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1章. ゆい
machi.9
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「なっ…、何を言ってるんですか!」
急速に赤くなってしまった私はそれを隠すようにベットから飛び降りた。
「結城先生って、なんか、強引すぎます!つ、ついていけませんっ」
まくしたてる私に、結城先生は余裕で笑って、
「元気になって良かったな。言っておくが、夕べ、ゆいが自分から俺のところに落ちてきたんだ。悪いけど、容赦しない」
片手で翔を抱いたまま、私の髪を撫でてくる。
「な…っ、…っ」
なんかもう、恥ずかしいやら、驚くやらで、気がつけば、申し訳ない事態にも拘らず、まんまと結城ペースにはまっていた。
「ゆ、い、ち~ん!どういうことなのかなぁ?」
「お姉さんたちにきっちりはっきり説明してごらんなさい」
ナースステーションの清掃に入ったとたん、待ち構えていたかのようなナースさんたちに囲まれる。
「どうして、結城先生が王子を連れてウロウロしてるのっ??」
「…い、いや。なんでこうなったか、私にも全く…」
たじたじと後ずさる私に、ナースさんたちが詰め寄り、壁ぎわで洗いざらい打ち明けさせられた。
「うそ~、結城先生、まさかの子ども好き!?」
「いつでも、あたしが産んであげるのにぃ」
「ばかね。結城先生はゆいちんみたいな健気系が好みなんでしょ」
ナースさんたちは私を抜きに盛り上がる。
「でも~、結城先生、王子のパパになるわけ?」
「覚悟あるのかなぁ。遊びだったら、王子かわいそうじゃん!」
「みんな!回診行くわよ!」
杏子師長がパンパンと手を打ち、ナースさんたちを追いたてた。
『王子がかわいそうじゃん』
ナースさんの言葉に、…目が覚めた。
急に手を差し伸べられて、私は浮かれていたのかもしれない。
大きな腕に包まれて、私は勘違いしてしまったのかもしれない。
使用済みのタオルやガーゼを入れ替える。
…翔が心配で弱っていたんだ。
久しぶりに悠馬の夢を見て、…ちょっとだけ、さみしかったんだ。
大丈夫。
頭に、額に、残るぬくもりに、勘違いしたりしない。
急速に赤くなってしまった私はそれを隠すようにベットから飛び降りた。
「結城先生って、なんか、強引すぎます!つ、ついていけませんっ」
まくしたてる私に、結城先生は余裕で笑って、
「元気になって良かったな。言っておくが、夕べ、ゆいが自分から俺のところに落ちてきたんだ。悪いけど、容赦しない」
片手で翔を抱いたまま、私の髪を撫でてくる。
「な…っ、…っ」
なんかもう、恥ずかしいやら、驚くやらで、気がつけば、申し訳ない事態にも拘らず、まんまと結城ペースにはまっていた。
「ゆ、い、ち~ん!どういうことなのかなぁ?」
「お姉さんたちにきっちりはっきり説明してごらんなさい」
ナースステーションの清掃に入ったとたん、待ち構えていたかのようなナースさんたちに囲まれる。
「どうして、結城先生が王子を連れてウロウロしてるのっ??」
「…い、いや。なんでこうなったか、私にも全く…」
たじたじと後ずさる私に、ナースさんたちが詰め寄り、壁ぎわで洗いざらい打ち明けさせられた。
「うそ~、結城先生、まさかの子ども好き!?」
「いつでも、あたしが産んであげるのにぃ」
「ばかね。結城先生はゆいちんみたいな健気系が好みなんでしょ」
ナースさんたちは私を抜きに盛り上がる。
「でも~、結城先生、王子のパパになるわけ?」
「覚悟あるのかなぁ。遊びだったら、王子かわいそうじゃん!」
「みんな!回診行くわよ!」
杏子師長がパンパンと手を打ち、ナースさんたちを追いたてた。
『王子がかわいそうじゃん』
ナースさんの言葉に、…目が覚めた。
急に手を差し伸べられて、私は浮かれていたのかもしれない。
大きな腕に包まれて、私は勘違いしてしまったのかもしれない。
使用済みのタオルやガーゼを入れ替える。
…翔が心配で弱っていたんだ。
久しぶりに悠馬の夢を見て、…ちょっとだけ、さみしかったんだ。
大丈夫。
頭に、額に、残るぬくもりに、勘違いしたりしない。
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