51 / 51
殺したのは私たち
しおりを挟む
みぃくんとみぃちゃんは大の仲良し。
誕生日も一緒、名前も漢字が違うだけで一緒、おっとりとした性格も似ていて、違うのは性別と住んでいるところだけ。
でもお隣同士なので幼稚園は一緒で、この春に同じ小学校の同じクラスへ進学した。
そんな二人が、キノコ山への遠足の最中、行方不明になった。
大規模な捜索が行われたが見つからず、やがて捜索が打ち切られた。
それでも二人のそれぞれの両親は諦めず、ずっと探し続けた。
三ヶ月が過ぎた頃、二人はひょっこりと戻ってきた。
夜が明けるか明けないかという彼は誰時に、仲良く手をつないで自宅まで徒歩で。
それぞれの両親は自分たちの子どもを抱きしめ、とても元気そうに見えたから、まずはお風呂に入れようとした。
随分と汚れていたから。
しかしそれが汚れではないとすぐに気付いた。
土気色の肌。そしてなんとも言い難い、腐敗臭に似た臭い。
二人ともが食欲がなく、というより水も食事も摂ろうとはしなかった。
二つの家族は一方の家へと集まった。
そして互いの子どもが「同じ状態」であることを確かめた。
みぃくんとみぃちゃんは、そんな親の心つゆ知らず、二人で仲良く遊んでいる。
話しかければ返事をするし、子ども同士でも会話は成立している。
二つの家族は、自分たちの子どもを「生きているもの」として扱うことに決めた。
帰っては来たが、小学校へは行かせず「不登校児」として。
しかし、問題はそれでは収まらなかった。
大々的に捜索をしたせいで、周囲からの注目も認知度も高かったから。
二人が帰宅していたことが周囲にバレ、やがて医師やクラス担任、マスコミから突撃系動画配信者までもが押しかけた。
子どもを周囲に見せないことで虐待さえも疑われた。
SNSでは無責任な言葉が飛び交った。
「私たちはただ、静かに暮らしたいだけなのに」
片方の母親が泣きながらテレビに映ったとき、報道に対する批判が殺到した。
やがて別の新しい事件が注目されるようになり、その隙に、二つの家族は引っ越した。
だが、その引越のせいで再び注目を浴びてしまった。
父親の転職をきっかけに引越し先まで特定され、人の不幸などお構いなくゴシップで金を稼ぐ連中が集まった。
子どもたちを映した盗撮動画がネットに公開され、その異様に痩せた姿にとうとう行政が動いた。
児童相談所と警察、そして救急隊員に自治体職員までも揃って踏み込んだとき、二つの家族は身を寄せ合うように自分たちの子どもを抱きしめていた。
医師が子どもの脈を取り、首を振る。
しかしそれを見た子どもたちは面白がって真似をする。
現場に居合わせた者たちは状況を飲み込めず、子どもたちの両親はとうとう彼らが遭遇した不思議な状況全てを告白した。
はじめのうちは家の中に人が多いことに興奮してはしゃいでいたみぃくんとみぃちゃんだったが、両親の語る言葉の中にある単語が出現した途端に、動きを止めた。
「ぼくたち、ミイラなの?」
みぃくんが尋ねた。
「ミイラって死んでるんだよね?」
誰よりも早くみぃちゃんが答える。
その途端、二人は崩れ落ちるようにしゃがみ込み、再び確認した医師により死が宣言された。
<終わり>
ミイラ
誕生日も一緒、名前も漢字が違うだけで一緒、おっとりとした性格も似ていて、違うのは性別と住んでいるところだけ。
でもお隣同士なので幼稚園は一緒で、この春に同じ小学校の同じクラスへ進学した。
そんな二人が、キノコ山への遠足の最中、行方不明になった。
大規模な捜索が行われたが見つからず、やがて捜索が打ち切られた。
それでも二人のそれぞれの両親は諦めず、ずっと探し続けた。
三ヶ月が過ぎた頃、二人はひょっこりと戻ってきた。
夜が明けるか明けないかという彼は誰時に、仲良く手をつないで自宅まで徒歩で。
それぞれの両親は自分たちの子どもを抱きしめ、とても元気そうに見えたから、まずはお風呂に入れようとした。
随分と汚れていたから。
しかしそれが汚れではないとすぐに気付いた。
土気色の肌。そしてなんとも言い難い、腐敗臭に似た臭い。
二人ともが食欲がなく、というより水も食事も摂ろうとはしなかった。
二つの家族は一方の家へと集まった。
そして互いの子どもが「同じ状態」であることを確かめた。
みぃくんとみぃちゃんは、そんな親の心つゆ知らず、二人で仲良く遊んでいる。
話しかければ返事をするし、子ども同士でも会話は成立している。
二つの家族は、自分たちの子どもを「生きているもの」として扱うことに決めた。
帰っては来たが、小学校へは行かせず「不登校児」として。
しかし、問題はそれでは収まらなかった。
大々的に捜索をしたせいで、周囲からの注目も認知度も高かったから。
二人が帰宅していたことが周囲にバレ、やがて医師やクラス担任、マスコミから突撃系動画配信者までもが押しかけた。
子どもを周囲に見せないことで虐待さえも疑われた。
SNSでは無責任な言葉が飛び交った。
「私たちはただ、静かに暮らしたいだけなのに」
片方の母親が泣きながらテレビに映ったとき、報道に対する批判が殺到した。
やがて別の新しい事件が注目されるようになり、その隙に、二つの家族は引っ越した。
だが、その引越のせいで再び注目を浴びてしまった。
父親の転職をきっかけに引越し先まで特定され、人の不幸などお構いなくゴシップで金を稼ぐ連中が集まった。
子どもたちを映した盗撮動画がネットに公開され、その異様に痩せた姿にとうとう行政が動いた。
児童相談所と警察、そして救急隊員に自治体職員までも揃って踏み込んだとき、二つの家族は身を寄せ合うように自分たちの子どもを抱きしめていた。
医師が子どもの脈を取り、首を振る。
しかしそれを見た子どもたちは面白がって真似をする。
現場に居合わせた者たちは状況を飲み込めず、子どもたちの両親はとうとう彼らが遭遇した不思議な状況全てを告白した。
はじめのうちは家の中に人が多いことに興奮してはしゃいでいたみぃくんとみぃちゃんだったが、両親の語る言葉の中にある単語が出現した途端に、動きを止めた。
「ぼくたち、ミイラなの?」
みぃくんが尋ねた。
「ミイラって死んでるんだよね?」
誰よりも早くみぃちゃんが答える。
その途端、二人は崩れ落ちるようにしゃがみ込み、再び確認した医師により死が宣言された。
<終わり>
ミイラ
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
面白いです。そして凄いです。
私も妖怪をテーマにショートショートを書いたけどネタが全然、思いつかない……
妖怪が好きな人に是非読んでほしい作品だと思いました。
更新、頑張ってください。
ネタを考えるの大変かもだけど……
エール、でしたっけ?
しておきますね。
……一話一話に感想を書いた方がいいのかな?
分からんが応援しています。
長文失礼しました
とても嬉しいお言葉、本当にありがたいです。
自分の妄想から膨らませた世界を、楽しんでいただけたのであれば何よりです。
こちらは今まで書き溜めたものを発表していて、もう少ししたら手持ちストックが切れてしまいますので、そこから先はまた書けたときにアップする形となります。
まずは百話を目指して細々と書いては出ししていますが、他にも長編やら短編やら色々と書いていますでので、なかなか話数が増えません。
話数を稼ぐのではなく、一つ一つの物語を丁寧に書きたいと考えているので、長い目で見ていただけると嬉しいです。
ストックが切れたら他の短編集などもアップしてゆく予定ですが、妖怪短編はずっと続けて参ります。
ご感想をいただけるのはむちゃくちゃ嬉しいですが、無理なく気が向いたときだけでも十分幸せです。
励みになります。