無実ですが、喜んで国を去ります!

霜月満月

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無実ですが、喜んで国を去ります!

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「セレーネ・グラナート公爵令嬢。ここにそなたとの婚約破棄を宣言する!」

突然ですが、こんばんは。私はたった今、婚約破棄だと言われたセレーネにございます。
それと、私に婚約破棄を言ってきたのはリコルド・クライノート殿下。ここ、クライノート王国第二王子殿下です。
殿下の隣にはマリナ・プラント子爵令嬢。

そして、ここは王城の大広間です。
王家主宰の舞踏会の場なのですが、殿下に突然呼ばれて中央に連れて来られました。もちろん、踊るためではありませんでした。

私はどうやらマリナ様を虐めたということになっているらしいのです。

‥‥馬鹿ですわね‥‥殿下。でっち上げるならもう少し考えてからじゃないと。
まあ、そもそも?長年の婚約者よりぽっと出の子爵令嬢の言葉だけ信じた時点でスッと情すら消えましたけれど。
さて‥‥まさかお姉様の仰った通りとはね‥‥

「どうした?事実を言われて何も言い返せないか?」

殿下が何を言おうと興味がなくて考えていたらいつの間にか話は終わっていたらしい。

では、私の番ですね。

「いいえ。‥‥確認ですけれど、まずは殿下は私との婚約破棄をお望みなのですよね?」

「ああ。お前が虐めなどという醜いことをするとはな‥‥幻滅したぞ。私の妃には相応しくない。だが、セレーネが膝をついてあやま」

何か言い出したけど、聞く気はない。遮らせてもらう。

「そうですか。では、まず婚約破棄は受け入れますわ。こちらとしてもずっと破棄したいと思っていたところでしたので願ったり叶ったりですわ。」

「「え?」」

殿下とマリナ様は驚いているようだが、私は2人にどう映っていたのでしょうか?
まあ、どうでもいいので続けますけれど。

「殿下。私達の婚約がどのように成立したかは?」

「え?セレーネが私に惚れて、筆頭公爵家であるグラナート公爵の力を借りて」

「やはりですか‥‥昔から全く変わりませんわね、殿下。幻滅したのはむしろこちらの方ですわ。」

「は?‥‥え?」

「我が公爵家に王家の、しかも陛下の署名つきで婚約の打診がありましたの。それでお父様とお母様が王城に赴き、陛下に直接伺ったところ、陛下に頭を下げられて仕方なく婚約することになったのです。‥‥政略結婚だと、仕方ないと私は諦めるしかありませんでしたわ。公爵令嬢としての務めでしたし、好きでもなんでもない殿下に渋々嫁ぐことにゆっくり納得させたところでしたのよ?それを‥‥」

‥‥もちろん、嫁ぐことを納得したというのは嘘です。

「ちょっと待て!!‥‥え?セレーネ、俺のこと」

「好いたことなどありませんわ。‥‥お分かりでしょうか?殿下。私にマリナ様を虐める理由がありませんの。むしろ殿下を選んで頂き、感謝を申し上げたいところですわ。」

「は?‥‥え?い、いや、しかし、現にマリナを虐め」

「事実確認はなさいましたの?まさか、マリナ様の証言だけではございませんわよね?」

「も、もちろんだ。」

と言って虐めた状況や証言を話し始めました。
もちろん捏造です。
しかし、周囲はざわつきます。
‥‥やはり、殿下はお馬鹿さんの様です。
まあ、未だに勉強をサボっていると聞いてましたし、当然でしょうか。

‥‥‥‥なかなか長いですわね。
殿下の頭でよく覚えたもの‥‥ああ、カンペ代わりの側近さんがいらっしゃいますね。納得です。
ああ、あの方もお可哀想に‥‥リコルド殿下なんぞに付かされたばかりに‥‥

