51 / 70
51 サロンでの噂話
しおりを挟む
そろそろ小麦の収穫時季が近づいた夏、ランゲル王国南部の穀倉地帯は深刻な害虫被害に遭っていた。
ローゼリアがその話を聞いたのは自身が開いたサロンに参加をしていた商人の夫人からだった。
「……ええ、ウチの主人が今年の麦はもうダメだと申しておりましたのよ。ですから皆さまも今のうちに麦を買われた方がよろしくてよ」
ローゼリアはエルランドへ行った時に馬車から見えた村々の田園風景を思い出していた。新しい領主に税を下げるように申し立て、それが通らなかったばかりに領民たちは麦の収穫量を減らす為にわざと耕作面積を減らしていた。
苦労して収穫をしても、税として持って行かれてしまうのなら収穫量を減らす。結果として領主の懐に入る税収は減ってしまうのだから、税をこれまでと同じ4割に戻して欲しいと領民たちが主張してきたのだ。
ローゼリアはその事を夜会で会ったヴィルタ派の貴族に嫌味と共に伝えられたのだった。フォレスターが領民に甘かったから領民が言う事を聞かないと。
結局今年も新領主と領民との話し合いの決着はつかなかったようなので、領民たちは相変わらず一部の元耕地を放置していた。
エルランドへ向かったローゼリアが、馬車の窓から見た時にはかなりの雑草が生い茂っていた。あれらの荒地があのままだったとするなら今頃はもっと酷い状態になっているだろうし、きっとそれが原因となって害虫被害へと繋がったのだろう。
フォレスターが治めていたのなら、領民が一部の耕作地を放棄していたとしても一年で対策を講じていただろうし、長年治めていた土地なので領民たちも聞く耳を持っていたのかもしれない。
自分とはもう関係の無い土地ではあったが、かつてのフォレスター領が荒れた様子を見るのは忍びなかった。畑を寝かせていたとしても、いつか畑に戻すための整地くらいはしていて欲しかった。
「北部の麦は大丈夫ですの?ウチは北部に伝手がありますから、収穫には早いですが取り置き分として今のうちに麦の発注をしてしまいましょうかしら」
「北部で獲れる麦は大した量ではありませんから、取り合いになってしまうかもしれませんわ」
本日のサロンは詩の朗読をした後に雑談をしながらオルコット領で作って完成させた美容液のサンプルを披露するはずだったのだが、朗読の後に設けたティータイム時の雑談で南部の麦の話が出てしまったので、今日はその話だけで終わりそうだった。
ローゼリアは夫人たちの話には入らずに、適当に相槌を打ちながら彼女たちの話す内容に耳を傾けていた。
「今のところ害虫被害は南部に集中しているという話ですが、飛び火してしまう可能性もありますわね」
「まあ、怖い。昨年も小麦が不足しがちでしたのに、今年もだなんて……」
「ブノア様、このような時はエルランド王国から支援をしていただけるのでしょうか」
一人の夫人がエルランド大使夫人であるソレンヌに疑問を投げかけた。それまでソレンヌも夫人たちの会話を聞いているだけだったのだが、ローゼリアの顔をチラリと見てから答える。
「そうですわね、国としての支援でしたら国同士の問題ですから、申し訳ありませんが私からお話し出来る事ではありませんわ」
「南部の領主はヴィルタ派の貴族が多いですから、公爵様が何とかして下さらないかしら」
ヴィルタ公爵家は国内で絶大な力を今は持っているが、外国との繋がりはほとんど持っていない貴族なので、その望みが薄い事をローゼリアは知っていたが黙っていた。
「こういう時の為に王家の国庫には麦の蓄えがあるはずでしょうから大丈夫なのでは?」
「王家といえば、王太子様がご結婚の折は王家からドレスや宝飾品の注文がたくさんありましたのに、最近ではあまりご購入されていらっしゃらないようですわ。今シーズンの夜会では王太子妃様のお姿もあまり見られませんでしたし、どうされたのかしら?」
夫人たちの会話の流れは麦の話から王太子夫妻の話へと変わっていく。
「王太子妃様にはたくさん着飾っていただかないと、私たち商人としましては困ってしまいますのに」
「シーズンの初めに御懐妊の噂が立った時には仕立て屋をしている商人たちは皆喜んでいましたのに、その後何も話を聞きませんものね」
「ウチの主人なんて王家に売り込みを掛けるのだと楽しみにしていましたのに、残念ですわ」
王太子妃が懐妊となると、これから体型に合わせて新しくドレスの発注が何着も必要になる。それに他の高位貴族も王太子夫妻の御子と自身の子供の年齢を合わせようとするので、貴族夫人たちのドレスや子供用品の発注が多くなる事を商人たちは期待していたようだった。
