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2 海の国の聖人候補
277 ランテルへ
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ハーラーまでは船で2日ほどかかるそうだ。
あまり船移動は得意じゃない私、今回はアタタガにハーラーの首都近くまで送ってもらうことにする。
「ハーラーは、あれはあれで結構面倒くさい国なので、お気をつけて。
メイロードさまなら、大丈夫だとは思いますが……」
ちょっと不吉な商人ギルドのタスカ幹事のお言葉に見送られ、私は次の観光地に旅立った。
ハーラーの首都はランテルといい〝布の都〟と呼ばれているそうだ。
あらゆる布や糸、それにまつわる製品が集まる巨大な布市場があるそうで、布仕事も大好きな私は、とても楽しみにしている。
タスカ幹事の〝面倒くさい〟の詳細は気になるが、こちらは身軽な旅人だし、いやになったら帰ればいいだけのことだ。
例によって、都の近くでアタタガに降ろしてもらい、そこからは徒歩でランテルを目指す。
見つからないように降りた細い脇道から少し歩き、首都ランテルへ続く街道へ出ると、マホロよりかなり往来が激しく、人も荷車も数多い。
(首都へ続く街道としては、こちらの方が普通の混み方だよね)
往来の人々を見る限り、体系や顔つきはアキツと大差ないのだが、その雰囲気はかなり違う。
人々の服装は皆とても鮮やかで、デザインも凝ったものが多く、髪型も個性的、アクセサリーもほとんどの人が着けていた。
それを通りすがりに軽く褒め合ったりしている人たちも多く、お互いの服装を短く批評し合うのは挨拶の一部のようだ。
(なるほど、これは面倒くさいかも……)
私の帽子も注目の的で、通りすがりに何人もの方に褒めて頂いた。
元々は目立つ私の髪色を隠すためだった帽子だが、それに加えて日差しの強い沿海州に来てからは、セーヤから〝髪を守るため装着必須〟とのお達しを受けたので、日常的に使うようになった。
そういう事情で、今現在ほぼ毎日使用なので、セーヤの作品数も技術も更にマシマシ状態だ。
私としては、別に毎日違う帽子でなくとも、全く問題ないのだが、それを言ったら間違いなくセーヤが悲しむので、こと髪関連に関しては〝今日はこうして欲しい〟ということは言うけれど、それ以外は口出ししない。
ついでに言うと、服に関しては、もう最初に着ていた両親が買ってくれたらしい上等の子供服は、さすがにそのままは着られなくなった。でも、残念ながら成長が著しくない相変わらず小さい私なので、それもリメイクしながら、未だに着ている。
それだけではさすがに足りないので、新しい服は、元々あった服を参考にしてパターンを起こし、基本手縫いで自作。
多少は元の世界のテイストや素材を入れることもあるが、目立ちすぎないよう、定番と思しき型に沿って作るようにしている。
この世界では、服装へのお金と手の掛け方が階級によって如実に違い、見た目で侮られることも日常茶飯事だ。
私は高級品を扱う商人だし、そぐわない服装は結局誤解を招いて面倒なだけなので、最近は一応、生地などもいいものを選び、富裕層っぽい感じの仕立てにはしている。
(この世界では、下に見られていいことはなく、そうした方が話が早い、と私もさすがに学習した)
ミシンがあればな、とは思わなくもないが、異世界から取り寄せるのは相当高額だと予想されるので諦めている。
針仕事は嫌いじゃないし、わたしが着る分ぐらいならば、特に苦はない。
それでも私の服の数は、到底セーヤの作り続ける帽子の数には及ばないので、最初に服を決めてから帽子と髪型を決めるのが毎朝のお約束だ。
セーヤの帽子作りは、私が自分の手仕事用に大量に布を買い込んでいるので、材料にも事欠かくことなく、独自技術で磨き上げた石や、私がセーヤにあげた異世界産のリボンなどもうまく取り入れているため、オリジナルの雰囲気があり、本当に素敵だと思う。
そして、ハーラーの首都へ続く街道で、私の帽子を褒めてくれた彼らが一様に言ったのが
「ヌノビキの祭りでも、いい線いくよ、きっと!」
という言葉。
(何だろう、〝ヌノビキの祭り〟って……)
やっと辿り着いたランテルの城門にも、大量の美しい色彩の布が掲げられ、風になびいていた。
青い空に翻る無数の美しい布は、とても優雅な胸躍る風景だ。
そして、ランテルへ入場するための行列もかなりの長さだった。
待ち時間の長さにげんなりはするが、行列も悪いことばかりではなく、周りの人たちが、私の帽子を褒めてくれたことから話が弾み、色々と〝ご当地〟についての情報を得ることができた。
一言で言えば、ハーラーの特に首都ランテル周辺は〝着道楽〟の街だった。
特にハーラーを女王が統治するようになってから、その傾向が加速し、貴族も金持ちも、そして庶民も、とにかく服にお金をかけ、自分のセンスを見せようとする気風になったようだ。
しかもハーラーの場合、国内の土地ごとに個性的な布地や織り方が無数にあり、ランテルの布市場に来ればその全てが手に入るため、選択肢も多く、着道楽には天国らしい。
そんな中でも、大きなイベントが〝ヌノビキの祭り〟に行われる、〝ヌノビキヒメ〟を決めるファッション・ショー兼ミスコン的な催しなのだそうだ。
「ヌノビキヒメに選ばれれば、いい縁談はたくさん来るし、そこで使われた布も爆発的に売れるから、売り込みをしたい地方が、国中から綺麗な娘を連れて参加するのよ。
でも、結局は服の良さが一番重要だからね。そこは厳正なもんだよ!」
皆が楽しみにする一大イベントらしく〝ヌノビキの祭〟のこととなると、皆話が尽きない。
「そうなんですか……」
どうやら、着道楽のプライドのかかったイベントのようで、しかも地元産業なども背負ったミスコンのようだ。
(面白そうなイベントが見られそうね!)
ハーラーまでは船で2日ほどかかるそうだ。
あまり船移動は得意じゃない私、今回はアタタガにハーラーの首都近くまで送ってもらうことにする。
「ハーラーは、あれはあれで結構面倒くさい国なので、お気をつけて。
メイロードさまなら、大丈夫だとは思いますが……」
ちょっと不吉な商人ギルドのタスカ幹事のお言葉に見送られ、私は次の観光地に旅立った。
ハーラーの首都はランテルといい〝布の都〟と呼ばれているそうだ。
あらゆる布や糸、それにまつわる製品が集まる巨大な布市場があるそうで、布仕事も大好きな私は、とても楽しみにしている。
タスカ幹事の〝面倒くさい〟の詳細は気になるが、こちらは身軽な旅人だし、いやになったら帰ればいいだけのことだ。
例によって、都の近くでアタタガに降ろしてもらい、そこからは徒歩でランテルを目指す。
見つからないように降りた細い脇道から少し歩き、首都ランテルへ続く街道へ出ると、マホロよりかなり往来が激しく、人も荷車も数多い。
(首都へ続く街道としては、こちらの方が普通の混み方だよね)
往来の人々を見る限り、体系や顔つきはアキツと大差ないのだが、その雰囲気はかなり違う。
人々の服装は皆とても鮮やかで、デザインも凝ったものが多く、髪型も個性的、アクセサリーもほとんどの人が着けていた。
それを通りすがりに軽く褒め合ったりしている人たちも多く、お互いの服装を短く批評し合うのは挨拶の一部のようだ。
(なるほど、これは面倒くさいかも……)
私の帽子も注目の的で、通りすがりに何人もの方に褒めて頂いた。
元々は目立つ私の髪色を隠すためだった帽子だが、それに加えて日差しの強い沿海州に来てからは、セーヤから〝髪を守るため装着必須〟とのお達しを受けたので、日常的に使うようになった。
そういう事情で、今現在ほぼ毎日使用なので、セーヤの作品数も技術も更にマシマシ状態だ。
私としては、別に毎日違う帽子でなくとも、全く問題ないのだが、それを言ったら間違いなくセーヤが悲しむので、こと髪関連に関しては〝今日はこうして欲しい〟ということは言うけれど、それ以外は口出ししない。
ついでに言うと、服に関しては、もう最初に着ていた両親が買ってくれたらしい上等の子供服は、さすがにそのままは着られなくなった。でも、残念ながら成長が著しくない相変わらず小さい私なので、それもリメイクしながら、未だに着ている。
それだけではさすがに足りないので、新しい服は、元々あった服を参考にしてパターンを起こし、基本手縫いで自作。
多少は元の世界のテイストや素材を入れることもあるが、目立ちすぎないよう、定番と思しき型に沿って作るようにしている。
この世界では、服装へのお金と手の掛け方が階級によって如実に違い、見た目で侮られることも日常茶飯事だ。
私は高級品を扱う商人だし、そぐわない服装は結局誤解を招いて面倒なだけなので、最近は一応、生地などもいいものを選び、富裕層っぽい感じの仕立てにはしている。
(この世界では、下に見られていいことはなく、そうした方が話が早い、と私もさすがに学習した)
ミシンがあればな、とは思わなくもないが、異世界から取り寄せるのは相当高額だと予想されるので諦めている。
針仕事は嫌いじゃないし、わたしが着る分ぐらいならば、特に苦はない。
それでも私の服の数は、到底セーヤの作り続ける帽子の数には及ばないので、最初に服を決めてから帽子と髪型を決めるのが毎朝のお約束だ。
セーヤの帽子作りは、私が自分の手仕事用に大量に布を買い込んでいるので、材料にも事欠かくことなく、独自技術で磨き上げた石や、私がセーヤにあげた異世界産のリボンなどもうまく取り入れているため、オリジナルの雰囲気があり、本当に素敵だと思う。
そして、ハーラーの首都へ続く街道で、私の帽子を褒めてくれた彼らが一様に言ったのが
「ヌノビキの祭りでも、いい線いくよ、きっと!」
という言葉。
(何だろう、〝ヌノビキの祭り〟って……)
やっと辿り着いたランテルの城門にも、大量の美しい色彩の布が掲げられ、風になびいていた。
青い空に翻る無数の美しい布は、とても優雅な胸躍る風景だ。
そして、ランテルへ入場するための行列もかなりの長さだった。
待ち時間の長さにげんなりはするが、行列も悪いことばかりではなく、周りの人たちが、私の帽子を褒めてくれたことから話が弾み、色々と〝ご当地〟についての情報を得ることができた。
一言で言えば、ハーラーの特に首都ランテル周辺は〝着道楽〟の街だった。
特にハーラーを女王が統治するようになってから、その傾向が加速し、貴族も金持ちも、そして庶民も、とにかく服にお金をかけ、自分のセンスを見せようとする気風になったようだ。
しかもハーラーの場合、国内の土地ごとに個性的な布地や織り方が無数にあり、ランテルの布市場に来ればその全てが手に入るため、選択肢も多く、着道楽には天国らしい。
そんな中でも、大きなイベントが〝ヌノビキの祭り〟に行われる、〝ヌノビキヒメ〟を決めるファッション・ショー兼ミスコン的な催しなのだそうだ。
「ヌノビキヒメに選ばれれば、いい縁談はたくさん来るし、そこで使われた布も爆発的に売れるから、売り込みをしたい地方が、国中から綺麗な娘を連れて参加するのよ。
でも、結局は服の良さが一番重要だからね。そこは厳正なもんだよ!」
皆が楽しみにする一大イベントらしく〝ヌノビキの祭〟のこととなると、皆話が尽きない。
「そうなんですか……」
どうやら、着道楽のプライドのかかったイベントのようで、しかも地元産業なども背負ったミスコンのようだ。
(面白そうなイベントが見られそうね!)
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