10 / 72
第1章 出会い編
第10話 えらいこっちゃ。
しおりを挟む
「もおおおおアンタは何てこと言うの…!!」
「でもアディ、他に言い訳思いついてた?」
オーウェン公爵が帰路について10数分後。
アタシとリディアはアタシのプライベートルームで顔を突き合わせていた。
「何も思いついていなかったけど…!!心臓止まるかと思った!!」
「今日は止まり散らかさないんだね。」
んもう!!この子は!!いつの話してるの!!
「結果論だけど、これが一番綺麗に収まったと思うよ。オーウェン公爵は怒ってたけど、アディの品位が疑われただけで済んだし。」
綺麗に収まったと言っていいのかしら…あれは…。
適当な設定で真実ではなかったとはいえ、嫌悪と憎悪を向けられたのにリディアはあっけらかんとしている。
「アンタ、全然気にしてないのね…。」
「まあね。聖神殿で聖女様やっていた時に、何度かそういう機会はあったからね。負の感情を向けられる機会。」
聖女リディアは歴史の途中で表舞台から消えた。かの国王の指示によって。
だけど、聖女としての仕事や立場を放棄できるわけではなく、影からこの国を支えていた。
リディアは部屋の中央でくるくると周りながら、ダンサーの真似事をしている。
能天気なのか、肝が据わっているのか、命知らずなのか…。
「ぐぇ。」
思わずアタシはリディアを抱きしめた。確かにこの子は3000年生きているのかもしれないけど、中身は変わらず6歳くらいの女の子なわけで。
この小さな体で、どんな重圧に耐えてきたのかと思うと、思わず抱きしめちゃった。
「…はあ。強いのね、アンタ。」
「えへへ、私はアディ1人くらいなら守れるくらい強いよ。」
笑顔で笑うリディアを抱っこして、左腕に座るような姿勢にさせる。リディアは高い場所と不安定な座り心地に困惑し、アタシの首に腕をまわした。
「んもー普段は食い意地が張って、失礼なこと平気で言って、可愛げがないのにこういう時は素直なのね!聖女様モードの時なんて尊大かつ図々しくて可愛げの欠片もないのに!」
リディアは肯定も否定もしないで、ニコニコと微笑んでいる。
2人で顔を見合わせて、思わず笑って吹き出す。
「乗りかかった船よ。アンタと一緒に落ちるとこに落ちてやるわ。」
「落ちないよ、アディも私も。改めてよろしくね、アドルディ・レッドフォード伯爵。」
「すぅ、すぅ…むにゃ…。」
午後11時過ぎ。あれからリディアはいつも通り3~4人前くらいのご飯を平らげ、デザートの洋梨ゼリーを3回おかわりし、バスボムと共にお風呂を楽しみ、ベッドについた。
寝息を立てるリディアを横目に、アタシはベッドルームから退室した。
「…もう、いつの間にこんなにお菓子のごみが。」
リディアの部屋のゴミ箱には、色とりどりのお菓子の袋や箱が溢れていた。全てアタシの会社であるレッドフォード社の商品で、どこのメーカーのより美味しいとリディアは言ってくれている。それは素直に嬉しい。
以前、リディアの食欲の理由を聞いてみたことがある。
だけど、本人もよくわかっていないようだった。数千年の質素な食生活の反動、最上級魔導士の力の源となるエネルギー、色々思い当たる節はあるけど、どれもピンときていない様子だった。
「いてっ。なにこれ、ビスケットの破片?」
もーあの子ったら!お菓子はこぼさないように食べろってあれほど言ったのに!虫やネズミが来たらどうするの!
「…もうこれはアタシの仕事じゃないわ。明日メイドにお任せしましょう。」
アタシはリディアの部屋の掃除を諦め、部屋を後にした。
________。
「…以上が、ここ数日の間に諸侯を周った成果です。結果として、聖女リディアの足取りは掴めませんでした。」
「むう…。」
「申し訳ありません、国王殿下。」
レッドフォード邸にオーウェン公爵が来訪して数日後。王城の一室では、2人の老齢な男性が難しい表情で顔を合わせている。
片方は先日レッドフォード伯爵の元を訪問したマーク・オーウェン公爵。そしてもう1人は、このローゼシア王国の現国王にして聖女リディア脱走事件全ての元凶、ライオネル・ローゼシアその人である。
「国境警備隊の方は?」
「現在調査中です。下等モンスター1匹…いえ、ネズミ1匹通すなと言ってありますが、既にこの国を発っている可能性は否めません。」
「うむう…。」
ライオネルはより一層険しい顔をした。燭台に灯されているろうそくの火がか弱く見えるほど、部屋の空気は重く暗い。オーウェンから渡された調査資料に目を通しながら、ライオネルは時折眉間に皺を寄せる。
「…ん?」
「どうしました、殿下?」
「いや、このレッドフォード伯爵に関する資料だが。」
「…ああ。」
オーウェンは嫌なことを思い出したと言わんばかりに顔をしかめた。そんな彼の様子が気になったのか、ライオネルが言葉を続ける。
「最近養子を迎えたと記載がある。しかも幼い少女であると。まさか、こやつが聖女リディアではなかろうな!?」
「とんでもございません!実際に顔を見ましたが、似顔絵とは似ても似つかない他人でした!」
アドルディとレティシアには傲慢な態度を崩さなかったオーウェンだが、国王殿下の怒声には肩を小さくしている。ライオネルの逆鱗に触れないように思考を巡らせ、次の言葉を探している。
「以前、セントサザール領の娼館で大規模な摘発があったのはご存じでしょうか。レティシアという小娘は、その時の娼館にいた子供の1人だそうです。」
「なんと。レッドフォード伯爵は何故そんな小汚い娘を養子に?」
「居場所を奪った罪滅ぼしだとか言っていました。真意は謎ですが。」
ライオネルは椅子に深く腰を掛けると、ドカッと足を組んだ。椅子の背からは木が軋む音が鳴り、部屋に響く。
「ふん。現在のレッドフォード伯爵といえば、エルバートとヴィオラの息子だろう?あの変な喋り方をする一人息子。あんな形で親を亡くしたから、気でも触れたのかもな。」
ぎゃはは、という品のない笑いが部屋に広がる。
賛同するわけでもなく、オーウェンは静かに微笑みながらライオネルを見つめた。
「でもアディ、他に言い訳思いついてた?」
オーウェン公爵が帰路について10数分後。
アタシとリディアはアタシのプライベートルームで顔を突き合わせていた。
「何も思いついていなかったけど…!!心臓止まるかと思った!!」
「今日は止まり散らかさないんだね。」
んもう!!この子は!!いつの話してるの!!
「結果論だけど、これが一番綺麗に収まったと思うよ。オーウェン公爵は怒ってたけど、アディの品位が疑われただけで済んだし。」
綺麗に収まったと言っていいのかしら…あれは…。
適当な設定で真実ではなかったとはいえ、嫌悪と憎悪を向けられたのにリディアはあっけらかんとしている。
「アンタ、全然気にしてないのね…。」
「まあね。聖神殿で聖女様やっていた時に、何度かそういう機会はあったからね。負の感情を向けられる機会。」
聖女リディアは歴史の途中で表舞台から消えた。かの国王の指示によって。
だけど、聖女としての仕事や立場を放棄できるわけではなく、影からこの国を支えていた。
リディアは部屋の中央でくるくると周りながら、ダンサーの真似事をしている。
能天気なのか、肝が据わっているのか、命知らずなのか…。
「ぐぇ。」
思わずアタシはリディアを抱きしめた。確かにこの子は3000年生きているのかもしれないけど、中身は変わらず6歳くらいの女の子なわけで。
この小さな体で、どんな重圧に耐えてきたのかと思うと、思わず抱きしめちゃった。
「…はあ。強いのね、アンタ。」
「えへへ、私はアディ1人くらいなら守れるくらい強いよ。」
笑顔で笑うリディアを抱っこして、左腕に座るような姿勢にさせる。リディアは高い場所と不安定な座り心地に困惑し、アタシの首に腕をまわした。
「んもー普段は食い意地が張って、失礼なこと平気で言って、可愛げがないのにこういう時は素直なのね!聖女様モードの時なんて尊大かつ図々しくて可愛げの欠片もないのに!」
リディアは肯定も否定もしないで、ニコニコと微笑んでいる。
2人で顔を見合わせて、思わず笑って吹き出す。
「乗りかかった船よ。アンタと一緒に落ちるとこに落ちてやるわ。」
「落ちないよ、アディも私も。改めてよろしくね、アドルディ・レッドフォード伯爵。」
「すぅ、すぅ…むにゃ…。」
午後11時過ぎ。あれからリディアはいつも通り3~4人前くらいのご飯を平らげ、デザートの洋梨ゼリーを3回おかわりし、バスボムと共にお風呂を楽しみ、ベッドについた。
寝息を立てるリディアを横目に、アタシはベッドルームから退室した。
「…もう、いつの間にこんなにお菓子のごみが。」
リディアの部屋のゴミ箱には、色とりどりのお菓子の袋や箱が溢れていた。全てアタシの会社であるレッドフォード社の商品で、どこのメーカーのより美味しいとリディアは言ってくれている。それは素直に嬉しい。
以前、リディアの食欲の理由を聞いてみたことがある。
だけど、本人もよくわかっていないようだった。数千年の質素な食生活の反動、最上級魔導士の力の源となるエネルギー、色々思い当たる節はあるけど、どれもピンときていない様子だった。
「いてっ。なにこれ、ビスケットの破片?」
もーあの子ったら!お菓子はこぼさないように食べろってあれほど言ったのに!虫やネズミが来たらどうするの!
