125 / 151
剣聖の娘、裏組織を叩き潰す!
剣聖の娘、真価を発揮する!
しおりを挟む彼らは、自分たちが今まで爆弾を抱えていたという事実に、今更ながら気付いた。
エステルは抑え込んでいた闘気を爆発させると、まずは舞台上で少女たちを取り囲んでいた白仮面の男たちを無力化させるため行動を開始した。
見た目は可憐な少女が突如として獰猛な肉食獣と化すのを目の当たりにした彼らは、驚きのあまり硬直している。
それは致命的な隙となり、エステルはあっというまに男たちに肉薄して強烈なボディーブローを叩き込んでいく。
「ぶぇっ!?」
「ぐはぁっ!!」
「うぼぁっ!!」
悶絶してその場に蹲る男たち。
そして、そのタイミングで会場内にある複数の扉が音を立てて一斉に開け放たれ、アルド率いる部隊がなだれ込んできた。
「一人も取り逃がすな!!少女たちの安全にも配慮するんだ!!」
静かだったオークション会場は、一転して怒号が飛び交う状況に陥った。
突然の事態に混乱して狼狽する黒仮面のバイヤーたちに対し、騎士たちは統制のとれた動きで次々と彼らを無力化、捕縛していく。
その一方で、白仮面の男たちは混乱から立ち直って騎士たちに応戦する者もいたが、クレイやギデオンら精鋭たちの前にその数を確実に減らしていった。
と、その時。
「止まれ!!女たちがどうなっても良いのか!?」
そう叫んだ白仮面の一人は観客席の隅の方に立ち、狙いを付けるかのように右腕を舞台上の少女たちに向けていた。
そしてその手に火の玉が生まれる。
更に、同じように舞台上を狙う者が数名確認できた。
「ちっ……!魔導士か!!」
アルドは舌打ちする。
だが、エステルならばきっと何とかしてくれるはず……と声をかけようとするが、それより前に彼女は行動していた。
「えいっ!!とりゃっ!!そりゃっ!!」
エステルは足元に転がっていた石をいくつか拾い上げると、目にも止まらぬ速さで魔導士たちに向かって投げつける。
可愛らしい掛け声とは裏腹に、猛烈な勢いで放たれたそれは正確に男たちの頭を直撃……彼らは悲鳴を上げるまもなく昏倒した。
「みんな!!絶対に護るからね!!」
エステルの力強い言葉が、恐怖と絶望に心を支配されていた少女たちを勇気付ける。
彼女たちはエステルの、騎士たちの活躍をその瞳に焼き付ける事だろう。
そうして、騎士たちがその場を制圧するのも時間の問題と思われたのだが……
(あの男はどこに……)
仮面の者たちの中でも最も手練れと思われた男を、エステルは探していた。
(……いた!!逃げるつもり!?)
その男は混戦を避け、一見してその場から逃げようとしているようにも見えた。
しかし出入口は全て騎士団員が押さえているので、逃げ場は無い。
いかに手練れと言えど、単身で突破するのも困難であるはずだ。
だが、彼は出入口に向かうでもなく……その動きからすると、人が少ない広い場所を目指しているらしかった。
(何をする気なの……?)
少女たちを護りながらも男の動向に注目していたエステルは、彼の不可解な行動に疑問を感じていた。
そしてその答えは直ぐに判明する。
彼は自分の懐に手を入れ、何かを取り出してそれを掲げた。
それぞれの指の間に挟まれた、いくつもの丸い宝玉のような何か。
エステルと同じように男の動きに気づいていたアルドが、その宝玉の正体に気が付いて驚愕の声を発する。
「あれは……まさか!?いかん!!誰かヤツを止めろ!!」
「もう遅い!!……出でよ!!そして思うがままに蹂躙するがいい!!」
叫び声とともに宝玉が床に叩きつけられると、まばゆい光が溢れ出す。
そして一瞬のうちにその光が晴れたあと、そこに現れたのは……!
「魔物!?あれは……ルゥ・ガルゥ!!」
その魔物は、額から一本の角を生やした狼のような姿をしていた。
体長は成人男性を優に超えるほどの巨躯を誇る。
それが、十数体ほど。
辺境の地に現れる魔物であり、エステルも何度も相手をしたことがあるのでよく知っている。
彼女やクレイからすれば、単体ではそれほど脅威とはならないが、魔物と戦い慣れてない者にとっては危険な相手だ。
何より数が多い上に、野生の狼と同じく連携を取ってくる点も厄介だ。
護るべき者がいる状況では尚のこと。
『ぐるるぅ………』
低く唸り声を発しながら、魔物たちは騎士団員を敵と見定めたようだ。
思わぬ敵の出現に困惑しながらも、騎士たちは迎撃態勢を取った。
そして魔物たちが一斉に駆け出し襲いかかろうとした、その時……!
「エステル!!」
クレイが大声で叫ぶ。
その手には、エステルに渡すために持ってきていた、彼女の愛剣である大剣が握られていた。
「クレイっ!!ソレちょうだいっ!!」
「ああ!!受け取れっ!!」
そう言ってクレイは、大剣をエステルに向かって放り投げる。
くるくると回転するそれを、大きく跳躍したエステルが空中で掴み取った。
そして彼女はそのまま大剣を振りかぶって……
「くらえ!!スーパーウルトラエステルスラーシュッ!!!」
少々微妙な技名を叫びながらの一閃!
その衝撃波の一撃は、騎士たちに飛びかかる直前だった魔物たちの数体をまとめて薙ぎ払った。
そして……
「みんな!!いくよっ!!」
騎士たちの先頭に立ったエステルは、彼らを鼓舞する。
美貌の聖女騎士が見せる勇ましい姿と圧倒的な力に、彼らの士気は否が応でも高まるのだった。
113
あなたにおすすめの小説
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる