【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I

文字の大きさ
25 / 151
剣聖の娘、騎士登用試験を受ける……?

試験開始……?

しおりを挟む


「時間だ!!騎士志望の者たちは集まれ!!」

 他の受験者たちと一緒に暫くその場で待っていると、数人いた試験官の騎士らしき人物の一人が声を張り上げた。
 どうやら時間になったようだ。

 ぞろぞろと試験官の下に集まる受験生たち。
 エステルとクレイもそれに合わせて移動する。


「よし、集まったな。これより王国騎士団登用試験を始める訳だが……先ずは試験の流れを説明しよう」

 そう言って試験官の騎士は説明を始めた。


 まず最初に本人確認。
 正規の手続きが行われた当人であるのかを確認する。
 当然飛び入り参加は不可だ。


 続いて筆記試験。
 一般常識、教養や倫理観を問うものが出題される。
 騎士は脳筋には務まらないのだ。


(……筆記試験があるなんて聞いてないよ!?)

(……デニス様から説明があったし、手続きするときにも言ってたぞ)

 もちろん聞いてないし、聞いてたとしても覚えてないのがエステル・クオリティだ。

(え~……どうしよう、自信がないよ……)

(大丈夫だろ。お前だって勉強が出来ないわけじゃないだろ?)

 彼らは読み書きはもちろん、王都の初等~中等学校で習うようなことはジスタルやエドナ、村の長老たちから教えてもらっている。
 エステルはこう見えても成績は優秀である。
 ……一般常識については些か不安が残るが。


「そこ!!無駄話はするな!!」

「「はい!!すみません!!」」

 怒られた。




 次に面接。
 騎士たる者、人格面でも優れていなくてはならない。
 時に身分の高い要人の護衛任務などもあるため、腕っぷし自慢なだけのゴロツキを採用するわけにはいかないのだ。



 そして最後に実技試験だ。
 何だかんだで、やはり騎士の評価は戦闘能力が大きなウェイトを占める。
 騎士団には事務職員も多くいるが、それは採用枠が別だ。



「ガイダンスは以上だ!!何か質問がある者はいるか!?……………大丈夫そうだな。それでは、受験者の確認を行うから、列を作って順番に並ぶんだ。王都地区出身者はここ、北部地域はこっち、西部地域は…………」

 スムーズに確認するため、どうやら出身地域別に列を作って並ぶようだ。



「えっと、私達は西部地域で良いんだよね?」

「そうだな。俺たちも並ぼう」

 シモン村のあるニーデル辺境伯領はエルネア王国の西の端にある。
 列に並んだ人を見ると王都地区の列がやや長く、それ以外は大体同じくらいだ。
 王国全土から満遍なく集っているのが良く分かる。


「あ、あの大っきい人は王都出身なんだね~」

「みたいだな。……どうだ?あいつ、強いか?」

「ん~…………そこそこかなぁ?」

「ほぅ……口と態度だけじゃないのか」

 エステルの言う「そこそこ」は、一般の評価に照らし合わせれば相当な実力者と言うことになる。
 その評価にクレイは感心したように呟きを漏らした。



 そして受験者たちの確認が進み、エステルの前……クレイの確認が滞りなく終わる。

「じゃあ、先に行ってるぞ」

「いってら~」

 係の者に案内されて、クレイは筆記試験の会場となる騎士団本部の建物の中に入っていった。


「よし、次の者!」

「はい!お願いします!!」

「ほう、元気があって良いな。では、出身地と名前を言ってくれ」

 受験者の確認を行う騎士は、名簿のようなものを見ながらチェックを行っているようだ。

「はい!!ニーデル領シモン村のエステルです!!」

 褒められて気分を良くしたエステルは、更に大きな声で名前を告げた。


「ニーデル領……さっきの者とおなじだな。ニーデル領……シモン村……ん?」

「?どうしました?」

「いや、ちょっと待ってくれ……ニーデル領…………う~ん…………ちゃんと手続きはしたんだよな?」

「え?はい、さっきのクレイと一緒にやってるはずです」

 ……ほぼクレイに丸投げだったが。

 彼が悩んでいるのは、どうやら名簿にエステルの名前が見つからないからのようだった。


「だよな……ちょっと待っててくれ、他の名簿に紛れているかもしれないから、確認を……」

「あ、今シモン村のエステルと言ったか?」

 エステルの対応を行っていた騎士が他の者に確認しようとしたとき、別の騎士がエステルの名を聞いて声をかけてきた。

「お前確か昨日は非番だったか。通達があってな……シモン村のエステルは別会場の…………………で試験があるとの事だ」

「え……?そこは確か………」

 何事か疑問を口にしようとした担当の騎士は、そこでエステルの顔を再び確認すると……

「ほぇ?」

「あぁ……なるほど、な。分かった。では別の者に案内させるから少し待っててくれ」


 と、妙に何かに納得してエステルに告げるのだった。
 
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

処理中です...