俺は善人にはなれない

気衒い

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第8章 動き出す日常

第112話 歓迎パーティー

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「全員、いるな?わざわざ、ここに集まってもらったのは他でもない。今日から1ヶ月程、フリーダムのクランハウスで生活を共にすることになった者を紹介する。とは言ってもシリスティラビンのクランハウスや絶望の森の拠点を利用するのが多い奴にとってはあまり関わる機会がないかもしれんがまぁ、もし話すことがあれば仲良くしてくれると助かる……………では、早速だが自己紹介を頼む」

「は、はい!ぼ、僕の名はリース・フォレスト。東にある大国、フォレストの王族です。今回、後継者争いで国中がゴタゴタしているところを解決してもらおうとシンヤ…………さんの元を訪れました。シンヤさんは現在、他にやりたいことがあるとのことで僕の依頼に取り掛かるまで1ヶ月程はかかるそうです。なのでその間、ここでお世話になることになりました。なるべく皆さんのご迷惑にならないよう気を付けますのでどうか仲良くして下さると嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!」

「私はリース様の執事をしておりますセバスと申します。どうぞよろしくお願い致します」

「……………とのことだ。まぁ、お前らには常に言っているから、気にする奴はいないだろうが一応言っておく。王族だからといって気を遣う必要は一切ないからな?むしろ、生意気な態度を取ってきたら、懲らしめてやれ。教育にもなって、ちょうどいい……………それと今夜はささやかながら歓迎パーティーを開くことになり、クランハウスのホールにこうして料理が並べられている。みんな、普段のストレス発散も兼ねて、大いに飲み食いしてくれ。ではパーティー、開演だ!!」

「「「「うおおおお~~っ!!!」」」」

俺の合図と共に声を張り上げる仲間達。そして、それぞれが思い思いの場所へと散っていく。急遽用意したとはいえ、かなりの数の料理だ。それだけに目当てのものもあちこちにあるのだろう。このホールはクランメンバー全員が同時に入ってもまだ余裕があるくらいの広さをしている。おそらく、閉演まではまだまだ先だろう。

「ん?早速だな」

ふと少し離れた場所を見るとそこでは早速、リースが話しかけられていた。どうやら、仲間達はリースに興味津々なようだ。

「「お兄さん、お兄さん!!」」

「ど、どうしたのかな?」

「「お兄さんって偉い人なの??」」

「ん~一般的にはそうかもね」

「「へ~そうなんだ!ちなみにお兄さんもシンヤ様のこと、好き??」」

「へ!?そ、それは…………って、いきなり話が変わりすぎでしょ!」

「「あははっ!!変わりすぎ、変わりすぎ!!」」

「お、おい!あまり僕を」

「こら!失礼でしょ!すみませんね、この娘達が…………あ、申し遅れました。私、"黒天の星"蒼組組員のエレナと申します。で、この娘達は私の娘達で双子のカナとサナです。ちなみに2人も同じ組員です」

「「カナとサナです!!」」

「あ、ど、どうも」

「ええ、これからよろしくお願い致しますね……………ところでリースさん」

「な、何ですか?」

「シンヤ様のことはお好きなんですか?」

「ちくしょー!親子揃ってかよ!」

リースの叫び声が響き渡る。どうやら、この分では上手くやっていけそうだ。この後、パーティーは日付が変わる少し前まで続いた。年齢が低い者達はパーティーが始まって1時間もしないうちに部屋へと戻って、眠ってしまったがそれ以外の者達は趣味の合う者同士で語り合っていたり、ニーベルが作った酒を飲んだりと好きなように過ごしていた。俺はその様子を離れたところから眺めながら、近くの者と話をして過ごした。この光景を見て、改めて日常が戻ってきたことを感じ、願わくば、なるべく長くこの時が続いてくれるよう、夜空に祈りを捧げたのだった。
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