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第2章 とある日のレティシア編
第15話 レティシア・レッドフォードの夜
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Side:リディア
陽が沈んで少し経過したくらい。
私たちはレッドフォード社の玩具支部に足を運んだ。今日はここで最後らしい。
アディは私を気遣って屋敷に帰そうとしてくれたけど、私は最後まで付き合う気でいたから遠慮しないでほしいと我を通した。
(言っても、アディのおもちゃの会社って小さい子向けの商品の会社でしょ?私は対象年齢より少し大人な気がするけど、きちんと意見できるかな。)
なんてことを思っている時代が私にもありました。
「モンスタっちってアディの会社の商品だったんだ…!!」
「ふふん、そうよ!知らなかったなんて驚きね。」
_モンスタっち。
丸い卵のような形で、様々なモンスターの見た目の装飾が施されている小型携帯ゲーム機の一種。
モンスターを赤ちゃんから育て始め、寿命を迎えるまで面倒を見るシンプルなシステムのゲーム。加えて、おしゃれかつ可愛いゲーム機の見た目とサイズ感が、若者と子供たちの間に刺さったことで、発売時から爆発的なヒット作となり、現在も場所によっては品薄の状態が続いているという。
「アディ、これちょうだい…!1個で良いの…!大事に育てるから…!毎日お世話して散歩も連れて行くから…!」
「ゲームシステム的にはどれも重要なコマンドね…。」
「できればこのユニコーン型のやつがいい…!」
「欲を出してきたわね。」
目の前にあるのはユニコーン、グリフィン、ケルベロス、カーバングルをモチーフにした見た目の初代モンスタっちの新・改装版。発売7周年を記念して作られ、キラキラのラメと透明感のある本体の艶が、宝石を彷彿とさせて目を惹く。
(アディの気を引けばいけるかもしれない。よおし。)
「モンスタっち、名前だけは知ってたんだよ。」
「そうなの?」
「聖女様時代、私聖神殿の一室に軟禁されていたじゃん?町の様子を自分の目で見ることはできないけど、心眼では見ることができたの。」
「………。」
できるだけ本心を悟られないように。あくまで私は昔話をしているだけですよって顔を崩さずに。
「モンスタっちが発売した時のことは覚えているよ。大人も子供もみんな楽しそうで、何を手にしているのかなって私も必死に見ようとしてた。心眼でだけどね。」
「同情誘おうと思ってもダメなものはダメよ。」
「ちっ。」
ダメだった。
「発売日にお店に連れて行ってあげるわよ。手に入るか分からないけどね。」
「アディの特権で入手しておくというのは…!」
目を潤ませて両手を顔の前で組んで拝む。アディは目を細めながら私のほうを見ている。
負けじとアディの目を見つめ、少し首をかしげてみる。
「……………今回だけよ。でも、発売日までは渡さないからね。」
「わーい!アディありがとう!大好き!パンナコッタ!」
「だからそれ誉め言葉じゃないって。もう!都合がいいんだから!」
呆れながらアディは奥の棚から何かを取り出している。私はそんなアディの後ろでモンスタっちの余韻に浸り、楽しみで胸がわくわくしている。
「モンスタっち1個分は働いてもらうからね!覚悟しなさい!」
「はーい!任せてアディ!」
私は胸を張り、得意げに声を出す。そんな私を見てアディが呆れ笑いをしているけど、気付かないふりをした。
「駒が自動で動くテーブルゲーム、面白い。」
「左様ですか。」
「これは魔法石をエネルギーに動いているんだよね?魔法石を入れるところはどこにあるの?」
「ボードの裏です。市販の家庭エネルギー用魔法石を使用します。」
「このミニゲームはちょっと難しいかも。分かるんだけど、すぐには理解できない。」
「なるほど。改善が必要ですね。」
「えっとね、サイコロを振って数字を決めることにすれば良いと思う。」
「メモに記載しておきます。」
「モンスタっち!モンスタっちの駒!可愛い!」
「モンスタっちのボードゲームですからね。パッケージもこだわっています。」
