭を殴られた。
「『派手に散ったぁ!』じゃないですよ! 建物を吹き飛ばすバカがどこにいますか!」
アイは怒りにプルプルと身を震わせていた。
「ほら、私の言ったとおりだろ、アイ。些細なことで怒ったってキリがないぞ」
サラマンダーは、我関せずと首をかいた。
アイは、一人進んで建物の跡地へ足を踏み入れた。
「さて、綺麗になったことだし、探すか」
ブルーとブレイブも、アイに続いて足を踏み入れた。
◆◇◆◇
木片をどかしながらしばらく探していると、カリーナが入り口付近で異変を見つけた。
「ちょっと来て! ここの床、全く焦げてないわ!」
カリーナの元に集まり、皆で確認すると、爆発にも耐え、煤一つついていない綺麗な木目の床がそこにあった。
「少し退いてくれるか?」
サラマンダーが、皆をそこから離れさせる。
ザン!
キィン!
サラマンダーはその床に向けて刀を一閃させた。
鋭い金属音が鳴り響き、床が真っ二つに割れる。
その下から現れたのは、地下深くへと続く暗い階段だった。
「探し物が出てきたぞ」
サラマンダーは、刀を鞘に収める。
「流石、サラマンダーね!」
カリーナは、サラマンダーの背中を叩いて、その階段を迷わず降りていく。
「ほら、行くぞ!」
ブレイブは皆に声をかけ、カリーナの後に続いた。
建物の地下には、蟻の巣のように幾つもの地下通路が延びていた。そして、通路の壁には、トグロを巻いた赤い蛇のマークが描かれていた。
「この通路を使って、色々な運送ルートに顔を出していたのでしょうね」
アイが地図と通路を見比べながら考える。
「どの道が正解だ? これ」
ブレイブは、ここ数日剃っていない髭をかいた。
「手分けするか?」
ブルーが提案する。
「おい、ブレイブ?」
ブルーは、何かモゾモゾと不審な動きをしているブレイブに目がいく。
「コインに聞いたところ、この道が正解だ」
ブレイブが自信満々に右の通路を指差した。
しかし、皆の反応は冷ややかだった。
「つまり、その道は絶対に不正解ってことですね」
アイはブレイブに冷たい視線を送った。
「いや、なんでだよ」
ブレイブは不満げに抗議するが、誰も聞いていない。
「とりあえず、手分けして探しましょう。ジルを見つけたら捕らえて。それ以外はいいわ。ジルは一人だけ服装が豪華だから分かるはずよ」
カリーナは皆に伝えた。
盗賊団を壊滅させる作戦が、地下迷宮で始まった。
アイは、この状況をどう打破するのかをカリーナに問うた。
「任せて」
カリーナは不敵に笑うと、階段を堂々と降りていった。
――――(カリーナ視点)
階段を降りると、そこには屈強な二人の男を後ろに控えさせた、小太りの男が立っていた。脂ぎった顔に、無駄に装飾のついた高価そうな服が鼻につく。
「そこの女! 何勝手に建物に入ってる!」
男は唾を散らしながら怒鳴りつけてきた。
「ジルって人に用がありまして……」
「私が! この商会の副会長のジルだ!」
(……この人がジルなのね……)
「あなたがジルなのね。それなら良かった! 単刀直入に聞くけど、盗賊団のアジトを教えてくれない?」
ジルは分かりやすく大きく動揺を見せる。
「な、な、な、盗賊団だと!? し、知らんぞ、私は!」
「残念だけど、昨日、あなたのお仲間がポロッと吐いちゃったんだよね」
カリーナは動揺しているジルを哀れみの目で見つめた。
「や、やれ! お前ら! こいつを捕まえろ!」
ジルは、裏返った声で後ろに控えさせた男たちに命令を飛ばす。
男達は、カリーナを捕まえようと左右から飛びかかる。
「バレバレなのよ、初めから!」
カリーナは拳を握ると、その男二人をまとめて殴り飛ばした。
ドゴォン!
男たちは壁に叩きつけられ、白目を剥いて呆気なく気絶する。
「さてさて、お話を聞かせて頂戴、ジル」
腰を抜かし、後ずさるジルに優しく微笑んで近づいた。
「ひ、ひぃぃ!」
突然、ジルは懐から白い球を取り出すと、それを地面に叩きつけた。
ボンッ!
「ゲホッ、ゲホッ!」
球から猛烈な勢いで白い煙が溢れ出し、煙で視界が遮られた。
「めんどくさいことをするわね!」
煙を腕で払いながら悪態をつく。
(大丈夫、入り口の扉が開く音は聞こえない。まだ近くにいるはず)
しかし、煙が晴れた頃には、ジルの姿は跡形もなく消えていた。
◆◇◆◇
「みんなー! ちょっと降りてきてー!」
下からカリーナの声が聞こえてくる。
「さっきの音、何だったのですか?」
カリーナを心配していたアイが、すぐに階段を降りてきた。
カリーナは、床で気絶している二人の男を指差した。
「あら……」
アイは瞬時に状況を理解した。
「なんだ、怪我でもしたのか?」
ブレイブが、浮かない顔をしているカリーナに聞く。
「怪我はしてないわ。それより、ジルが見つかったの」
カリーナは皆に伝える。
「どこだ? あいつらか?」
ブルーが倒れている男達を指差すが、カリーナは首を横に振った。
「さっきまでいたんだけど、煙幕を使って、この建物のどこかへ消えたわ」
「そういうことか。でもそれなら、二階には誰も来てないから、この狭い一階を探せばいいだけだな」
ブルーは気楽に言った。
「そうね。でも、どこに隠れたのよ?」
商会の一階は、入り口とロビー、そして受付カウンターしかなく、人が隠れられるような場所など見当たらない。
「あの受付のカウンターだとか棚だとか、全部どかせば、秘密の扉でも出てくるんじゃねぇか?」
ブルーが適当なことを呟く。
「どかすったって、どうやってどかすのよ。これだけの家具を」
「よし、任せろ」
ブレイブは、「待ってました」と言わんばかりに、腰につけた黒い球を手に握った。
「何よそれ」
カリーナが、その球について尋ねる。
「まぁ見てなって。……よし、みんな外に出てくれ!」
全員、外に出ると、ブレイブの所作を見守った。
ブレイブは、全員出たことを確認すると、黒い球を建物の中に放り投げた。
「ボン!」
ズドォォォォォォン!!!
轟音と共に爆風が巻き起こり、建物は内側から弾け飛んだ。屋根が吹き飛び、壁が崩れ、一階の床だけを残して全てが瓦礫と化した。木片が雨のように降り注ぎ、辺りに散らばった。
「いやぁ、派手に散ったな。これで探しやすくなった」
ブレイブは、満足げに笑った。
ゴッ!!!
「いてぇよ! 何するんだ!?」
ブレイブは、背後からアイにフルスイングで頭を殴られた。
「『派手に散ったぁ!』じゃないですよ! 建物を吹き飛ばすバカがどこにいますか!」
アイは怒りにプルプルと身を震わせていた。
「ほら、私の言ったとおりだろ、アイ。些細なことで怒ったってキリがないぞ」
サラマンダーは、我関せずと首をかいた。
アイは、一人進んで建物の跡地へ足を踏み入れた。
「さて、綺麗になったことだし、探すか」
ブルーとブレイブも、アイに続いて足を踏み入れた。
◆◇◆◇
木片をどかしながらしばらく探していると、カリーナが入り口付近で異変を見つけた。
「ちょっと来て! ここの床、全く焦げてないわ!」
カリーナの元に集まり、皆で確認すると、爆発にも耐え、煤一つついていない綺麗な木目の床がそこにあった。
「少し退いてくれるか?」
サラマンダーが、皆をそこから離れさせる。
ザン!
キィン!
サラマンダーはその床に向けて刀を一閃させた。
鋭い金属音が鳴り響き、床が真っ二つに割れる。
その下から現れたのは、地下深くへと続く暗い階段だった。
「探し物が出てきたぞ」
サラマンダーは、刀を鞘に収める。
「流石、サラマンダーね!」
カリーナは、サラマンダーの背中を叩いて、その階段を迷わず降りていく。
「ほら、行くぞ!」
ブレイブは皆に声をかけ、カリーナの後に続いた。
建物の地下には、蟻の巣のように幾つもの地下通路が延びていた。そして、通路の壁には、トグロを巻いた赤い蛇のマークが描かれていた。
「この通路を使って、色々な運送ルートに顔を出していたのでしょうね」
アイが地図と通路を見比べながら考える。
「どの道が正解だ? これ」
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「手分けするか?」
ブルーが提案する。
「おい、ブレイブ?」
ブルーは、何かモゾモゾと不審な動きをしているブレイブに目がいく。
「コインに聞いたところ、この道が正解だ」
ブレイブが自信満々に右の通路を指差した。
しかし、皆の反応は冷ややかだった。
「つまり、その道は絶対に不正解ってことですね」
アイはブレイブに冷たい視線を送った。
「いや、なんでだよ」
ブレイブは不満げに抗議するが、誰も聞いていない。
「とりあえず、手分けして探しましょう。ジルを見つけたら捕らえて。それ以外はいいわ。ジルは一人だけ服装が豪華だから分かるはずよ」
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