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19 早朝の散歩
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王都から帰って数日後にローゼリアは動いた。
日が昇るかどうかという時間にローゼリアは乗馬服を纏って裏庭に出る。執事からは、裏庭の奥の屋敷が見えない場所と聞いてる。そこがローゼリアの目的地だった。
音を立てないように気を付けながら歩いていると、ブンブンと風を切るような音が聞こえてくる。
音のする方へ近づこうと一歩踏み出したら突然、怒声と共に何かがローゼリアの頬のすぐ横をかすめた。
「誰だっ!」
「ひぃっ!」
驚いたローゼリアは足がすくんでしまい、尻餅をついてしまった。
駆けつける足音がしたと思ったら、イアンが現れた。
「賊かと思いましたら義母上でしたか…。このような時間にどうしましたか?」
そう言いながらイアンは先ほどローゼリアに向けて投げつけた木刀を拾う。
足が震えて立ち上がれないローゼリアだったが、イアンはあまり気にしていない様子で、ローゼリアを見下ろしている。
「そっ、そのっ、さ、散歩をしようと思いましたのっ」
「こんなに朝早くからですか?外を歩くのには冷えるでしょう?」
冬も近いこの季節は日中は穏やかに過ごせても朝晩は冷える。
「さ、散歩をしているうちに、お、音が聞こえたものですから、何かと思って来てみましたの」
「私が義父に隠れて毎朝ここで鍛錬をしているのを誰かに聞いたのですか?」
「い、いえっ、散歩ですわっ」
「それでは私は鍛錬に戻りますので、義母上は散歩を続けてください」
そう言いながらイアンは元の場所に戻ろうとローゼリアに背を向けた。
「ま、待って!立ち上がれないの」
ローゼリアの言葉に振り向いたイアンは、ローゼリアの前まで歩いてくると、片膝をついて視線をローゼリアに合わせる。
「どのような事を企んでここに来たのか教えて下さりますね?」
「企みだなんて……。そうよ、ここには目的があって来ましたのよ」
イアンはローゼリアの次の言葉を促すように待っている。
「イアン様は私のした事を怒っていらっしゃるでしょう」
「いいえ、怒っていません」
イアンの即答ぶりにローゼリアは根が深いと感じた。
「イアン様のお気持ちを考えずにあのような事を計画してしまい、これでも浅はかな事をしてしまったと思っていますのよ」
「その件でしたらお気になさらないで下さい」
慇懃に答えるイアンにローゼリア口からはため息がもれる。
「……本当はイアン様に剣の稽古をつけてもらおうとしたの」
「あなたが?本気ですか?」
「ええ、私は本気ですわ」
そう答えたものの、ローゼリアの本当の目的は稽古をつけてもらう事で少しでもイアンに近づいて交流を図り、貴族令息としてのアレコレをローゼリアの知っている範囲で教えたかったからだった。
ローゼリアの目的は一日でも早くここを出て行く事なのだ。エーヴェルトから貰った手紙を読んでローゼリアは今すぐ自分もエルランドへ向かいたいと改めて強く思ったのだった。
「義母上には無理ですね」
「馬鹿になさらないで、そうんな事はなくてよっ」
ローゼリアの言葉を聞いてイアンが馬鹿にしたように笑う。
「この程度の事で腰が抜けてしまうのですから、剣を握るよりも大人しく守られていた方が護衛も仕事がやすいでしょうに」
そう言いながらローゼリアを起き上がらせようとイアンが手を差し伸べてローゼリアがその手を取ろうとした時だった。
すぐそばの草の合間から、ネズミ程度なら簡単に呑み込めそうな大きめのヘビが突然現れたのだった。
「イアン様はいじわる……ぎゃあっ!ヘビだわっ!!」
「え?……アガッ!」
驚いたローゼリアが立ちあがった拍子に、運悪くイアンの顔面にローゼリアの頭が直撃してしまい、その衝撃の強さにイアンは手で顔を覆った。
そしてパニックを起こして恐慌状態に陥ったローゼリアは、そのまま脱兎のごとく森の奥へと走って行ってしまった。
頭突きを受けたイアンが鼻血を出しながらも辺りを見れるようになった時は、ローゼリアの後ろ姿を遠くに認められただけで、彼女は裏庭に繋がる森の奥へ消えて行ってしまった。
運の悪い事は重なるもので、剣を教えてもらおうと思っていたローゼリアは乗馬服を着ていたので、パンツスタイルにブーツだった。ヒールのある靴ならば走り出しても足場の悪い森の中ですぐに足を取られてその辺で転んでいただろうが、動きやすい格好が仇になってしまった。
