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第43話 黒竜と白竜の戦い
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処刑台で私を助けてくれた黒竜様。
アイザックはその時とまったく同じシチュエーションで、私を助けにきてくれました。
──でも、なんでアイザックが竜山に?
私がここにいることを、アイザックは知らないはずなのに!
「ルシルから離れろ!」
黒竜様であるアイザックが、イライアスに威嚇をします。
驚いたイライアスが後ずさってくれたおかげで、私は逃げることができました。
私を取り逃したことで、イライアスは怒りを露わにしながら叫びます。
「アイザック! よくも僕の邪魔をしたな!」
「邪魔だと? 俺はルシルを助けにきただけだ」
「うるさいッ! お前さえ……お前さえいなければ!」
イライアスの体が膨張します。
そうして白銀の竜の姿に変身しました。
黒竜と白竜が、対峙する。
いま、まさに命をかけた戦いが始まろうとしているシリアスな情景だというのに、私の心は輝くように昂っていきました。
二匹の竜を目にして、私のテンションは最高潮に湧き上がります!
「なにこの光景! ご褒美? 私へのご褒美なの!?」
ついさっきまでイライアスに捕まりそうになっていたことなど、どこかに吹き飛んでしまった。
いまの私がすること。
それは二匹の竜の姿を、脳裏に焼き付けることよ!
「ああ、なんで紙もペンもここにはないの! こんな凄い光景、滅多に見られないのに!」
竜の兄弟が、私を奪い合っている。
ちょっと申し訳ない気もするけど、悪い気はしませんとも。
だって人生を賭して研究し続けてきた大好きな竜が、私のことを取り合っているんだから!
「夢? もしかしてこれ、私の夢なの? それならアイザックが突然現れたのも納得だけど」
でも夢にしては、あまりにもリアルすぎる。
なにせ二匹の竜には、明確な違いがあるのだから。
白竜であるイライアスの体よりも、黒竜であるアイザックの体のほうが一回り以上大きい。
まるで子どもと大人といった感じです。
「アイザック、せっかくだ。この機会に殺してやる!」
「お前が俺に勝つのは無理だ。なぜなら俺は、この国の元守護竜だからな」
二匹の戦いの決着は、一瞬でした。
突進する白竜を、黒竜は翼を使って浮上することでいなします。
そして黒竜が白竜の首元に噛みつき、地面に抑え込んだのです。
ドスンという大きな音とともに、地面が揺れる。
白竜の叫び声がしばらく続いたけど、しばらくすると静かになりました。
黒竜が、白竜を完膚なきまでに叩きのめしたのです。
「アイザックが、勝ったんだ!」
私は二匹の竜の側へと、近寄ります。
その間に、二人は人の姿へと戻ってしまいました。
──ああ、もったいない!
もう少し、竜の姿をしてくれていても、良かったのに。
「アイザック! 大丈夫?」
「俺は平気だ」
アイザックの胸元に跳びつきます。
一時は、二度とアイザックに会えないと思っていた。
だからアイザックにまた出会えたことで、感情的になってしまいます。
「ごめんなさい……助けにきてくれてありがとう。でも、なんでここがわかったの?」
アイザックは竜晶石を探すため、山にでかけていたはず。
遠いジェネラス竜国にいるはずのアイザックが、なぜカレジ王国にいたんだろう。
「それは……これを探していたからだ」
アイザックが水晶のような石を取り出しました。
奇妙に光り輝くその石は、神秘的な気配を放っています。
「これって、もしかして竜晶石?」
「そうだ。竜山の遺跡に保管されていた竜晶石を回収に来たんだが、その時に白竜と一緒に降り立ったルシルを見かけたんだ」
「ということは、アイザックもカレジ王国にいたのね」
驚いた。
てっきりジェネラス竜国内で竜晶石を探していると思っていたのに、まさかカレジ王国の竜山に来ていたなんて。
