【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

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レティシア15歳 輝く未来へ

第152話 王都騒乱

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 クラス対抗戦は四日目。
 いよいよ大詰め、1年1組のクラスメイトたちは優勝に向け、もう競技が無いものも含めてやる気に満ち溢れていた。

 本日の主な予定は……

 武術対抗戦は男女ともに決勝リーグとなる。
 ルシェーラの対戦相手の中には昨年の優勝者がおり、激戦が予想される。

 レティシアが出場する魔法対抗戦は2回戦、3回戦が予定され、決勝リーグ進出をかけた戦いが行われる。




 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「カティア、大丈夫かなぁ……兄さんも」

 不安そうにレティシアが呟く。

 昨日カティアから聞いた暗殺組織の壊滅作戦。
 それは彼女が帰城したあと騎士団にて緊急会議が行われ、電撃作戦として実行されることになった。

 カティア自身もそれに参加することを、レティシアは通話魔道具でんわで聞いていた。
 兄リュシアンも総指揮官として作戦にことになるため、昨晩は王城から帰宅しなかった。


「カティアさんもリュシアン様も、暗殺者ごときに遅れは取りませんわ。……できることなら私も作戦に参加したかったですが」

「あはは……まあ、私達はまだ学生だから……」

 婚約者と肩を並べて戦いたいと願うルシェーラに、レティシアは苦笑で返すしかなかった。


 そんな騒ぎをよそに、学園ではクラス対抗戦の四日目の競技が行われるのだが……

 それは、魔法対抗戦の第二回戦でレティシアが危なげなく勝利したあとに起きた。



「……何?爆発音?」

 最初にそれに気付いたのはシフィル。
 どこか遠くの方から何かが爆発するような音を、彼女の優れた聴覚が捉えたのだ。


「どしたの、シフィル?」

 シフィルの様子に気づいたレティシアが疑問を浮かべる。

「いや、街の方から……これは……戦闘の音?」

 彼女が集中して耳を澄ませば、爆発音のほかにも多くの人間の怒号や悲鳴、破壊音も聞こえてくる。


「戦闘……まさか、カティアさんたちが?」

「分からないけど、だんだんこっちに近づいてきてるみたい」

「「「ええっ!?」」」


 レティシアたちがシフィルの言葉に驚愕した直後、魔野外演習場の一角から大きなどよめきが起きる。

 そして……騎士らしき男たちが演習場に現れて、大きな声で叫んだ。

「イスパル王国騎士団より伝令!!7番街区に巨大な魔物が3体出現した!!街の被害を抑えるためソイツらを学園まで誘導する!!ここは戦場になるので、学園関係の者は直ちに避難するんだ!!」


 その言葉に学生たちは、一瞬何を言われたのか分からず……しかしすぐに理解してパニックになりかける。

「まだここに来るまで時間はある!!落ち着いてここを離れるんだ!!」


 そして騎士たちは学園教師たちの協力も得ながら生徒たちの誘導を始めた。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



「……なんだか大変な事になったわね」

「巨大な魔物が3体って……いきなり街中に現れたみたいな言い方だったけど、いったいどこから……?」


 避難誘導に従いながら行動するレティシアたちだったが、現在の状況に戸惑いを隠せない。


「暗殺組織の壊滅作戦とは聞きましたけど……何をどうしたらこうなるのか、さっぱり分かりませんわね」

「さっき建物の影からチラッと見えたけど、結構ヤバそうよ、あれ」


 伝令の騎士たちはまだ時間はあると言っていたが、それほど余裕があるわけでも無いようだ。

 しかし最初こそパニックになりかけた学生たちも、今は比較的落ち着いて行動している。
 その点は彼らの優秀さを表しているだろう。


 そしてシフィルの言葉にルシェーラは、暫し考える素振りを見せてから言う。


「……やはり、私も戦闘に加わりますわ」

「おー、そうこなくっちゃね!」

「だ、ダメよ!二人とも!!私達はまだ学生なのよ!?」

 ルシェーラとシフィルの会話に、真面目なステラが苦言を呈する。
 確かに彼女の言う通り、学生の身で実戦に身を投じるのは望ましくはない事だろう。
 バレれば教師たちから大目玉を喰らうのは間違いない。
 だが。

「生半可な実力の者が参戦すれば足手まとい……かえって邪魔になりかねませんが。私達であれば十分な力になれるでしょう。あれ程の巨大な魔物が3体……今は一人でも力を持つ者が必要なはずですわ」

「ルシェーラの言う通りね。私だって武神杯本戦出場者なんだから、力になれると思うのよ。それに、私達の大切な学舎を壊されてなるものですか!」

 既に二人の覚悟は決まっているのだった。

 そして、それを聞いたステラも……

「……分かったわ。だったら私も。かつてのアダレットの過ちを赦してくれた、その恩に報いなければ」

 そう、決意するのだった。



「わ、私はどうしようかな……何かアレ、遠目で良く分からないけど魔法が効いてないみたい……」

 レティシアが言う通り、ときおり遠目に見える巨大な魔物に対しては魔法らしき攻撃が加えられているようだが……魔物に届く前に掻き消えているように見えた。
 それはかつての『異形』との戦いを思わせる。


「レティシアさんは他の生徒さんたちを護って頂きたいですわ(流石にレティシアさんを連れて行ったら、リュシアン様に怒られてしまいますわ)」

「う、うん、分かった!任せておいて!」

 攻撃魔法が役に立たなくても、結界魔法で学生たちを守ることはできる……と、彼女は気を取り直した。



 と、その時……美しい歌声が響き渡り、光の漣が学園にまで押し寄せてきた。

「これは……カティアさんの[絶唱]?」

「これが?『星光の歌姫ディーヴァ・アストライア』の由来になったと言う……凄いチカラが漲るわ!」

 ルシェーラ達だけでなく、カティアの歌声を聞いた他の学園生たちも驚きの声を上げる。
 噂では聞いていた『星光の歌姫ディーヴァ・アストライア』の力を肌で感じたのだ。


「……なるほど。それほどの相手ということなのですわね、カティアさん。さあ、行きましょう!」

「ええ!腕がなるわね!」

「無理は禁物よ!シフィル!」

「みんな!!気を付けて!!無茶しちゃダメだよ!!」


 レティシアの言葉に三人は片手を上げ答えてから駆け出していく。

 そうして彼女たちは避難する学園生たちから離れて、戦場に向かうのだった。

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