ローゼリアの開くサロンはオルコット家と付き合いのある貴族以外は商人の夫人が多く、商売をしている低位貴族や平民ばかりをローゼリアは招待していた。
高位貴族たちのお茶会での会話の端々から真意を読み解くような回りくどい会話を彼女たちはあまりしないので、ローゼリアはサロンを開く度に彼女たちの会話を聞く事を楽しみにしていて、敢えて高位貴族を自分のサロンには呼ばないようにしていたのだった。
「そういえば先日、兄からエルランドのお茶が送られてきましたの。よろしかったらお淹れ致しますわ」
ローゼリアは部屋の隅に控えていた侍女に指示をしてお茶を出す。当初の予定ではサロンの途中でお茶と一緒に美容液を出すつもりだったのだが、美容液を出すと彼女たちの話す市井の噂話が聞けなくなってしまうので、美容液は次のサロンで出す事にした。
お茶と共に同封されていたエーヴェルトからの手紙には、今年はエルランドの小麦を買う事を勧める内容が書いてあった。
最初は兄がオルコット商会を通じてエルランドの小麦を売りたいのかと思ったのだが、その割には売ろうとしている量がそれほど多くは無かった。輸送費を考えると割高になるので断ろうかと思っていたのだが、南部の害虫被害の話を聞いてその話を受ける事にした。
(お兄様は南部の害虫被害を早いうちから知っていらしたのか、予測をされていらしたのね)
エーヴェルトはフォレスター公爵家の次期領主として育ってきた。
領地の事も領地で収穫される麦の事も新しい領主たちよりもずっと詳しい。南部の穀倉地帯と呼ばれていたフォレスター領の麦の事は常に気に掛けており、個人的に麦の品種改良の研究もしていたのだ。
フォレスター家が領主のままであったのなら害虫被害は起こらなかったか、起きても小さな規模で止まっていただろう。
それにフォレスターにはピオシュ家出身のナタリーがいて、順調にいけばローゼリアは今頃は王太子妃となっていた。
害虫被害が防げなかったとしても、すぐにエルランドへ支援を願い出る話になっていただろう。
オルコット家は国政にもほとんど参加をしていない地方貴族だし、今のローゼリアにはオルコット領を守る事が精いっぱいで、もう国の面倒までは見れない。
そもそも国内に実家の無い今のローゼリアは、交渉するためのカードを持っていなかったし、もう国の事を考える立場にはいない。
フォレスターがあったなら、次年度はフォレスターの麦を安く融通する事や、エーヴェルトが品種改良の途中だった麦の情報を開示する事を条件に支援を願い出る事が出来たかもしれない。
ランゲル国内に自領を犠牲にしてまで国に尽くそうとする貴族がどれだけいるのかは分からないが、フォレスターだったら王家の為にという家訓の元、国の為に出来る事をしただろう。
フォレスターを切った事でランゲル王国が失ったものは大きかったのだとローゼリアは改めて思うのだった。
ローゼリアがその話を聞いたのは自身が開いたサロンに参加をしていた商人の夫人からだった。
「……ええ、ウチの主人が今年の麦はもうダメだと申しておりましたのよ。ですから皆さまも今のうちに麦を買われた方がよろしくてよ」
ローゼリアはエルランドへ行った時に馬車から見えた村々の田園風景を思い出していた。新しい領主に税を下げるように申し立て、それが通らなかったばかりに領民たちは麦の収穫量を減らす為にわざと耕作面積を減らしていた。
苦労して収穫をしても、税として持って行かれてしまうのなら収穫量を減らす。結果として領主の懐に入る税収は減ってしまうのだから、税をこれまでと同じ4割に戻して欲しいと領民たちが主張してきたのだ。
ローゼリアはその事を夜会で会ったヴィルタ派の貴族に嫌味と共に伝えられたのだった。フォレスターが領民に甘かったから領民が言う事を聞かないと。
結局今年も新領主と領民との話し合いの決着はつかなかったようなので、領民たちは相変わらず一部の元耕地を放置していた。
エルランドへ向かったローゼリアが、馬車の窓から見た時にはかなりの雑草が生い茂っていた。あれらの荒地があのままだったとするなら今頃はもっと酷い状態になっているだろうし、きっとそれが原因となって害虫被害へと繋がったのだろう。
フォレスターが治めていたのなら、領民が一部の耕作地を放棄していたとしても一年で対策を講じていただろうし、長年治めていた土地なので領民たちも聞く耳を持っていたのかもしれない。
自分とはもう関係の無い土地ではあったが、かつてのフォレスター領が荒れた様子を見るのは忍びなかった。畑を寝かせていたとしても、いつか畑に戻すための整地くらいはしていて欲しかった。
「北部の麦は大丈夫ですの?ウチは北部に伝手がありますから、収穫には早いですが取り置き分として今のうちに麦の発注をしてしまいましょうかしら」