「くっ、意外と足が速いな」
上着の袖で鼻を押さえながらイアンはよろよろと立ち上がると、ローゼリアを追うように森の中へ入っていた。
日が昇るかどうかという時間にローゼリアは乗馬服を纏って裏庭に出る。執事からは、裏庭の奥の屋敷が見えない場所と聞いてる。そこがローゼリアの目的地だった。
音を立てないように気を付けながら歩いていると、ブンブンと風を切るような音が聞こえてくる。
音のする方へ近づこうと一歩踏み出したら突然、怒声と共に何かがローゼリアの頬のすぐ横をかすめた。
「誰だっ!」
「ひぃっ!」
驚いたローゼリアは足がすくんでしまい、尻餅をついてしまった。
駆けつける足音がしたと思ったら、イアンが現れた。
「賊かと思いましたら義母上でしたか…。このような時間にどうしましたか?」
そう言いながらイアンは先ほどローゼリアに向けて投げつけた木刀を拾う。
足が震えて立ち上がれないローゼリアだったが、イアンはあまり気にしていない様子で、ローゼリアを見下ろしている。
「そっ、そのっ、さ、散歩をしようと思いましたのっ」
「こんなに朝早くからですか?外を歩くのには冷えるでしょう?」
冬も近いこの季節は日中は穏やかに過ごせても朝晩は冷える。
「さ、散歩をしているうちに、お、音が聞こえたものですから、何かと思って来てみましたの」
「私が義父に隠れて毎朝ここで鍛錬をしているのを誰かに聞いたのですか?」
「い、いえっ、散歩ですわっ」
「それでは私は鍛錬に戻りますので、義母上は散歩を続けてください」
そう言いながらイアンは元の場所に戻ろうとローゼリアに背を向けた。
「ま、待って!立ち上がれないの」
ローゼリアの言葉に振り向いたイアンは、ローゼリアの前まで歩いてくると、片膝をついて視線をローゼリアに合わせる。
「どのような事を企んでここに来たのか教えて下さりますね?」
「企みだなんて……。そうよ、ここには目的があって来ましたのよ」
イアンはローゼリアの次の言葉を促すように待っている。
「イアン様は私のした事を怒っていらっしゃるでしょう」
「いいえ、怒っていません」
イアンの即答ぶりにローゼリアは根が深いと感じた。
「イアン様のお気持ちを考えずにあのような事を計画してしまい、これでも浅はかな事をしてしまったと思っていますのよ」
「その件でしたらお気になさらないで下さい」
慇懃に答えるイアンにローゼリア口からはため息がもれる。
「……本当はイアン様に剣の稽古をつけてもらおうとしたの」
「あなたが?本気ですか?」
「ええ、私は本気ですわ」
そう答えたものの、ローゼリアの本当の目的は稽古をつけてもらう事で少しでもイアンに近づいて交流を図り、貴族令息としてのアレコレをローゼリアの知っている範囲で教えたかったからだった。
ローゼリアの目的は一日でも早くここを出て行く事なのだ。エーヴェルトから貰った手紙を読んでローゼリアは今すぐ自分もエルランドへ向かいたいと改めて強く思ったのだった。
「義母上には無理ですね」
「馬鹿になさらないで、そうんな事はなくてよっ」
ローゼリアの言葉を聞いてイアンが馬鹿にしたように笑う。
「この程度の事で腰が抜けてしまうのですから、剣を握るよりも大人しく守られていた方が護衛も仕事がやすいでしょうに」
そう言いながらローゼリアを起き上がらせようとイアンが手を差し伸べてローゼリアがその手を取ろうとした時だった。
すぐそばの草の合間から、ネズミ程度なら簡単に呑み込めそうな大きめのヘビが突然現れたのだった。
「イアン様はいじわる……ぎゃあっ!ヘビだわっ!!」
「え?……アガッ!」
驚いたローゼリアが立ちあがった拍子に、運悪くイアンの顔面にローゼリアの頭が直撃してしまい、その衝撃の強さにイアンは手で顔を覆った。
そしてパニックを起こして恐慌状態に陥ったローゼリアは、そのまま脱兎のごとく森の奥へと走って行ってしまった。
頭突きを受けたイアンが鼻血を出しながらも辺りを見れるようになった時は、ローゼリアの後ろ姿を遠くに認められただけで、彼女は裏庭に繋がる森の奥へ消えて行ってしまった。
運の悪い事は重なるもので、剣を教えてもらおうと思っていたローゼリアは乗馬服を着ていたので、パンツスタイルにブーツだった。ヒールのある靴ならば走り出しても足場の悪い森の中ですぐに足を取られてその辺で転んでいただろうが、動きやすい格好が仇になってしまった。
「くっ、意外と足が速いな」
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