「何か間違いがあるか!?」

あ、ようやく終わった様です。

「とりあえず、お疲れ様です。殿下。よく言えましたわね。
‥‥ほとんど聞き流してましたけれど。」

「なんだと!?」

「真面目に聞くだけ無駄ですもの。」

「では虐めたことを認めるのだな?」

「ふふっ。逆ですわ。‥‥私にマリナ様を虐める理由も時間もありませんでしたもの。」

「「え?」」

「殿下、お忘れですの?私には常に王家の息が掛かった精鋭が護衛についていると。」

「!! も、もちろん覚えている。だ、だが、公爵家の威光で」

「あら?買収に応じる様な輩を私に付けていたと?それでは護衛の意味がないではありませんか。」

私は第二とはいえ王子妃になる予定だった者。誘拐や暗殺の危険もありますし、王家の機密を知ることもあります。私は第二王子殿下以外の方の手に落ちる訳にはいかなかったのです。
なので、あらゆる危険から守って頂ける様に公爵家の屋敷から出たら、王城の中や両家の行き来など、その全てを警護して頂いておりました。加えて王子妃の教育も受けておりましたし、殿下の執務も押し付けられていましたので、マリナ様を虐めるどころか話すこともままなりませんでしたわ。

「うぐっ‥‥」

「まあ、でも元婚約者の私がこの国にいたら殿下は気まずいですわよね?」

「‥‥ま、まあな。」

「ふふっ。でしたら家族で・・・ですが、お望み通りこの国を去って差し上げますわ。」

『え!?』

「ああ、ご安心くださいませ。公爵家はお父様の親戚筋の中から後継ぎの方を既に決めております。領民に罪はありませんので、ほったらかしにするつもりはありませんわ。」

「え?いや、家族でってセレーネの兄も姉も婚約者がいるだろ?」

「ふふっ。既に両方共円満に解消済みですわ。」

『え!?』

「さて、殿下。他に何か仰りたいことはございますか?」

「え?い、いや」

そうして話していると。

「なんの騒ぎだ?」

「あら?セレーネさん‥‥ではない方を隣に?‥‥どういうことかしら?リコルド。」

「え?えっと」

「この状況‥‥まさかとは思うが、セレーネ嬢を詰めていたのか?」

陛下、妃殿下、王太子殿下が遅れていらっしゃいました。
会場にいる全ての者が最上位の礼をとります。
陛下の許可を得て、初めて楽にすることができるのです。

‥‥そのはずなのですが、視界の端に映るマリナ様が何故か放心状態で礼をとりません。陛下方に大変不敬です。
‥‥まあ、私には関係ありませんね。

「皆の者。楽にして構わん。」

陛下のお言葉を頂き、再び真っ直ぐ立ちます。

「セレーネ。発言を許可する。何があった?」

「はい。陛下。‥‥リコルド殿下に婚約破棄を言い渡されたところですわ。しかも、殿下の隣にいらっしゃるマリナ様を虐めたという濡れ衣つきです。」

「「「は!?」」」

「陛下。申し訳ございません。私の努力が足らず、リコルド殿下に嫌われていた様なのです。‥‥まあ、私も好いたことなどありませんけれど。」

最後はさすがにボソッと呟いただけ。恐らく陛下方には聞こえていない。‥‥はずです。

「「「‥‥‥」」」

お三方揃ってリコルド殿下を睨んでいらっしゃいます。

「陛下。リコルド殿下は私の姿すら見たくない様ですので、家族共々この国を去ろうと思います。」

「「「は!?」」」

「な、何故家族共々になる!?セレーネだけでも大打撃だというのに。」

「え?父上、どういうことですか?」

「‥‥リコルド。お前、ずっと側にいながらセレーネの何を見ていたんだ‥‥?」

と親子での話が始まりそうですが、私はそれに付き合うつもりはありません。

「陛下。公爵家はお父様の親戚筋に継いで頂ける様に手配済みですので、ご安心くださいませ。‥‥陛下、妃殿下、王太子殿下。これまでよくして頂き、ありがとうございました。ご期待に添えず、申し訳ございません。」

そう申し上げてから頭を下げます。
実際、陛下も妃殿下も王太子殿下もお優しく、私にとてもよくしてくださいました。リコルド殿下と結婚してもこのお三方がいらっしゃるなら耐えられると思える程に。

「頭を上げてくれ、セレーネ。」

「はい。」

陛下の許可を得て頭を上げました。
ですが。

「陛下、妃殿下、王太子殿下。このままここにいるのは辛いものがございます。この場を辞すことをお許し頂けますでしょうか?」

「‥‥‥‥セレーネにはそうだよな。‥‥許可する。明日、また登城してくれるか?国を出るのはやめてほしい。」

「陛下のお言葉といえど、国を出ることはもう決めていたことです。‥‥では、失礼致します。」

最後に陛下方に一礼し、先程から一言も発さないリコルド殿下とマリナ様を見ることなく、踵を返して入り口に向かいました。

「さて、お父様、お母様、お兄様、お姉様。さっさと帰りましょう?」

『え?』

あ。令嬢らしさを一瞬忘れておりました。

それにお父様がくすりと笑ったあと、陛下方に今度は真剣な眼差しで向き直る。

「陛下、妃殿下。お二方から直接、セレーネとリコルド殿下の婚約をとのことで納得したのに‥‥こんな裏切りが待っているならば婚約自体させませんでした。」

「愚息がすま」

「陛下。‥‥我々はもう臣下ですらありませんので謝罪は受け取れません。‥‥失礼致します。」

「公爵!!」

そう陛下が呼ぶものの、お父様は踵を返し、私達に笑顔で告げます。

「さあ、さっさと屋敷に帰ろう。」

それに私を含め、家族全員が笑顔で頷きます。

そのまま入り口に向かっていたのですが、ふといたずら心で言ってやりたくなったので、リコルド殿下の方に振り返ります。

「リコルド殿下。」

「!! な、なんだ?」

「ふふっ。これから大変でしょうから頑張ってくださいませね。‥‥マリナ様とお幸せに。」

全開の笑顔で申し上げさせて頂きました。
実際、嬉しくて堪らないのですもの。あの目まぐるしい王宮と公爵家の行き来をしなくて済みますし、問題児であるリコルド殿下のお相手もしなくて済みますから。

「え?頑張るとは?」

「ふふっ。決まってますわ。今まで私が代行していた執務のことです。マリナ様の実力は存じ上げませんが、ご協力頂けるといいですね。」

『え!?』

「では、失礼致しますね。‥‥二度とお目にかけることはないでしょうから、ご安心くださいませね、リコルド殿下。」

私達は改めて一礼したあと、返事を背中に受ける様に再び踵を返し、入り口に向かいます。

まあ、返事と言っても「あ‥‥」か「ああ‥‥」ぐらいでしたが。

そして、私達一家は馬車に乗り屋敷に戻って参りました。
私についてくれていた護衛の方々は王宮の玄関先でさよならさせて頂きました。もう、私を守る必要はありませんから。

「「「「「やった!!!」」」」」

私達、歓喜の瞬間です。
ですが、それも一瞬で。

「よし、みんな。手筈通りに。」

「「「「了解です!!!」」」」

全員、それぞれの自室に向かいます。
必要な物などは全て荷造り済みですので、あとは異空間収納に入れるだけ。

うちは代々、魔法で国を支えてきた一族。私だけじゃなく、家族全員が異空間収納を使える。
私達全員、魔法が使えるどころか優秀な魔法師一家でしたので、国防の一端を担っておりました。

まあ、お父様の親戚筋の方も優秀な方ですので、大丈夫でしょう。‥‥私達一家には劣りますが。

それはさておき。

「‥‥異空間収納って本当に便利ですよね‥‥」

とは、私の専属メイドのリナ。

「ふふっ。‥‥リナ、本当にいいの?」

「ええ。お嬢様にどこまでもお供致しますよ。」

「ありがとう、リナ。‥‥さて、行くわよ!」

「はい!」

ちなみにリナは魔法が使えない。なので私の異空間収納にはリナの荷物も入っている。

そして、玄関に向かうと。

「お。セレーネ。準備終わったか?」

「はい。お兄様。」

「ふふっ。楽しみよね~セレーネ。」

「はい!」

「ふふっ。‥‥でもさっきのリコルド殿下、本当に面白かったわ~!爆笑するのを堪えるのに苦労したわ。」

「あら、お姉様ったら。私は呆れの方が先に来ましたわ。」

そうしてお母様や兄妹達3人と話していると、お父様が執事やメイドを連れてきた。

「くくっ。‥‥お前達、私も同感だが、そろそろ行くぞ。」

「「「「はい!」」」」

そう。私達はすぐにこの国を出る算段をしていた。
引き継ぎや新たに来る人達のために執事やメイド達は最低限残して行くが、その人達も後々全員私達のところに来るそうだ。

ちなみに、一切強要はしていない。
「ついて来たい人!」と聞くと、全員一斉に手を上げた。
王国に残るより、私達についていきたいと志願してくれたのだ。
私達一家は使用人にも恵まれていたらしい。

ということで、一先ず私達についてくる者と、残る者に分かれる。
そして、一先ず残る者達に「待ってるからゆっくりいらっしゃい。」とそれぞれ声を掛けたあと‥‥

「【ゲート】」

お兄様が開いたゲートを、私達についてくる使用人と共に通って行く。
出た先は国境の街の路地。

「全員出たな?」

全員で頷く。

「よし。予定通り、今晩はこの街に泊まって明日の朝国境を越える。‥‥ゆっくり休めよ。」

『はい!』

そして、予め予約していた宿に一泊した。

翌朝。
早々に検問を通って国境を越え、私達は隣国、カナル帝国に入った。
母方の親族を頼るつもりなのだ。

まあ、その母方の親族がとんでもない人達なのだけれど。


そして、母方の親族の方が用意してくれていた複数台の馬車にそれぞれ乗り込んだ。私達は昼食などの休憩を挟みつつゆっくり進み、夕方前にお母様の実家に到着した。
連れて来た使用人達は部屋の外に待機している。
部屋‥‥ではないのだが。

「お兄様。帰って来ちゃいました。」

「来ちゃいましたって‥‥アミティエ。私にどうしろと?」

「手紙で言いましたわよ?屋敷をくださいな。と。」

「確かに書かれていたが‥‥まさか本当に家族共々帰って来るとはな‥‥」

「ふふっ。お兄様。子供達、紹介してもいいですか?」

「ああ。折角会えた甥や姪達だからな。」

「だって。‥‥フランから。」

「はい。母上。‥‥皇帝陛下・・・・、お初にお目にかけます。元グラナート公爵家嫡男のフラン・グラナートと申します。」

「同じく、長女のリーリエ・グラナートと申します。」

「同じく、次女のセレーネ・グラナートと申します。」

「最後に皇帝陛下。お久しぶりにございます。長らく直接お会いすることができず、申し訳ございません。」

「構わないよ、アルト殿。‥‥それからフラン、リーリエ、セレーネ。3人もよく来たな。‥‥我が帝国は元グラナート公爵家一同を歓迎する。」

「「「「「ありがとうございます。」」」」」

そう。お母様は元帝国の第二皇女なのだ。ちなみに皇帝陛下はお母様のお兄様。私達にとっては伯父に当たる方だ。

「先程はああ言ったが、屋敷は準備している。案内させるから、今日はゆっくり休んで、明日また登城してきてくれ。」

「「「「「はい。」」」」」

そしてすぐに城の文官の方が屋敷に案内してくれた。
文官が帰ったあと、屋敷を歩き回ってそれぞれ部屋を決め、夕食まで休憩することにした。

こうして住む場所の目処が立つことが分かっていたので、私達はあっさり王国を出てきたのである。
しかもお母様が元皇女なので、王国が私達を追いかけようと無駄なのだ。
王国より帝国の方が全て上。手出しができないのだ。

そして王国の誰も知らない。
私達一家全員、前世の記憶があり、前世でも家族だったことも、全員がゲートを使えることも。

ゲートはこの世界では幻の魔法。

だから、国王陛下もまさか朝早くに公爵家の屋敷に向かったら使用人が数名残っているだけだとは思ってもいなかったはずだ。

今頃、王宮は大慌てだろう。
使用人達が拷問されることはないだろうが、一応、私達の行き先を言っていいとは伝えている。
これで安心できる。

私はリナが淹れてくれた紅茶をゆっくり飲みながらそんなことを考えていた。そして僅かに笑ってしまうと。

「? お嬢様?いかがなさいました?」

「ふふっ。今頃、王国の陛下方は大慌てだろうなって。」

「ふふっ。確かにそうですね。‥‥国境に騎士を派遣している頃でしょうか?」

「そうね。私達が帝国に入ったらどうしようもなくなるものね。‥‥ふふっ。本当にお姉様の仰った通りだわ。」

「ですね。」

*****

ここは前世でお姉ちゃんがはまっていた乙女ゲームの世界らしいのだ。私はそれの悪役令嬢らしい。
前世の私はゲームとかに全く興味がなかったので、お姉ちゃんが何か言ってもゲームに関しては聞き流していた。

ところが、ある日家族全員で車に乗り、旅行に向かっている途中、事故に遭い全員死んだ。

そして、この世界でも離れることなく全員纏めて転生したらしい。
でも、記憶が戻ったのはバラバラで、お父様とお母様、お兄様は昨晩ゲートを繋いだ国境の街の視察から帰る途中、馬車での事故に遭い、その時に思い出したのだとか。

私とお姉様は別々の時にだが、幼い頃にそれぞれの婚約者に会った時。
私の場合、リコルド殿下の名前を聞いた時に「どこかで聞いた様な‥‥?」と思いつつ両親と屋敷に帰ってきたところ、お姉様の部屋に連行され、「セレーネ、あなた悪役令嬢だわ!」と言われ、それだ!と思い出した次第だ。

というのも、前世でお姉ちゃんがよく言っていたんだ。
「リコルドだけはやっぱりヘタレだ。私のタイプじゃない。なんで攻略対象なんだろ?‥‥本当、こんなのの婚約者にされたセレーネが可哀想だわ。」と。

その時は「製作側の趣味じゃない?」と半ば投げやりに答えたが、「だよね~やっぱり。他は全員、まともだもん。」とお姉ちゃんが言って会話が終わったが、私がその悪役令嬢の立場ならば話は別だ。

「お、お姉ちゃん!どうしたらいいの!?私、婚約成立しちゃったよ!?」

この時、まだお父様達は前世の記憶が戻っていなかった。

「ふふっ。私に任せなさい。私もこの国に用はないから、大きくなったら婚約破棄は素直に受け入れてとっとと国を捨てるわよ。」

「え!?‥‥じゃあそれまでは公爵令嬢として、リコルド殿下の婚約者として振る舞えばいいの?」

「ええ。折角だし、しっかり色々学びなさい。そして、リコルド殿下の代わりに仕事して、たっぷり後悔してもらいましょ?」

「‥‥‥‥お姉ちゃん、リコルド殿下がやっぱり嫌い?」

「ええ。嫌いよ。可愛い妹を傷つけるものは全員嫌いよ。」

ああ、なるほど。
昔から仲良かったからな~お姉ちゃんと私。

「ふふっ。じゃあ、その時まで頑張るわ!‥‥リコルド殿下に好かれない様に。」

「ええ。嫌われる要素も熟知してるから任せなさい!」

「!! うん!」

お気づきだろう。私達姉妹はリコルド殿下が前世から好きではない。私の場合はお姉ちゃんの刷り込みとも言えるだろうが。

その後、お父様達も前世の記憶を思い出したところで、お姉ちゃんによる国外逃亡の計画は始まった。
念のため、全員がゲートや異空間収納を含めて、魔法をお姉ちゃんに教えてもらい、元々実力が凄かった私達一家はさらに熟練度を上げた。
そして、国境の街に行ったことがある中で一番正確にゲートを繋げられたのがお兄様だったので、昨晩もお兄様にゲートを繋いでもらった。

*****

「唯一の心残りは大慌ての様子を見れないことよね。」

「ふふっ。そうですね。」

ここから先は乙女ゲームでは描かれてないらしい。
つまり、ようやくここから私の新たな人生が始まる。

ちなみに乙女ゲームでは、私だけが帝国とは違う国に国外追放されたらしい。これは殿下に限らず、どの攻略対象を選んでも同じだったと。そして、後日談でサラッと死んだっぽいぐらいに書かれて終わるそうだ。
私が国外追放されたあとの家族は帝国に逃げたらしいが。

それで私も国外追放されない様にぐらいは努力してやり過ごし、家族と共に帝国に行こうとなったのだ。

‥‥本当、持つべきは妹思いの姉である。
お姉ちゃんには感謝しかない。



その後、風の噂で聞いたことだが‥‥
公爵家は存続するものの、私達一家全員を逃したことによる混乱を招いたことや、私を逃しただけではなく濡れ衣まで着せようとしたこと。私達一家全員が帝国に渡る原因を作ったこと。あと、やっぱり執務が滞ったことで咎められたリコルド殿下は強制的に王族から除籍され、城の敷地内にある塔に幽閉が決まったらしい。
マリナ様も公爵令嬢(私)に濡れ衣を着せようとした罪で子爵家を勘当され、平民落ちしたらしい。

‥‥お2人共、自業自得とはいえ‥‥御愁傷様です。
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