マチ恋 ―君に捧げるLove song― 一夜の相手はスーパースター。誰にも言えない秘密の恋。【完結】

remo

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番外編. 稜

09.

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「EXZのYumaの子ねぇ、…ろくでもなく遊ばれたってことか」

ゆいと悠馬の関係が週刊紙にスクープされた。

ゆいの周りは俄然騒々しくなって、マンションも病院も翔の保育園さえ、常にマスコミ関係者に見張られていた。

「遊ばれた、…って訳じゃないと思う」

2人がどんなつき合い方をしていたのか分からないけれど、悠馬は恐らく、今もゆいを想ってる。
悠馬は翔のことを知らないのかもしれない。

「海外でレコーディング中だっけ? 面倒くさくて逃げてるんじゃないの?」

湊人がイライラしたようにグラスを傾ける。

ちゃんと紹介する前に、俺とゆいの姿は全国ネットで放映された。

ゆいと翔が苦境に立たされていると知ったら、悠馬はすぐにでも飛んでくると思ったが、海外から戻る気配はない。

まだ、知らないのか、あるいは。

「俺が新しい父親だって、言っても良いんだけどな」

ゆいにはさらさら、そんな気はないだろうけれど。

「お前…っ」

湊人が一気に酔いが覚めたような目を向ける。

「いや、…確かに庇護欲くすぐられる子だけどさ、…」

湊人の言いたいことも分かる。
端から見たら、俺は恋に狂った間抜けで、報われる当てもない相手に夢中になっている。

「どうやって守ったらいいか分からない…」

マスコミに終始見張られて、有る事無い事吹聴されて、ゆいは傷つき消耗している。

北野はともかく、職場でゆいに向けられる空気も決して穏やかではないし、敏感な翔は内にこもり始めている。

「充分じゃねえの? マスコミの盾になって、マンションに一緒に住んで、…お前までイケメン外科医とか騒がれてさあ」

湊人が吐き出すように言うが、騒がれているのは別にゆいのせいじゃない。

ゆいは他に誰にも頼れない。

『あまり過熱するようなら、地方に移すわ』

北野の言葉が刺さる。

ゆいが東京を離れるなら、俺も…

「稜。あんまり悩むなよ。Yumaは既に結婚してるんだし、ゆいちゃんだっけ?には、お前がいる。それぞれ過去のことなんだから、そのうち世間の関心も薄れるさ」

湊人の言うとおりなんだろう。
このまま悠馬が動かなければ。

わざわざゆいを連れ出してキスしてたヤツが、このまま放っておくとは思えないが、悠馬が今の奥さんや世間体を優先させるなら、…

飲んでも酔えない。

そんなはずはない。
悠馬はゆいをさらいに来るだろう。

俺は本当に最低だな。

ゆいには幸せになってほしいと思っているのに、俺の腕の中から居なくなるのが怖い。

なくしたくない。

あんなに傷ついて、疲れ果てているのに、まだこの腕に抱いていたい。

ゆいと一緒に地方に移った方が良いのかもしれない。
ひっそりと、3人だけで。
悠馬から離れて。

「稜、…お前、重症だなあ」

俺は心底勝手な人間で。
まだゆいを抱いて眠りたいんだ。
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