75 / 91
全てが明るみに出る時 ー飛鳥sideー
2.
しおりを挟む「え!この間の写真の件ですか?? そんな……」
「澪、大丈夫だ。探偵を雇って写真を撮ったことは裏が取れてる。とはいえ、証言者として澪と竹田にも入ってもらった方が良いかもな」
「私は大丈夫ですよ、同席します。竹田さんは、どうですかね?」
「竹田も、今回の件で澪に迷惑をかけたと思っているだろうから、必ず出席してくれるだろう。
あと、澪のお父さんの事故の件なんだけど……もう17年も経っていて、証拠を揃えて糾弾するのは難しいと思ってる。とはいえ、何も無かったことにするのは癪だ。この間お会いした青木様も呼ぶことはできるか?」
「癌が見つかったばかりとおっしゃってたので治療中かもしれませんが……一度お電話して、協力頂けるか聞いてみますね」
「ありがとう、助かるよ。大成、諸々の証拠写真については、あっちと連絡取れてるか?」
「はい、大丈夫ですよ」
「飛鳥さん、『あっち』って誰のことです?」
「あぁ、協力者がもう1人いるからな。それは役会までのお楽しみ」
「そうなんですね……なんだか、今から緊張してきました。取締役会っていつなんですか?」
「明後日、水曜の14時30分からだよ。澪のシフト調整に関しては、庄司さんにお願いしておくよ。竹田の方はフロントのアシスタントマネージャーに相談するかな。専務派の人間に頼むと、怪しまれるだろうから」
「分かりました、早番で引き継ぎも終わった後なので、調整しやすいと思います。庄司さんとの調整もありがとうございます」
取締役会での段取りを調整して、あっという間にホテルに到着した。自分たちがこれから起こそうとしていることを、水嶋親子や専務派の人間に勘付かれないよう、この3日間は慎重に行動した。
***
水曜日、取締役会が始まるまで、あと10分となった。
澪が青木様(今日はゲストでは無いので青木さん)に電話をしてホテルに来てくれることになった。倉田支配人のためなら、と快諾してくれたそうだ。
会議室近くの別室で、澪、竹田、青木さんは待機することになった。これで全員、役者は揃った。
ふぅ、と一息つく。専務の悪事を役員陣の前で晒す、という大仕事に少し緊張していた。
「よし、行くか」
そして、取締役会は始まった。
***
今日取締役会に参加しているのは、代表取締役である父と、水嶋専務、常務、取締役3名、そして副社長の俺の計7名だ。
水嶋専務は席に座る前に俺を一瞥し、「ふん、来たか」と言いながら座っていた。俺が逃げ出して、役会に参加しないとでも思ったのだろうか。
役会の決議事項も全て確認し、会も終わりに近づいた時だった。
「私も取り上げたい事項があるのだが」
「はい、水嶋専務。どうされましたか?」
「先日全社にメールが出回った、七瀬副社長の件ですが、あれはいかがなものかな? 役員の皆さん、何とも思いませんでしたか?」
(……予想通り来たか)
ねっとりと、まとわりつくような視線をこちらに向ける。水嶋専務派の田所取締役も、同調するように発言した。
「メールの件は私も驚きました。七瀬副社長、あれは本当なんですか? 婚約者がいながら、別の女性と男女関係にあるというのは……異性関係は個人のこととは言え、ホテルの信用にも関わるのでは?」
「……事実とは全く異なる内容で、大変驚きました。まるで、誰かが意図的に、都合の良い部分だけを切り取ったかのような写真だったもので」
ちらりと水嶋専務に視線を向ける。
13
あなたにおすすめの小説
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
契約書は婚姻届
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「契約続行はお嬢さんと私の結婚が、条件です」
突然、降って湧いた結婚の話。
しかも、父親の工場と引き替えに。
「この条件がのめない場合は当初の予定通り、契約は打ち切りということで」
突きつけられる契約書という名の婚姻届。
父親の工場を救えるのは自分ひとり。
「わかりました。
あなたと結婚します」
はじまった契約結婚生活があまー……いはずがない!?
若園朋香、26歳
ごくごく普通の、町工場の社長の娘
×
押部尚一郎、36歳
日本屈指の医療グループ、オシベの御曹司
さらに
自分もグループ会社のひとつの社長
さらに
ドイツ人ハーフの金髪碧眼銀縁眼鏡
そして
極度の溺愛体質??
******
表紙は瀬木尚史@相沢蒼依さん(Twitter@tonaoto4)から。
いじわるドクター
羽村 美海
恋愛
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
元彼にフラれる時に言われた言葉がトラウマになってしまった芽依は、もう恋なんてしない、できないと思っていた。
ある朝、アパートのエレベーターで居合わせた超絶イケメンの彼。
その彼と再会させてくれたのは、突然現れて芽依にぶつかってきた可愛い真っ白な子猫だった。
動物には、優しくて、眩しいほど素敵な王子様の様な笑顔を向ける彼は、芽依には、素っ気なくて、とっても無愛想な獣医さんだった。
迷子だという可愛い真っ白な子猫の元へ通ううち、獣医である彼に少しずつ惹かれていく芽依。
そんな芽依に、思いもしなかった展開が待っているのだった。
例え、身体だけの関係だったとしても… あなたの傍に居たい……。
*スレ違いから始まってしまった恋*
*焦れ焦れ大人の純愛story*
甘く切なくもどかしい不器用な恋を見守って頂けると幸いです♪
※大人表現満載になっていますので、苦手な方はくれぐれもご注意下さい。
【無断転載禁止】
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
社会人1年生の高岡芽依<タカオカ メイ> 20歳
ツンデレ?イケメン獣医師の五十嵐海翔<イガラシ カイト> 27歳
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
こちらは、数年前にエブリスタさんで連載していたものです。
⚠「Reproduction is prohibited.(転載禁止)」
※サイトで投稿をはじめた頃の作品です。読みにくいと思いますがご容赦いただけると幸いです🍀
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。
【完結】エリート産業医はウブな彼女を溺愛する。
花澤凛
恋愛
第17回 恋愛小説大賞 奨励賞受賞
皆さまのおかげで賞をいただくことになりました。
ありがとうございます。
今好きな人がいます。
相手は殿上人の千秋柾哉先生。
仕事上の関係で気まずくなるぐらいなら眺めているままでよかった。
それなのに千秋先生からまさかの告白…?!
「俺と付き合ってくれませんか」
どうしよう。うそ。え?本当に?
「結構はじめから可愛いなあって思ってた」
「なんとか自分のものにできないかなって」
「果穂。名前で呼んで」
「今日から俺のもの、ね?」
福原果穂26歳:OL:人事労務部
×
千秋柾哉33歳:産業医(名門外科医家系御曹司出身)
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる