不幸ヤンキー、"狼"に狩られる。〜跳躍〜

蒼空 結舞(あおぞら むすぶ)

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花人の謎

【閑話休題】不幸ヤンキー、”狼”が越してくる。《前編①》

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 1週間後。哉太のマンションの室内には多くの人間が働かされていた。1人は哉太の担当編集である黒髪で大柄な体格の大男…撫子 努。そして、”狼”の事件にて警部補と昇進したエリートの春夏冬 麗永である。彼らもこの人間嫌いなわがまま”狼”こと場磁石 哉太に仕方なく手伝いをさせられているのだ。…なぜならば。
「はっはっは~! …場磁石、てめぇはほんと~うに、ほんとうに!!! だよな!!!」
「別にいいじゃ~ん。そんなに迷惑かけているの、俺?」
「はっは~、…今すぐてめぇをぶん殴りてぇな~!」
「撫子はうるさいなぁ~。…いいからこれ運んで~。…あー。片付けより掃除がめんど~。最近は花ちゃんの家に入り浸ってたからなぁ~」
 引っ越し業者でさえも人間嫌いが災いし、入らせたくないという”横暴”という名のわがままに荷物の整理をして撫子は表面上では笑っていた。だがかなり怒っている様子をしているのが彼の担当編集である。まぁ哉太の横暴でわがままな態度など彼にとってはいつものことだが。
 哉太は世間の評判ではと謳われている。主に恋愛を描く作家ではあるが、かなりの変人かつ人間嫌いだ。おまけに双子の兄である皆嶋みなしま 躑躅つつじにさえも自分の影武者として迷惑をかける始末。しかも、幸と恋仲になる前はかなりの遊び人で百人斬り…いやそれ以上か? 
 ―そんな変態かつ偏屈な人間と関われるのは、当たり前であるがほんの一握りの人間だけである。しかしそのほん一握りの人間の中に救いの手は居るのだ。
「そんなこと、あなたがしっかりと掃除していれば良かったじゃないですか、場磁石君。君はまだ青春真っ盛りの高校生と、まだ幼い少女を手伝わせておいておきながら…あなたは本当にわがままでどうしようもない…」
 説教じみた言葉を吐く眼鏡を掛けた男の麗永は、ゴミの分別をしてからリビングの掃除をする。そんな2人の苦言と言う名の文句に哉太は反論と共にわがままを吐いた。
「麗永もうるさいよ~。もう~、2人ともうっさい!!!」
「あなたが急に1週間後に引っ越すのだと言うから…まったくあなたは本当に―」
「あ~たばこ吸いたいな~。撫子~、ちょっと吸わない?」
 話を遮るように哉太が撫子へ声を掛ければ、当の本人は少し驚いてから顎に手を添えてニヒルに笑った。
「おっ、それは名案だな~!」
「休憩がてらさ~」
 そんな怠け者2人に今度は麗永がまたキツく言い放つのである。
「受動喫煙になるから吸わないで下さい! …吸ったら彼岸花君たちと一緒に出ていきますよ?」
 切り札を向ける彼に哉太はうんざりとした顔を見せて息を吐く。…自分のことだと言うのに関わらずにだ。本当にこの”狼”は人の恩に対してかなり希薄な様子だ。
「ちぇっ。…撫子~、がんばろ~…。あ~たばこ吸いたい…」
 そして再び片付けというよりは、掃除をする哉太に幸や心はこのように思ってしまうのだ。
 …哉太さん(哉太君)みたいな暴君に付き合っているこの2人は一体…?
 そんなことを思いながらも2人も哉太の家を綺麗にする為に掃除を手伝うのであった。
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