「ルシルに黙っていたのは謝る。結婚祝いに、サプライズしようと思っていたんだ……」
シュンとするアイザックを見て、私は胸の奥が温かくなる感覚を覚えます。
私のために忙しい仕事をすべて終わらせて、こんな遠くまで竜晶石を探しに行ってくれていたんだ。
「アイザック、嬉しいわ。それにまた助けてくれて、本当にありがとうね」
処刑台の時だけでなく、アイザックはまた私のことを助けてくれた。
「一生かけても、恩を返すことはできなそうね」
「そんなことはない。俺はルシルがいてくれるだけでいい……ルシルがいない世界なんて、俺には我慢できないから」
アイザックが私のことを抱きしめます。
この人を好きになって、良かった。
そう、改めて思うことができました。
「……そういえば、イライアスは大丈夫なの?」
「問題ない。殺しはしていないし、いまは気絶しているだけだ」
地面に倒れたままのイライアスへと視線を向けます。
人の姿の時はアイザックと身長は同じぐらいのはずなのに、竜の姿では大きく違っていた。
「竜の姿になると、アイザックのほうが大きいのね。ビックリしちゃった」
「俺はこの竜山で長い間、地脈を通して災いを鎮めていた。だからその分、力を貯めることができたんだ」
守護竜を経験すると、他の竜よりも強く成長する。
次期国王候補の竜が、カレジ王国の守護竜になるのはそういった意味合いもあるのかもしれない。
「それにしても、なぜルシルがイライアスと一緒にカレジ王国にいるんだ?」
アイザックの疑問は、まさにその通りだよね。
ジェネラス竜国にいるはずの私が、カレジ王国の──しかも竜山にいるんだから、驚いたことでしょう。
さらにそれだけでなく、政敵である第二王子と一緒にいたんだから、目も当てられない。
「私は……カレジ王国の民を助けにきたの」
「カレジ王国の民を?」
「うん……最初はセシリアたちを救いに来たんだけど、それだけじゃダメだって思ったわ」
カレジ王国はいま、滅亡の危機に陥っている。
このまま見過ごすことはできない。
「だけど私には、何もできないわ……」
一人では、竜山から下山することだって叶わない。
私は無力だ。
そう思ったところで、アイザックが驚くべき言葉を発します。
「……そういうことなら、ルシルの助けになれるかもしれない」
「え!?」
「ルシルが望むなら、俺はそれを叶えるだけだ。カレジ王国の民を救うぞ」
アイザックはその時とまったく同じシチュエーションで、私を助けにきてくれました。
──でも、なんでアイザックが竜山に?
私がここにいることを、アイザックは知らないはずなのに!
「ルシルから離れろ!」
黒竜様であるアイザックが、イライアスに威嚇をします。
驚いたイライアスが後ずさってくれたおかげで、私は逃げることができました。
私を取り逃したことで、イライアスは怒りを露わにしながら叫びます。
「アイザック! よくも僕の邪魔をしたな!」
「邪魔だと? 俺はルシルを助けにきただけだ」
「うるさいッ! お前さえ……お前さえいなければ!」
イライアスの体が膨張します。
そうして白銀の竜の姿に変身しました。
黒竜と白竜が、対峙する。
いま、まさに命をかけた戦いが始まろうとしているシリアスな情景だというのに、私の心は輝くように昂っていきました。
二匹の竜を目にして、私のテンションは最高潮に湧き上がります!
「なにこの光景! ご褒美? 私へのご褒美なの!?」
ついさっきまでイライアスに捕まりそうになっていたことなど、どこかに吹き飛んでしまった。
いまの私がすること。
それは二匹の竜の姿を、脳裏に焼き付けることよ!
「ああ、なんで紙もペンもここにはないの! こんな凄い光景、滅多に見られないのに!」
竜の兄弟が、私を奪い合っている。
ちょっと申し訳ない気もするけど、悪い気はしませんとも。
だって人生を賭して研究し続けてきた大好きな竜が、私のことを取り合っているんだから!
「夢? もしかしてこれ、私の夢なの? それならアイザックが突然現れたのも納得だけど」
でも夢にしては、あまりにもリアルすぎる。
なにせ二匹の竜には、明確な違いがあるのだから。
白竜であるイライアスの体よりも、黒竜であるアイザックの体のほうが一回り以上大きい。
まるで子どもと大人といった感じです。
「アイザック、せっかくだ。この機会に殺してやる!」
「お前が俺に勝つのは無理だ。なぜなら俺は、この国の元守護竜だからな」
二匹の戦いの決着は、一瞬でした。
突進する白竜を、黒竜は翼を使って浮上することでいなします。
そして黒竜が白竜の首元に噛みつき、地面に抑え込んだのです。
ドスンという大きな音とともに、地面が揺れる。
白竜の叫び声がしばらく続いたけど、しばらくすると静かになりました。
黒竜が、白竜を完膚なきまでに叩きのめしたのです。
「アイザックが、勝ったんだ!」
私は二匹の竜の側へと、近寄ります。
その間に、二人は人の姿へと戻ってしまいました。
──ああ、もったいない!
もう少し、竜の姿をしてくれていても、良かったのに。
「アイザック! 大丈夫?」
「俺は平気だ」
アイザックの胸元に跳びつきます。
一時は、二度とアイザックに会えないと思っていた。
だからアイザックにまた出会えたことで、感情的になってしまいます。
「ごめんなさい……助けにきてくれてありがとう。でも、なんでここがわかったの?」
アイザックは竜晶石を探すため、山にでかけていたはず。
遠いジェネラス竜国にいるはずのアイザックが、なぜカレジ王国にいたんだろう。
「それは……これを探していたからだ」
アイザックが水晶のような石を取り出しました。
奇妙に光り輝くその石は、神秘的な気配を放っています。
「これって、もしかして竜晶石?」
「そうだ。竜山の遺跡に保管されていた竜晶石を回収に来たんだが、その時に白竜と一緒に降り立ったルシルを見かけたんだ」
「ということは、アイザックもカレジ王国にいたのね」
驚いた。
てっきりジェネラス竜国内で竜晶石を探していると思っていたのに、まさかカレジ王国の竜山に来ていたなんて。
「ルシルに黙っていたのは謝る。結婚祝いに、サプライズしようと思っていたんだ……」
シュンとするアイザックを見て、私は胸の奥が温かくなる感覚を覚えます。
私のために忙しい仕事をすべて終わらせて、こんな遠くまで竜晶石を探しに行ってくれていたんだ。
「アイザック、嬉しいわ。それにまた助けてくれて、本当にありがとうね」
処刑台の時だけでなく、アイザックはまた私のことを助けてくれた。
「一生かけても、恩を返すことはできなそうね」
「そんなことはない。俺はルシルがいてくれるだけでいい……ルシルがいない世界なんて、俺には我慢できないから」
アイザックが私のことを抱きしめます。
この人を好きになって、良かった。
そう、改めて思うことができました。
「……そういえば、イライアスは大丈夫なの?」
「問題ない。殺しはしていないし、いまは気絶しているだけだ」
地面に倒れたままのイライアスへと視線を向けます。
人の姿の時はアイザックと身長は同じぐらいのはずなのに、竜の姿では大きく違っていた。
「竜の姿になると、アイザックのほうが大きいのね。ビックリしちゃった」
「俺はこの竜山で長い間、地脈を通して災いを鎮めていた。だからその分、力を貯めることができたんだ」
守護竜を経験すると、他の竜よりも強く成長する。
次期国王候補の竜が、カレジ王国の守護竜になるのはそういった意味合いもあるのかもしれない。
「それにしても、なぜルシルがイライアスと一緒にカレジ王国にいるんだ?」
アイザックの疑問は、まさにその通りだよね。
ジェネラス竜国にいるはずの私が、カレジ王国の──しかも竜山にいるんだから、驚いたことでしょう。
さらにそれだけでなく、政敵である第二王子と一緒にいたんだから、目も当てられない。
「私は……カレジ王国の民を助けにきたの」
「カレジ王国の民を?」
「うん……最初はセシリアたちを救いに来たんだけど、それだけじゃダメだって思ったわ」
カレジ王国はいま、滅亡の危機に陥っている。
このまま見過ごすことはできない。
「だけど私には、何もできないわ……」
一人では、竜山から下山することだって叶わない。
私は無力だ。
そう思ったところで、アイザックが驚くべき言葉を発します。
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