【完結】剣聖と聖女の娘はのんびりと(?)後宮暮らしを楽しむ

O.T.I

文字の大きさ
59 / 151
剣聖の娘、裏組織と戦う!

人身売買組織壊滅作戦

しおりを挟む


 国王アルドと騎士団の幹部が居並ぶ会議室。
 そんな中に何故か平民の娘であるエステルが混じっているのは異様な光景とも言えた。

 アルドの隣に座った彼女に、今も騎士たちの視線が集まっているが……当の本人はまるで萎縮することなくニコニコとしている。
 よほど『極秘任務』の会議に参加できるのが嬉しいのだろう。



「よし、皆揃ったな。今回皆に集まってもらったのは他でもない。近ごろ、王都の民を脅かしている人身売買組織……『宵闇の翼』の壊滅に向けた作戦についての最終確認を行いたい」

 アルドが視線を巡らせて幹部騎士たちを見やりながら、会議の開始を告げた。


「既に各部隊には通知されていると思うが……これまで散々手を焼かされてきた闇の組織を、今度こそ確実に潰すための極秘作戦だ。心して遂行に当たるように。……ディセフ」

「はっ!作戦の詳細については私から説明させていただきます」

 アルドの言葉を引継いで、ディセフが說明を始めようとするが……

 年配の騎士が一人、手を上げて発言の許可を求める。


「申してみよ」

「ありがとうございます。作戦の詳細を詰める前に……そちらのお嬢様についてご説明頂いても?」

 アルドの許可を得た騎士が発言すると、再びその場の視線がエステルに集まった。


「ほぇ?私?え~と……」

「彼女は今回の作戦の要となる娘で、エステルと言う。……今度、俺の後宮に入る予定の者だ」

 何と答えるべきかエステルが悩んでいると、アルドがそのように説明した。
 その言葉に、騎士たちの間に動揺が走る。


「へ、陛下、よろしいのですか?」

「騎士団には腕の立つ女性もおります。危険な任務にそのような方を参加させるなど、同意いたしかねますぞ」

 口々に反論する騎士たち。
 王の伴侶となるかもしれない女性を危険な目にあわせるわけにはいかない……口にする理由はそういったものだが、騎士団としてのメンツ、プライドというのも多分にあるのだろう。


「貴兄らの疑念はもっともだ。しかし、今回の作戦ではどうしても単独行動が求められる。何か不測の事態が起きた場合に、自力で切り抜けられるほどの実力がある女性騎士はいないだろう。それに加えて、容姿が優れている……という点も必要だ」

 ちら……とエステルを横目に見ながらアルドは言う。


「確かに、エステル嬢はお美しいですが……」

「えへへ~」

 美しいと言われて照れるエステル。
 容姿を褒められて喜ぶところは、多少は女らしさがあるのかもしれない。

 しかし、その様子を見た騎士たちの疑念は更に増す。
 どう見ても強そうには見えないからだ。


「……陛下のお言葉とはいえ、彼女ならば危機に陥っても単独で切り抜けられる……とは、到底信じられないのですが」

 その言葉にディセフは苦笑する。
 しかし、彼はその身をもってエステルの実力を確認しているのだ。
 ……まさに命がけで。


「まあ、信じられないのは無理もないですけどね……ですが、少なくとも彼女は私よりも強いですよ」

「俺とはほぼ互角だったな」

「なっ!?ディセフはともかく……陛下とですか?」

「俺はともかくって……」

「とにかくだ、今回の作戦において彼女以上の適任者はいないと言う事だ(……本当は俺だって反対なんだがな)」

 内心ではエステルを作戦に参加させたくないと思いつつも、それはおくびにも出さずにアルドは断言する。
 問答はこれで終わり、とばかりに。

 騎士幹部たちは未だに信じられない気持ちはあるが……王がそこまで言ったからには、それ以上の否やを差し挟む事はできないだろう。


「さて……それでは作戦を説明させていただきます」

 そうしてようやく、ディセフは説明を開始することが出来るのだった。






 作戦の概略はそれほど難しい話ではない。

 ようするに、エステルを囮として組織の内部に潜入させて、その中枢に迫る……というものだ。

 正式な騎士の一員でもないエステルに、このような重大な役割を任せるのは誰もが(作戦を認めたアルドでさえも)複雑な思いを抱くのだが……


「わたし、頑張ります!!悪の組織を壊滅させます!!」

 当の本人はものすごくやる気に満ちている。
 騎士幹部たちの懐疑的な視線もなんのそのだ。


 もう既に彼女の頭の中では……

 地下組織に潜入して捕まった女性達を発見し、彼女たちを護りながら脱出を試み……
 大立ち回りを演じ、並み居る敵をバッタバッタとなぎ倒し、更には大ボスを死闘の果に打倒して……遂に組織は壊滅。
 救い出した女性たちから『聖女騎士さま~!』と彼女を称える声が…………

 という場面が何度も繰り返されているのだった。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

処理中です...