「北部で獲れる麦は大した量ではありませんから、取り合いになってしまうかもしれませんわ」
本日のサロンは詩の朗読をした後に雑談をしながらオルコット領で作って完成させた美容液のサンプルを披露するはずだったのだが、朗読の後に設けたティータイム時の雑談で南部の麦の話が出てしまったので、今日はその話だけで終わりそうだった。
ローゼリアは夫人たちの話には入らずに、適当に相槌を打ちながら彼女たちの話す内容に耳を傾けていた。
「今のところ害虫被害は南部に集中しているという話ですが、飛び火してしまう可能性もありますわね」
「まあ、怖い。昨年も小麦が不足しがちでしたのに、今年もだなんて……」
「ブノア様、このような時はエルランド王国から支援をしていただけるのでしょうか」
一人の夫人がエルランド大使夫人であるソレンヌに疑問を投げかけた。それまでソレンヌも夫人たちの会話を聞いているだけだったのだが、ローゼリアの顔をチラリと見てから答える。
「そうですわね、国としての支援でしたら国同士の問題ですから、申し訳ありませんが私からお話し出来る事ではありませんわ」
「南部の領主はヴィルタ派の貴族が多いですから、公爵様が何とかして下さらないかしら」
ヴィルタ公爵家は国内で絶大な力を今は持っているが、外国との繋がりはほとんど持っていない貴族なので、その望みが薄い事をローゼリアは知っていたが黙っていた。
「こういう時の為に王家の国庫には麦の蓄えがあるはずでしょうから大丈夫なのでは?」
「王家といえば、王太子様がご結婚の折は王家からドレスや宝飾品の注文がたくさんありましたのに、最近ではあまりご購入されていらっしゃらないようですわ。今シーズンの夜会では王太子妃様のお姿もあまり見られませんでしたし、どうされたのかしら?」
夫人たちの会話の流れは麦の話から王太子夫妻の話へと変わっていく。
「王太子妃様にはたくさん着飾っていただかないと、私たち商人としましては困ってしまいますのに」
「シーズンの初めに御懐妊の噂が立った時には仕立て屋をしている商人たちは皆喜んでいましたのに、その後何も話を聞きませんものね」
「ウチの主人なんて王家に売り込みを掛けるのだと楽しみにしていましたのに、残念ですわ」
王太子妃が懐妊となると、これから体型に合わせて新しくドレスの発注が何着も必要になる。それに他の高位貴族も王太子夫妻の御子と自身の子供の年齢を合わせようとするので、貴族夫人たちのドレスや子供用品の発注が多くなる事を商人たちは期待していたようだった。
ローゼリアの開くサロンはオルコット家と付き合いのある貴族以外は商人の夫人が多く、商売をしている低位貴族や平民ばかりをローゼリアは招待していた。
高位貴族たちのお茶会での会話の端々から真意を読み解くような回りくどい会話を彼女たちはあまりしないので、ローゼリアはサロンを開く度に彼女たちの会話を聞く事を楽しみにしていて、敢えて高位貴族を自分のサロンには呼ばないようにしていたのだった。
「そういえば先日、兄からエルランドのお茶が送られてきましたの。よろしかったらお淹れ致しますわ」
ローゼリアは部屋の隅に控えていた侍女に指示をしてお茶を出す。当初の予定ではサロンの途中でお茶と一緒に美容液を出すつもりだったのだが、美容液を出すと彼女たちの話す市井の噂話が聞けなくなってしまうので、美容液は次のサロンで出す事にした。
お茶と共に同封されていたエーヴェルトからの手紙には、今年はエルランドの小麦を買う事を勧める内容が書いてあった。
最初は兄がオルコット商会を通じてエルランドの小麦を売りたいのかと思ったのだが、その割には売ろうとしている量がそれほど多くは無かった。輸送費を考えると割高になるので断ろうかと思っていたのだが、南部の害虫被害の話を聞いてその話を受ける事にした。
(お兄様は南部の害虫被害を早いうちから知っていらしたのか、予測をされていらしたのね)
エーヴェルトはフォレスター公爵家の次期領主として育ってきた。
領地の事も領地で収穫される麦の事も新しい領主たちよりもずっと詳しい。南部の穀倉地帯と呼ばれていたフォレスター領の麦の事は常に気に掛けており、個人的に麦の品種改良の研究もしていたのだ。
フォレスター家が領主のままであったのなら害虫被害は起こらなかったか、起きても小さな規模で止まっていただろう。
それにフォレスターにはピオシュ家出身のナタリーがいて、順調にいけばローゼリアは今頃は王太子妃となっていた。
害虫被害が防げなかったとしても、すぐにエルランドへ支援を願い出る話になっていただろう。
オルコット家は国政にもほとんど参加をしていない地方貴族だし、今のローゼリアにはオルコット領を守る事が精いっぱいで、もう国の面倒までは見れない。
そもそも国内に実家の無い今のローゼリアは、交渉するためのカードを持っていなかったし、もう国の事を考える立場にはいない。
フォレスターがあったなら、次年度はフォレスターの麦を安く融通する事や、エーヴェルトが品種改良の途中だった麦の情報を開示する事を条件に支援を願い出る事が出来たかもしれない。
ランゲル国内に自領を犠牲にしてまで国に尽くそうとする貴族がどれだけいるのかは分からないが、フォレスターだったら王家の為にという家訓の元、国の為に出来る事をしただろう。
フォレスターを切った事でランゲル王国が失ったものは大きかったのだとローゼリアは改めて思うのだった。
274
あなたにおすすめの小説
『恋心を凍らせる薬を飲みました』 - 残りの学園生活、どうぞご自由にお遊びください、婚約者様
恋せよ恋
恋愛
愛されることを諦めた。だから、私は心を凍らせた。
不誠実な婚約者・ユリアンの冷遇に耐えかねたヤスミンは、
伝説の魔女の元を訪れ、恋心を消し去る「氷の薬」を飲む。
感情を捨て、完璧な「人形」となった彼女を前に、
ユリアンは初めて己の罪と執着に狂い始める。
「お願いだ、前のように僕を愛して泣いてくれ!」
足元に跪き、涙を流して乞う男に、ヤスミンは冷酷に微笑む。
「愛?……あいにく、そのような無駄な感情は捨てましたわ」
一度凍りついた心は、二度と溶けない。
後悔にのたうち回る男と、心を凍らせた冷徹な公爵夫人の、
終わりのない贖罪の記録。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
聖女の座を追われた私は田舎で畑を耕すつもりが、辺境伯様に「君は畑担当ね」と強引に任命されました
さら
恋愛
王都で“聖女”として人々を癒やし続けてきたリーネ。だが「加護が弱まった」と政争の口実にされ、無慈悲に追放されてしまう。行き場を失った彼女が選んだのは、幼い頃からの夢――のんびり畑を耕す暮らしだった。
ところが辺境の村にたどり着いた途端、無骨で豪胆な領主・辺境伯に「君は畑担当だ」と強引に任命されてしまう。荒れ果てた土地、困窮する領民たち、そして王都から伸びる陰謀の影。追放されたはずの聖女は、鍬を握り、祈りを土に注ぐことで再び人々に希望を芽吹かせていく。
「畑担当の聖女さま」と呼ばれながら笑顔を取り戻していくリーネ。そして彼女を真っ直ぐに支える辺境伯との距離も、少しずつ近づいて……?
畑から始まるスローライフと、不器用な辺境伯との恋。追放された聖女が見つけた本当の居場所は、王都の玉座ではなく、土と緑と温かな人々に囲まれた辺境の畑だった――。
ブスすぎて嫁の貰い手がないから閨勤侍女になれと言われたので縁を切ります、完全に!完全縁切りの先にあったのは孤独ではなくて…
ハートリオ
恋愛
ルフスは結婚が決まった従姉の閨勤侍女になるよう父親に命令されたのをきっかけに父に無視され冷遇されて来た日々を終わらせようとブラコン父と完全に縁を切る決意する。
一方、従姉の結婚相手はアルゲンテウス辺境伯とのことだが、実は手違いがあって辺境伯が結婚したいのはルフス。
そんなこんなの異世界ファンタジーラブです。
読んでいただけると嬉しいです。
【完結】私を捨てた皆様、どうぞその選択を後悔なさってください 〜婚約破棄された令嬢の、遅すぎる謝罪はお断りです〜
くろねこ
恋愛
王太子の婚約者として尽くしてきた公爵令嬢エリシアは、ある日突然、身に覚えのない罪で断罪され婚約破棄を言い渡される。
味方だと思っていた家族も友人も、誰一人として彼女を庇わなかった。
――けれど、彼らは知らなかった。
彼女こそが国を支えていた“本当の功労者”だったことを。
すべてを失ったはずの令嬢が選んだのは、
復讐ではなく「関わらない」という選択。
だがその選択こそが、彼らにとって最も残酷な“ざまぁ”の始まりだった。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
婚約者を想うのをやめました
かぐや
恋愛
女性を侍らしてばかりの婚約者に私は宣言した。
「もうあなたを愛するのをやめますので、どうぞご自由に」
最初は婚約者も頷くが、彼女が自分の側にいることがなくなってから初めて色々なことに気づき始める。
*書籍化しました。応援してくださった読者様、ありがとうございます。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる