工藤くん、恋のバグは直せますか? 〜一夜の過ちから、同期の溺愛が始まりました〜

有明波音

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噂の同期は、送り狼?

5.

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 冗談なんて言ってるけど、そうとも聞こえず。
 自分の話をしてもつまらないと思われる、そう思っていたのか。
 そんな『ネガティブ工藤』に驚きもしたけれど、なんだか今日の彼は、もっと自分のことを教えてくれるような気がした。

 それに、『帰る時間を気にしなくて良い』というのも、すっかり私の心を軽くしていた。元カレの浮気が原因で別れたというのに、その元カレは束縛するタイプで。今までは、飲み会も全部早々に切り上げていた。

 目に入った近くのコンビニを指差し、工藤に声をかける。


「ねぇ、もう少しだけ、付き合ってくれない? 近くに公園あるみたいだし」
「……俺は全然良いけど。あんまり飲み過ぎて、倒れるなよ?」
「はーい」


 結局、二人で缶チューハイや缶ビールを数本買い、近くの公園のベンチに座った。

 ……深夜のコンビニでお酒を買って、同期と公園で肩を並べて飲むなんて。こんなお酒の飲み方、大学時代を思い出す。そんな酔っ払いの誘いに応じてくれる工藤は、やっぱり良い奴なのだろう。

 早速缶のプルタブを開け、工藤と乾杯した。二人だけで、二次会の始まりだ。


「やっぱり、浮気のショックはデカかった?」


 突然工藤から元カレの話をふられ、「うーん、そうだね……」と改めて考える。


「昨日の今日だから、まだ笑い話には出来なかったよね。だって同棲ってさ、結婚まで意識するじゃない? でも、きっと元カレはそこまで考えずに、流れ込むようにうちに住み着いただけだったんだなって」
「それで、昨日帰ったら別の女がいたって?」
「そうそう、昨日は元々帰りが遅くなる予定だったんだけど、結構巻きで仕事したら早く終わったから。だったら家でご飯作るか、と思って急いで帰ったら、知らない女の人とキスしてた」
「うわー最悪だなそれ」


 バッサリと言い放つ工藤。裏表のない物言いが、いっそ清々しい。事実を並べればやっぱり元カレがク⚪︎男に思えてきて、私もだんだんとヒートアップしてきた。


「本当信じられないよね!? まぁ、裸でまぐわってなくて良かったけど……いや、よく考えたらさ、そもそも私の名義で借りてる部屋なのになんで私が出ていかなきゃならないの? おかしいよね!?」
「まぁ、それは普通に考えておかしいな。出ていくのは男の方だろ」
「だよね? あー……ちゃんと話し合わなきゃダメかぁ。やだなぁ……」


 昨日は流石に浮気女の方がすぐ家を出たものだから、私も自分のアパートで寝たけれど……。結局あまりの怒りでうまく寝付けず、明け方にはボストンバッグに荷物を詰め込み、そのまま出てしまった。

 ちなみに、元カレの方はぐーぐーイビキをかいて、何事も無かったかのように寝ていた。それを思い出すと、また腹が立ってくる。


「あーーーもうっ、なんであんな男と付き合っちゃったんだろう? 最初はまともだったはずなのに……」
「青山……」
「……私さ、オモチャでしかイけたことないんだよね」
「は?」


 隣で缶ビールを持った工藤が、ピタリと固まった。でも、私はそんなことはお構いなしに、話を続ける。


「元カレとはセックスしてても、全然濡れなくて。やっぱり私が悪いのかな? それで、彼の帰りが遅い時にオモチャで試したら……イけたの。びっくりしちゃった。それからはもうオモチャでしかイけなくなっちゃって」
「えっと、青山……?」
「元カレが浮気バレた瞬間、何て言ったと思う? 『波瑠はセックスしてても全然気持ちよく無さそうだし、遠慮してたら俺もどんどん性欲が溜まってくんだよ。だから、浮気の原因は波瑠だからな?』って言ったんだよ? う~っ……」


 お酒を飲みながら泣き出すなんて、本当になんでこんな面倒くさい女になってしまったんだろう。
 頭では分かっているのに、涙は止められない。


「私、やっぱり不感症なのかな……」
「そんなの、どう考えても元カレが下手くそなだけだろ」
「……そう、なのかな。でも、自信無い」
「じゃあ、試してみる?」
「え?」


 突然の提案に驚き工藤の方を見ると、眼鏡越しに視線が交わった。口元は弧を描いてるのに、その目は真剣そのものだ。ドクンと大きく心臓が脈打った。

(え、本当に工藤……?)
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