「…もうこれはアタシの仕事じゃないわ。明日メイドにお任せしましょう。」
アタシはリディアの部屋の掃除を諦め、部屋を後にした。
________。
「…以上が、ここ数日の間に諸侯を周った成果です。結果として、聖女リディアの足取りは掴めませんでした。」
「むう…。」
「申し訳ありません、国王殿下。」
レッドフォード邸にオーウェン公爵が来訪して数日後。王城の一室では、2人の老齢な男性が難しい表情で顔を合わせている。
片方は先日レッドフォード伯爵の元を訪問したマーク・オーウェン公爵。そしてもう1人は、このローゼシア王国の現国王にして聖女リディア脱走事件全ての元凶、ライオネル・ローゼシアその人である。
「国境警備隊の方は?」
「現在調査中です。下等モンスター1匹…いえ、ネズミ1匹通すなと言ってありますが、既にこの国を発っている可能性は否めません。」
「うむう…。」
ライオネルはより一層険しい顔をした。燭台に灯されているろうそくの火がか弱く見えるほど、部屋の空気は重く暗い。オーウェンから渡された調査資料に目を通しながら、ライオネルは時折眉間に皺を寄せる。
「…ん?」
「どうしました、殿下?」
「いや、このレッドフォード伯爵に関する資料だが。」
「…ああ。」
オーウェンは嫌なことを思い出したと言わんばかりに顔をしかめた。そんな彼の様子が気になったのか、ライオネルが言葉を続ける。
「最近養子を迎えたと記載がある。しかも幼い少女であると。まさか、こやつが聖女リディアではなかろうな!?」
「とんでもございません!実際に顔を見ましたが、似顔絵とは似ても似つかない他人でした!」
アドルディとレティシアには傲慢な態度を崩さなかったオーウェンだが、国王殿下の怒声には肩を小さくしている。ライオネルの逆鱗に触れないように思考を巡らせ、次の言葉を探している。
「以前、セントサザール領の娼館で大規模な摘発があったのはご存じでしょうか。レティシアという小娘は、その時の娼館にいた子供の1人だそうです。」
「なんと。レッドフォード伯爵は何故そんな小汚い娘を養子に?」
「居場所を奪った罪滅ぼしだとか言っていました。真意は謎ですが。」
ライオネルは椅子に深く腰を掛けると、ドカッと足を組んだ。椅子の背からは木が軋む音が鳴り、部屋に響く。
「ふん。現在のレッドフォード伯爵といえば、エルバートとヴィオラの息子だろう?あの変な喋り方をする一人息子。あんな形で親を亡くしたから、気でも触れたのかもな。」
ぎゃはは、という品のない笑いが部屋に広がる。
賛同するわけでもなく、オーウェンは静かに微笑みながらライオネルを見つめた。
247
あなたにおすすめの小説
転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
公爵家の秘密の愛娘
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。
過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。
そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。
「パパ……私はあなたの娘です」
名乗り出るアンジェラ。
◇
アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。
この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。
初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。
母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞
🔶設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞
🔶稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇♀️
巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。 〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜
トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!?
婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。
気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。
美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。
けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。
食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉!
「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」
港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。
気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。
――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談)
*AIと一緒に書いています*
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!
山田 バルス
ファンタジー
王宮大広間は春の祝宴で黄金色に輝き、各地の貴族たちの笑い声と音楽で満ちていた。しかしその中心で、空気を切り裂くように響いたのは、第1王子アルベルトの声だった。
「ローゼ・フォン・エルンスト! おまえとの婚約は、今日をもって破棄する!」
周囲の視線が一斉にローゼに注がれ、彼女は凍りついた。「……は?」唇からもれる言葉は震え、理解できないまま広間のざわめきが広がっていく。幼い頃から王子の隣で育ち、未来の王妃として教育を受けてきたローゼ――その誇り高き公爵令嬢が、今まさに公開の場で突き放されたのだ。
アルベルトは勝ち誇る笑みを浮かべ、隣に立つ淡いピンク髪の少女ミーアを差し置き、「おれはこの天使を選ぶ」と宣言した。ミーアは目を潤ませ、か細い声で応じる。取り巻きの貴族たちも次々にローゼの罪を指摘し、アーサーやマッスルといった証人が証言を加えることで、非難の声は広間を震わせた。
ローゼは必死に抗う。「わたしは何もしていない……」だが、王子の視線と群衆の圧力の前に言葉は届かない。アルベルトは公然と彼女を罪人扱いし、地下牢への収監を命じる。近衛兵に両腕を拘束され、引きずられるローゼ。広間には王子を讃える喝采と、哀れむ視線だけが残った。
その孤立無援の絶望の中で、ローゼの胸にかすかな光がともる。それは前世の記憶――ブラック企業で心身をすり減らし、引きこもりとなった過去の記憶だった。地下牢という絶望的な空間が、彼女の心に小さな希望を芽生えさせる。
そして――スキル《引きこもり》が発動する兆しを見せた。絶望の牢獄は、ローゼにとって新たな力を得る場となる。《マイルーム》が呼び出され、誰にも侵入されない自分だけの聖域が生まれる。泣き崩れる心に、未来への決意が灯る。ここから、ローゼの再起と逆転の物語が始まるのだった。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ
水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。
それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。
黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。
叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。
ですが、私は知らなかった。
黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。
残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる