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第9章 フォレスト国
第156話 入団テスト
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「えっと…………何の為に?」
「これからの為だ。お前ら、冒険者になるつもりなんだろ?」
「はい」
「だったら、いずれはこういう場面にぶち当たる。それを今の内から体験させてやるって言っているんだ」
「は、はい!?」
少女達は突拍子もない提案に驚き、慌てふためいた。そもそも最初はシンヤ達が冒険者ギルドまで行くところに同行させて欲しいという話だったはずだ。それがどうして、こんな展開になっているのか、彼女達には甚だ理解できなかった。それと単純に勇気が出なかった。つい先日まで村で争いのない暮らしをしていたのだ。そんな少女達がいきなり、盗賊とはいえ、人を自らの手で始末しろと言われてもかなり無理があった。
「あの……………私達にはまだ早いんじゃ」
「早い?ついさっきまで危ない目に遭っていたのはどこのどいつだ?」
「うっ…………」
「お前達は殺られる直前にもそうやって躊躇するのか?それで本当に後悔しないんだな?」
「それは……………」
「いいか?どれだけ命乞いしようが、トドメを刺すのが怖くて見逃そうが相手は待ってはくれない。隙あらば、いつでもお前達の命を狙いにくるぞ」
「そういう悪い人達ばかりではないのでは?」
「かもな。だが、そいつが良いか悪いかなんて、どうやって見分けるんだ?言っておくが、盗賊だけが敵じゃないぞ。魔物はもちろんのこと、同業者の中にも大胆な犯行に及び、こちらの命を脅かす者もいる。そんな時にまで手を下せず、手遅れになったらどうするんだ?」
「………………」
「大方、冒険者という職業の華やかな部分だけを見て憧れを抱いたんだろうが、現実はそうじゃない。見えてないだけで手を汚す決断を迫られている奴はそこら中にいる。今回だってそうだろ。俺達が駆けつけていなければ、お前達がこいつらを殺るしか生き延びる方法はないんだ。冒険者として実績を積んでいく中で徐々に慣れればいいなんていう、甘ちょろい考え方は捨てろ。現に村を出た途端、こんなことになってるだろ。この世界は危険で満ちている。特に冒険者は率先して、そこに飛び込んでいく職業だ。故に成功した時の見返りも大きい。だから、覚悟も意志も考え方も何もかもが中途半端な者は弾かれ、最悪命を落とす」
「「「「「「っ!?」」」」」」
"命を落とす"。その直接的な言葉に少女達は心臓を鷲掴みにされたような感覚を覚えた。別に少女達の意志が弱かったという訳ではない。覚悟もある程度はあった。しかし、命の危険性までは考えが及ばなかった。幸いなことに村を出入りする者達は皆、良い人ばかりで争いが起きることもなく、また魔物に襲われたこともなかった。その為、たまに村に来る行商人や冒険者から冒険譚を聞き、漠然と冒険者というものに対する憧れは募っていったのだ。そして、極め付けはこの間の邪神の討伐劇だった。英雄シンヤ率いるクラン"黒天の星"の大活躍。実際に戦っている場面を目撃した訳ではないが、それがどれほどのものだったのか、村にやって来た冒険者から聞いた彼女達は尊敬の念を抱き、ますます冒険者に対する憧れは強くなった。そこから急いで旅支度をし、村を出発したのが今日。運悪く、盗賊達に見つかってしまうもそこで予期せぬ出会いがあった。なんと憧れの人物達が自分達を助けに来てくれたのだ。これほど心躍ることはない。しかし、冷静になってみると今、言われているように舞い上がっている場合ではない。いつ死ぬかも分からない、何が起きるかも分からない。そんな危険な世界で何をのうのうと憧れだけでやっていこうとしたのか……………それを憧れの人に言われたことで頭をハンマーで殴られたような衝撃を覚えると同時に未熟な自分達に対して恥ずかしさが込み上げてきた。
「仲間を自分を…………そして大切な者を救いたいのなら、まずは力をつけろ。実力のない者に語れる資格はない。理想はその後だ」
「「「「「「は、はい!!」」」」」」
「そして、その力だが、くれてやらんこともない」
「「「「「「ほ、本当ですか!?」」」」」」
「ああ。ただし、俺が課す試練を乗り越えた者のみだ」
「「「「「「そ、それって………」」」」」」
「お察しの通り、さっき俺が言ったことだ。これをクリアした者のみ、特別に俺のクランに入れてやる。もちろん、ただ入れただけで放置するなんてことはしないから、安心しろ。冒険者についてのあれやこれやも教えるし、鍛えて強くもしてやる。装備や金も支給するし、俺達が所有する施設も使いたい放題だ。いわば、これは入団テストみたいなもんだな」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
「悪くないだろ?じゃあ、覚悟の決まった者から順番に俺に声をかけろ。希望する武器を貸してやる」
「「「「「「ゴクリっ………」」」」」」
「ちなみに制限時間は5分だ。それまでに皆で話し合い、順番を決めろ」
「「「「「「はい!!」」」」」」
「じゃあ、よーいスタートだ」
「これからの為だ。お前ら、冒険者になるつもりなんだろ?」
「はい」
「だったら、いずれはこういう場面にぶち当たる。それを今の内から体験させてやるって言っているんだ」
「は、はい!?」
少女達は突拍子もない提案に驚き、慌てふためいた。そもそも最初はシンヤ達が冒険者ギルドまで行くところに同行させて欲しいという話だったはずだ。それがどうして、こんな展開になっているのか、彼女達には甚だ理解できなかった。それと単純に勇気が出なかった。つい先日まで村で争いのない暮らしをしていたのだ。そんな少女達がいきなり、盗賊とはいえ、人を自らの手で始末しろと言われてもかなり無理があった。
「あの……………私達にはまだ早いんじゃ」
「早い?ついさっきまで危ない目に遭っていたのはどこのどいつだ?」
「うっ…………」
「お前達は殺られる直前にもそうやって躊躇するのか?それで本当に後悔しないんだな?」
「それは……………」
「いいか?どれだけ命乞いしようが、トドメを刺すのが怖くて見逃そうが相手は待ってはくれない。隙あらば、いつでもお前達の命を狙いにくるぞ」
「そういう悪い人達ばかりではないのでは?」
「かもな。だが、そいつが良いか悪いかなんて、どうやって見分けるんだ?言っておくが、盗賊だけが敵じゃないぞ。魔物はもちろんのこと、同業者の中にも大胆な犯行に及び、こちらの命を脅かす者もいる。そんな時にまで手を下せず、手遅れになったらどうするんだ?」
「………………」
「大方、冒険者という職業の華やかな部分だけを見て憧れを抱いたんだろうが、現実はそうじゃない。見えてないだけで手を汚す決断を迫られている奴はそこら中にいる。今回だってそうだろ。俺達が駆けつけていなければ、お前達がこいつらを殺るしか生き延びる方法はないんだ。冒険者として実績を積んでいく中で徐々に慣れればいいなんていう、甘ちょろい考え方は捨てろ。現に村を出た途端、こんなことになってるだろ。この世界は危険で満ちている。特に冒険者は率先して、そこに飛び込んでいく職業だ。故に成功した時の見返りも大きい。だから、覚悟も意志も考え方も何もかもが中途半端な者は弾かれ、最悪命を落とす」
「「「「「「っ!?」」」」」」
"命を落とす"。その直接的な言葉に少女達は心臓を鷲掴みにされたような感覚を覚えた。別に少女達の意志が弱かったという訳ではない。覚悟もある程度はあった。しかし、命の危険性までは考えが及ばなかった。幸いなことに村を出入りする者達は皆、良い人ばかりで争いが起きることもなく、また魔物に襲われたこともなかった。その為、たまに村に来る行商人や冒険者から冒険譚を聞き、漠然と冒険者というものに対する憧れは募っていったのだ。そして、極め付けはこの間の邪神の討伐劇だった。英雄シンヤ率いるクラン"黒天の星"の大活躍。実際に戦っている場面を目撃した訳ではないが、それがどれほどのものだったのか、村にやって来た冒険者から聞いた彼女達は尊敬の念を抱き、ますます冒険者に対する憧れは強くなった。そこから急いで旅支度をし、村を出発したのが今日。運悪く、盗賊達に見つかってしまうもそこで予期せぬ出会いがあった。なんと憧れの人物達が自分達を助けに来てくれたのだ。これほど心躍ることはない。しかし、冷静になってみると今、言われているように舞い上がっている場合ではない。いつ死ぬかも分からない、何が起きるかも分からない。そんな危険な世界で何をのうのうと憧れだけでやっていこうとしたのか……………それを憧れの人に言われたことで頭をハンマーで殴られたような衝撃を覚えると同時に未熟な自分達に対して恥ずかしさが込み上げてきた。
「仲間を自分を…………そして大切な者を救いたいのなら、まずは力をつけろ。実力のない者に語れる資格はない。理想はその後だ」
「「「「「「は、はい!!」」」」」」
「そして、その力だが、くれてやらんこともない」
「「「「「「ほ、本当ですか!?」」」」」」
「ああ。ただし、俺が課す試練を乗り越えた者のみだ」
「「「「「「そ、それって………」」」」」」
「お察しの通り、さっき俺が言ったことだ。これをクリアした者のみ、特別に俺のクランに入れてやる。もちろん、ただ入れただけで放置するなんてことはしないから、安心しろ。冒険者についてのあれやこれやも教えるし、鍛えて強くもしてやる。装備や金も支給するし、俺達が所有する施設も使いたい放題だ。いわば、これは入団テストみたいなもんだな」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
「悪くないだろ?じゃあ、覚悟の決まった者から順番に俺に声をかけろ。希望する武器を貸してやる」
「「「「「「ゴクリっ………」」」」」」
「ちなみに制限時間は5分だ。それまでに皆で話し合い、順番を決めろ」
「「「「「「はい!!」」」」」」
「じゃあ、よーいスタートだ」
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