マチ恋 ―君に捧げるLove song― 一夜の相手はスーパースター。誰にも言えない秘密の恋。【完結】

remo

文字の大きさ
47 / 88
3章. ゆい

machi.46

しおりを挟む
私が悠馬とつないだ手に力を込めると、
悠馬が強く握り返してくれた。

「ゆい、連絡先、教えて。もう、窓口で土下座は勘弁…」

悠馬が苦笑交じりに言った。

私が携帯電話を差し出すと、

「あ。俺、今携帯壊れてて。…書いて」

悠馬がばつの悪そうな顔をする。
携帯番号をメモしながら、悠馬の番号にかけた時のことを思い出す。

あの電話は、…どこにつながっていたのだろう。
憎しみに満ちた声を思い出して背筋が凍る。

悠馬はメモを受け取ると、翔を私に返し、そっと頭をなでた。

「ゆい」

私の頬を指の背でなでると、

「…待ってて」

悠馬はそう言ってくれたのに、
どうしてか、どうしようもない恐怖が込み上げてきた。

悠馬が行ってしまう。

この手を離したら、もう。
もう二度と、会えなくなる気がして、
もう二度と、言えなくなる気がして、
衝動的に言葉が漏れた。

「…好き」

立ち去りかけていた悠馬が驚いたように振り向き、
次の瞬間には、悠馬の唇が私をつかまえていた。

神さま、お願い。
時間を止めて。

翔も、稜さんもいるのに、悠馬のことしか考えられなかった。
悠馬が触れる唇だけが、
愛しくて切なくて、優しくて悲しくて、
それだけが、全てだった。

唇を離した悠馬は、そのまま振り返らなかった。
来たときと同じように、まるで夢だったみたいに、

…いなくなってしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Short stories

美希みなみ
恋愛
「咲き誇る花のように恋したい」幼馴染の光輝の事がずっと好きな麻衣だったが、光輝は麻衣の妹の結衣と付き合っている。その事実に、麻衣はいつも笑顔で自分の思いを封じ込めてきたけど……? 切なくて、泣ける短編です。

友達の肩書き

菅井群青
恋愛
琢磨は友達の彼女や元カノや友達の好きな人には絶対に手を出さないと公言している。 私は……どんなに強く思っても友達だ。私はこの位置から動けない。 どうして、こんなにも好きなのに……恋愛のスタートラインに立てないの……。 「よかった、千紘が友達で本当に良かった──」 近くにいるはずなのに遠い背中を見つめることしか出来ない……。そんな二人の関係が変わる出来事が起こる。

嘘をつく唇に優しいキスを

松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。 桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。 だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。 麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。 そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。

好きな人の好きな人

ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。" 初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。 恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。 そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。

私、これからいきます。

蓮ヶ崎 漣
恋愛
24歳のOL・栗山莉恵は、恋人に騙され、心も人生もどん底に突き落とされていた。 すべてを終わらせようとした夜、高層ビルの屋上で出会ったのは、不思議な青年・結城大虎。 「死んだら後悔する」 そう言って彼は、莉恵の手を強く掴んだ。 それが、止まっていた彼女の人生が再び動き出すきっかけだった。 年下の彼との出会いが、傷ついた心を少しずつ癒していく―― 絶望の先で“生きる選択”と“恋”を見つける、大人の再生ラブストーリー。 ※完結しました※ ここまで読んでくださり、 本当にありがとうございました。 少しでも誰かの心に残っていたら嬉しいです。 このあと番外編も公開予定ですので、 よろしければ引き続きお付き合いください。

各務課長が「君の時間を十分ください」と言った結果

汐埼ゆたか
恋愛
実花子はカフェで恋人と待ち合わせしているが、彼はなかなか来ない。 あと十分でカフェを出ようとしたところで偶然上司の各務と会う。 各務から出し抜けに「君の時間を十分ください」と言われ、反射的に「はい」と返事をしたら、なぜか恋人役をすることになり――。 *☼*――――――――――*☼* 佐伯 実花子(さえき みかこ) 27歳  文具メーカー『株式会社MAO』企画部勤務  仕事人間で料理は苦手     × 各務 尊(かがみ たける) 30歳  実花子の上司で新人研修時代の指導担当  海外勤務から本社の最年少課長になったエリート *☼*――――――――――*☼* 『十分』が実花子の運命を思わぬ方向へ変えていく。 ―――――――――― ※他サイトからの転載 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。 ※無断転載禁止。

ひとつ屋根の下

瑞原唯子
恋愛
橘財閥の御曹司である遥は、両親のせいで孤児となった少女を引き取った。 純粋に責任を感じてのことだったが、いつしか彼女に惹かれていき――。

片想い婚〜今日、姉の婚約者と結婚します〜

橘しづき
恋愛
 姉には幼い頃から婚約者がいた。両家が決めた相手だった。お互いの家の繁栄のための結婚だという。    私はその彼に、幼い頃からずっと恋心を抱いていた。叶わぬ恋に辟易し、秘めた想いは誰に言わず、二人の結婚式にのぞんだ。    だが当日、姉は結婚式に来なかった。  パニックに陥る両親たち、悲しげな愛しい人。そこで自分の口から声が出た。 「私が……蒼一さんと結婚します」    姉の身代わりに結婚した咲良。好きな人と夫婦になれるも、心も体も通じ合えない片想い。

処理中です...