「わあ!カラフル!あれ?この子知らない…。」
「7周年記念モンスタっちに追加されたキャラクターです。ご内密に。」
「もちろん!絶対言わない!」
この人はマックスという名前で、このレッドフォード社玩具支部におけるアディの部下らしい。
髪型ぴっしり決めて、口調も硬くて表情も真顔から動かないから気難しい人なのかと思ったけど、全然普通に話せる人だった。多分、普通に真面目なだけ。
格闘家みたいな体つきで筋肉質な人だから、何も知らない状態での初対面だったらびっくりしていたかも。
「流石レティシア。マックス相手でも平然としているわね。」
横で私たちの様子を見ていたアディがそんなことを口にした。どういうことか分からず、私は首をかしげた。
「以前別の子供たちにモニターしてもらったことがあったんだけどね、マックスのこと見たらみんな泣いちゃって。」
「ごめんね、ちょっと分かるかも。」
「いいえ、慣れていますので。どうにかしたいとは思っているんですけどね。」
大きな体に反して、悩みを訴えるマックスの背中は小さく見えた。子供向けの商売だから、余計に大変だろうなと勝手に同情心を覚えてしまった。
「レビューしていただきたい商品はほかにもあります。レティシアさん、お願いします。」
「任せて!」
________。
数時間後。窓の外は真っ暗で、所々小さな星が見えている。
マックスとアディはやることがあるとか言って、私に発売済みのおもちゃを押し付けてどこかに行ってしまった。一通り遊びつくして疲れてしまったので、私は気分転換にポケットからあるものを取り出した。
それは、シンシアにもらったレッドフォード社の発売済み子供向けリップのサンプルと、小さな手鏡。試供品がたくさん余っているからと、彼女がくれたものだった。
お昼に塗ってもらったリップクリームは、唇を彩るための化粧品ではなかったから早々に色が落ちてしまっていた。
開けてみると、シンシアがくれたリップは先が刷毛になっているタイプだった。気を付けて塗らないと、象徴画みたいな顔になるかも。
「アディはいつ戻ってくるのかな。」
誰に向けてもいない独り言を空に吐き、私はリップの刷毛を唇に押し当てた。
陽が沈んで少し経過したくらい。
私たちはレッドフォード社の玩具支部に足を運んだ。今日はここで最後らしい。
アディは私を気遣って屋敷に帰そうとしてくれたけど、私は最後まで付き合う気でいたから遠慮しないでほしいと我を通した。
(言っても、アディのおもちゃの会社って小さい子向けの商品の会社でしょ?私は対象年齢より少し大人な気がするけど、きちんと意見できるかな。)
なんてことを思っている時代が私にもありました。
「モンスタっちってアディの会社の商品だったんだ…!!」
「ふふん、そうよ!知らなかったなんて驚きね。」
_モンスタっち。
丸い卵のような形で、様々なモンスターの見た目の装飾が施されている小型携帯ゲーム機の一種。
モンスターを赤ちゃんから育て始め、寿命を迎えるまで面倒を見るシンプルなシステムのゲーム。加えて、おしゃれかつ可愛いゲーム機の見た目とサイズ感が、若者と子供たちの間に刺さったことで、発売時から爆発的なヒット作となり、現在も場所によっては品薄の状態が続いているという。
「アディ、これちょうだい…!1個で良いの…!大事に育てるから…!毎日お世話して散歩も連れて行くから…!」
「ゲームシステム的にはどれも重要なコマンドね…。」
「できればこのユニコーン型のやつがいい…!」
「欲を出してきたわね。」
目の前にあるのはユニコーン、グリフィン、ケルベロス、カーバングルをモチーフにした見た目の初代モンスタっちの新・改装版。発売7周年を記念して作られ、キラキラのラメと透明感のある本体の艶が、宝石を彷彿とさせて目を惹く。
(アディの気を引けばいけるかもしれない。よおし。)
「モンスタっち、名前だけは知ってたんだよ。」
「そうなの?」
「聖女様時代、私聖神殿の一室に軟禁されていたじゃん?町の様子を自分の目で見ることはできないけど、心眼では見ることができたの。」
「………。」
できるだけ本心を悟られないように。あくまで私は昔話をしているだけですよって顔を崩さずに。
「モンスタっちが発売した時のことは覚えているよ。大人も子供もみんな楽しそうで、何を手にしているのかなって私も必死に見ようとしてた。心眼でだけどね。」
「同情誘おうと思ってもダメなものはダメよ。」
「ちっ。」
ダメだった。
「発売日にお店に連れて行ってあげるわよ。手に入るか分からないけどね。」
「アディの特権で入手しておくというのは…!」
目を潤ませて両手を顔の前で組んで拝む。アディは目を細めながら私のほうを見ている。
負けじとアディの目を見つめ、少し首をかしげてみる。
「……………今回だけよ。でも、発売日までは渡さないからね。」
「わーい!アディありがとう!大好き!パンナコッタ!」
「だからそれ誉め言葉じゃないって。もう!都合がいいんだから!」
呆れながらアディは奥の棚から何かを取り出している。私はそんなアディの後ろでモンスタっちの余韻に浸り、楽しみで胸がわくわくしている。
「モンスタっち1個分は働いてもらうからね!覚悟しなさい!」
「はーい!任せてアディ!」
私は胸を張り、得意げに声を出す。そんな私を見てアディが呆れ笑いをしているけど、気付かないふりをした。
「駒が自動で動くテーブルゲーム、面白い。」
「左様ですか。」
「これは魔法石をエネルギーに動いているんだよね?魔法石を入れるところはどこにあるの?」
「ボードの裏です。市販の家庭エネルギー用魔法石を使用します。」
「このミニゲームはちょっと難しいかも。分かるんだけど、すぐには理解できない。」
「なるほど。改善が必要ですね。」
「えっとね、サイコロを振って数字を決めることにすれば良いと思う。」
「メモに記載しておきます。」
「モンスタっち!モンスタっちの駒!可愛い!」
「モンスタっちのボードゲームですからね。パッケージもこだわっています。」
「わあ!カラフル!あれ?この子知らない…。」
「7周年記念モンスタっちに追加されたキャラクターです。ご内密に。」
「もちろん!絶対言わない!」
この人はマックスという名前で、このレッドフォード社玩具支部におけるアディの部下らしい。
髪型ぴっしり決めて、口調も硬くて表情も真顔から動かないから気難しい人なのかと思ったけど、全然普通に話せる人だった。多分、普通に真面目なだけ。
格闘家みたいな体つきで筋肉質な人だから、何も知らない状態での初対面だったらびっくりしていたかも。
「流石レティシア。マックス相手でも平然としているわね。」
横で私たちの様子を見ていたアディがそんなことを口にした。どういうことか分からず、私は首をかしげた。
「以前別の子供たちにモニターしてもらったことがあったんだけどね、マックスのこと見たらみんな泣いちゃって。」
「ごめんね、ちょっと分かるかも。」
「いいえ、慣れていますので。どうにかしたいとは思っているんですけどね。」
大きな体に反して、悩みを訴えるマックスの背中は小さく見えた。子供向けの商売だから、余計に大変だろうなと勝手に同情心を覚えてしまった。
「レビューしていただきたい商品はほかにもあります。レティシアさん、お願いします。」
「任せて!」
________。
数時間後。窓の外は真っ暗で、所々小さな星が見えている。
マックスとアディはやることがあるとか言って、私に発売済みのおもちゃを押し付けてどこかに行ってしまった。一通り遊びつくして疲れてしまったので、私は気分転換にポケットからあるものを取り出した。
それは、シンシアにもらったレッドフォード社の発売済み子供向けリップのサンプルと、小さな手鏡。試供品がたくさん余っているからと、彼女がくれたものだった。
お昼に塗ってもらったリップクリームは、唇を彩るための化粧品ではなかったから早々に色が落ちてしまっていた。
開けてみると、シンシアがくれたリップは先が刷毛になっているタイプだった。気を付けて塗らないと、象徴画みたいな顔になるかも。
「アディはいつ戻ってくるのかな。」
誰に向けてもいない独り言を空に吐き、私はリップの刷毛を唇に押し当てた。
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