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5.新しい人生
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「ひゃっほう~!」
「ルシンダったら浮かれ過ぎよ。ひゃっほうって本当に言う人初めて見たわ」
「人は幸せのあまりに意外な言葉を発することがあるのよ!」
コーデリア改めルシンダは無事に出国して今は船の上である。
喜びのあまりに叫んでしまったが、自分はもう貴族ではなく平民だ。マナーなど気にしないと開き直った。船上で海風にあたり、自由を手にした幸せを全身で受け止めている。過ごす部屋は一等室が用意され人生初の船旅は最高に快適で素晴らしいものだ。
公爵邸を抜け出して船の上で過ごして3日目になる。目的の国まではあと10日はかかるので旅を満喫できそうだ。ルシンダの目の前にはダーナとダーナの弟のバリーが微笑ましそうに自分を見ている。
あのとき公爵邸の寝室の窓を開ければ、長梯子を登ってきたバリーがいた。バリーに目を丸くするルシンダに彼はニッコリと笑い大きな手を差し出した。まるでお城の塔に閉じ込められたお姫さまを救いに来た騎士さながらに。
ルシンダはその笑顔に泣きたくなるほど安堵した。そしてその手を取って静かに寝室を抜け出した。公爵邸の裏側に簡素な馬車が止まっており、中ではダーナが昨日執事から受け取った書類やお金、荷物を持って待っていた。
「ああ、コーデリア様。ご無事でよかった。あの男のことだからこんなことになるかも知れないとバリーを待機させておいてよかったです」
すぐさま乗り込み馬車を全速力で走らせ、エイベルに捕まることなく無事に船に乗ることが出来た。
バリーはエイベルがコーデリアに買い物をさせてくれるために唯一屋敷に入ることを許した商人で、ダーナの1歳下の弟でもある。
そして二人はコーデリアの知り合いというか幼馴染でもあった。二人は大きな商家の子供で、商いの為に実家のブロウ子爵家に出入りしていた。
ある日、バリーが母のお気に入りの花瓶をうっかりぶつかって割ってしまった。誰も見ていなかったのでコーデリアが割ったことにしてバリーを庇った。商人の子供が割ったことを知れば両親は酷い罰を与えただろう。自分ならそこまで酷いことにはならないだろうと身代わりになった。結果的に数回の鞭打ちですんで心から安堵した。
そのことをバリーは心からの申し訳なさと感謝を伝えてくれていた。そして今回助けに来てくれた。ダーナもバリーを庇ったことに感謝してくれて、今回の結婚の話を聞くなりコーデリアを何かあった時に助けたいとアビントン公爵家にメイドとして潜入してくれたのだ。もう用はないと公爵家には今朝のうちに退職届を出したそうだ。
バリーやダーナの両親も公爵邸でのコーデリアの置かれている立場の全てを知っておりコーデリアの味方になり協力を申し出てくれていた。
国外へ出た後の生活は彼らが準備してくれている。後々、このことをエイベルに知られるとまずいので自分たちも商いを国外に移したそうだ。コーデリアの為に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「とんでもないです。もしあの時コーデリア様が庇ってくれていなければ私はこの世にいなかったはずです。あなたを助けることは我が家では当然のことと考えています。どうか遠慮などなさらないで下さい」
馬鹿馬鹿しい話ではあるが貴族は平民の命を軽んじる。自分の名誉の為なら簡単に切り捨てる。コーデリアはその貴族的な考えが大嫌いだった。
確かに幼い時コーデリアはバリーを助けたがそれ以前から実家の子爵家の中で酷い扱いを受けるコーデリアを二人は陰ながら支えてくれた。与えられる食事は生きるギリギリで抜かれることも頻繁だ。彼らは両親が買い物をするために呼び出したときに商品を運ぶ係としてついて来てコーデリアの部屋にこっそり侵入し、柔らかいパンやミルクを持ってきてくれた。彼らがいなければ餓死していただろう。先にコーデリアを助けてくれたのは彼らだ。子爵家で恥ずかしい存在として酷い扱いを受けていたコーデリアにとって二人との交流は宝物だった。ダーナとは親友のように過ごし、1歳下のバリーは弟のように思っていた。
月日が流れいつしか自分の身長を抜いて逞しくなったバリーは、恋慕の眼差しを自分に向けるようになる。コーデリアはこんな惨めな境遇にいる女を好きになるはずがないと思い込もうとしたが、バリーは真剣にコーデリアのことを好きだと告げた。そして大人になったら助け出すから待っていてほしいと請われた。だがバリーと一緒になりたいと望んでも両親が許すはずもない。コーデリアは彼の気持ちに「はい」とも「いいえ」とも返さなかった。自分にとってのまっさらな初恋を心の底にそっと仕舞った。そして18歳になったあの日、エイベルとの婚約を両親から告げられた。バリーにその報告をすると彼は青ざめながら儚く微笑んだ。
「公爵様に望まれて……素晴らしいことです。絶対に幸せになってくださいね。コーデリア様が幸せになることが私の幸せです」
そう送り出してくれたのだが……コーデリアはエイベルに酷い言葉を投げかけられ別邸へと閉じ込められた。
ところが別邸ではなんとダーナがいてコーデリアは目を丸くした。そして「今日からコーデリア様付きのメイドになりました」と満面の笑顔で告げられた。
「弟がコーデリア様は本当に公爵家で幸せに過ごすことが出来るのかと心配しています。もちろん私も心配なので見届けることにしました。ですが……来てよかった。こんな、身代わりなんて酷すぎます!」
二人はいつでもコーデリアが逃げ出せる準備を整えてくれていた。そのおかげで監禁されていたとはいえ穏やかな日々を過ごせた。味方がいると思えば心に余裕が生まれる。もし一人だったら衣食住を保証されていても心は渇いていただろう。2年後に一人追い出されることを考えれば不安と心細さで胸が押しつぶされていたかもしれない。
堂々と買い物のためにとバリーを屋敷に呼んだときには3人で楽しくお茶をした。
約束の2年を迎えるころに、バリーはコーデリアに求婚してくれた。
「ここを出たら私と結婚してくれますか?」
「はい」
今度こそ幸せになれると信じて、思いのままに求婚を受け入れた。密かにバリーのその言葉を期待して彼と結婚したときに商売を手伝えるような勉強を優先的にしていた。
結果的にコーデリアはダーナという親友に見守られ、バリーという初恋の少年と心を通わせた。彼はコーデリアを幸せにするためにと父親に商いを学び、若いながらにすでに国外に支店を立ち上げ順調に経営している。コーデリアが公爵邸で学んだことは彼の伴侶としてきっと役に立つに違いない。経理も接客も勉強した。実践したことはないができる気がしている。ぜひ任せて欲しい。
自分は生まれ変わった。もちろんコーデリアがエイベルと結婚した事実は今の自分、ルシンダには関係ない。もともと白い結婚だったし、向かう先はコーデリアを知っている者がいないのだから問題なし!
バリーを見れば幸せそうに自分に笑いかけてくれる。思わず同じように笑みを返した。
ルシンダの人生の行く先は幸せに満ち溢れていた。
(おわり)
「ルシンダったら浮かれ過ぎよ。ひゃっほうって本当に言う人初めて見たわ」
「人は幸せのあまりに意外な言葉を発することがあるのよ!」
コーデリア改めルシンダは無事に出国して今は船の上である。
喜びのあまりに叫んでしまったが、自分はもう貴族ではなく平民だ。マナーなど気にしないと開き直った。船上で海風にあたり、自由を手にした幸せを全身で受け止めている。過ごす部屋は一等室が用意され人生初の船旅は最高に快適で素晴らしいものだ。
公爵邸を抜け出して船の上で過ごして3日目になる。目的の国まではあと10日はかかるので旅を満喫できそうだ。ルシンダの目の前にはダーナとダーナの弟のバリーが微笑ましそうに自分を見ている。
あのとき公爵邸の寝室の窓を開ければ、長梯子を登ってきたバリーがいた。バリーに目を丸くするルシンダに彼はニッコリと笑い大きな手を差し出した。まるでお城の塔に閉じ込められたお姫さまを救いに来た騎士さながらに。
ルシンダはその笑顔に泣きたくなるほど安堵した。そしてその手を取って静かに寝室を抜け出した。公爵邸の裏側に簡素な馬車が止まっており、中ではダーナが昨日執事から受け取った書類やお金、荷物を持って待っていた。
「ああ、コーデリア様。ご無事でよかった。あの男のことだからこんなことになるかも知れないとバリーを待機させておいてよかったです」
すぐさま乗り込み馬車を全速力で走らせ、エイベルに捕まることなく無事に船に乗ることが出来た。
バリーはエイベルがコーデリアに買い物をさせてくれるために唯一屋敷に入ることを許した商人で、ダーナの1歳下の弟でもある。
そして二人はコーデリアの知り合いというか幼馴染でもあった。二人は大きな商家の子供で、商いの為に実家のブロウ子爵家に出入りしていた。
ある日、バリーが母のお気に入りの花瓶をうっかりぶつかって割ってしまった。誰も見ていなかったのでコーデリアが割ったことにしてバリーを庇った。商人の子供が割ったことを知れば両親は酷い罰を与えただろう。自分ならそこまで酷いことにはならないだろうと身代わりになった。結果的に数回の鞭打ちですんで心から安堵した。
そのことをバリーは心からの申し訳なさと感謝を伝えてくれていた。そして今回助けに来てくれた。ダーナもバリーを庇ったことに感謝してくれて、今回の結婚の話を聞くなりコーデリアを何かあった時に助けたいとアビントン公爵家にメイドとして潜入してくれたのだ。もう用はないと公爵家には今朝のうちに退職届を出したそうだ。
バリーやダーナの両親も公爵邸でのコーデリアの置かれている立場の全てを知っておりコーデリアの味方になり協力を申し出てくれていた。
国外へ出た後の生活は彼らが準備してくれている。後々、このことをエイベルに知られるとまずいので自分たちも商いを国外に移したそうだ。コーデリアの為に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
「とんでもないです。もしあの時コーデリア様が庇ってくれていなければ私はこの世にいなかったはずです。あなたを助けることは我が家では当然のことと考えています。どうか遠慮などなさらないで下さい」
馬鹿馬鹿しい話ではあるが貴族は平民の命を軽んじる。自分の名誉の為なら簡単に切り捨てる。コーデリアはその貴族的な考えが大嫌いだった。
確かに幼い時コーデリアはバリーを助けたがそれ以前から実家の子爵家の中で酷い扱いを受けるコーデリアを二人は陰ながら支えてくれた。与えられる食事は生きるギリギリで抜かれることも頻繁だ。彼らは両親が買い物をするために呼び出したときに商品を運ぶ係としてついて来てコーデリアの部屋にこっそり侵入し、柔らかいパンやミルクを持ってきてくれた。彼らがいなければ餓死していただろう。先にコーデリアを助けてくれたのは彼らだ。子爵家で恥ずかしい存在として酷い扱いを受けていたコーデリアにとって二人との交流は宝物だった。ダーナとは親友のように過ごし、1歳下のバリーは弟のように思っていた。
月日が流れいつしか自分の身長を抜いて逞しくなったバリーは、恋慕の眼差しを自分に向けるようになる。コーデリアはこんな惨めな境遇にいる女を好きになるはずがないと思い込もうとしたが、バリーは真剣にコーデリアのことを好きだと告げた。そして大人になったら助け出すから待っていてほしいと請われた。だがバリーと一緒になりたいと望んでも両親が許すはずもない。コーデリアは彼の気持ちに「はい」とも「いいえ」とも返さなかった。自分にとってのまっさらな初恋を心の底にそっと仕舞った。そして18歳になったあの日、エイベルとの婚約を両親から告げられた。バリーにその報告をすると彼は青ざめながら儚く微笑んだ。
「公爵様に望まれて……素晴らしいことです。絶対に幸せになってくださいね。コーデリア様が幸せになることが私の幸せです」
そう送り出してくれたのだが……コーデリアはエイベルに酷い言葉を投げかけられ別邸へと閉じ込められた。
ところが別邸ではなんとダーナがいてコーデリアは目を丸くした。そして「今日からコーデリア様付きのメイドになりました」と満面の笑顔で告げられた。
「弟がコーデリア様は本当に公爵家で幸せに過ごすことが出来るのかと心配しています。もちろん私も心配なので見届けることにしました。ですが……来てよかった。こんな、身代わりなんて酷すぎます!」
二人はいつでもコーデリアが逃げ出せる準備を整えてくれていた。そのおかげで監禁されていたとはいえ穏やかな日々を過ごせた。味方がいると思えば心に余裕が生まれる。もし一人だったら衣食住を保証されていても心は渇いていただろう。2年後に一人追い出されることを考えれば不安と心細さで胸が押しつぶされていたかもしれない。
堂々と買い物のためにとバリーを屋敷に呼んだときには3人で楽しくお茶をした。
約束の2年を迎えるころに、バリーはコーデリアに求婚してくれた。
「ここを出たら私と結婚してくれますか?」
「はい」
今度こそ幸せになれると信じて、思いのままに求婚を受け入れた。密かにバリーのその言葉を期待して彼と結婚したときに商売を手伝えるような勉強を優先的にしていた。
結果的にコーデリアはダーナという親友に見守られ、バリーという初恋の少年と心を通わせた。彼はコーデリアを幸せにするためにと父親に商いを学び、若いながらにすでに国外に支店を立ち上げ順調に経営している。コーデリアが公爵邸で学んだことは彼の伴侶としてきっと役に立つに違いない。経理も接客も勉強した。実践したことはないができる気がしている。ぜひ任せて欲しい。
自分は生まれ変わった。もちろんコーデリアがエイベルと結婚した事実は今の自分、ルシンダには関係ない。もともと白い結婚だったし、向かう先はコーデリアを知っている者がいないのだから問題なし!
バリーを見れば幸せそうに自分に笑いかけてくれる。思わず同じように笑みを返した。
ルシンダの人生の行く先は幸せに満ち溢れていた。
(おわり)
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