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17:テーブルマナー
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その日私は南部のトロスト将軍の訪問を受けていた。彼が送って来た先触れによれば、山を抜ける街道の話がしたいそうだ。
街道を引く様に指示を出してから四か月ほど経っていたから、無事に引けましたと言う報告だろうなと高を括っていた。
「本日お伺いしたのは、皇妃様にお知恵を頂いた山の街道の件です」
「無事に引けたと言う話なら時間の無駄だから報告は不要よ。後は貴方達がしっかり管理なさいな」
「はい勿論です。ですが一つ困った事がありまして、今一度皇妃様のお知恵をお借りしたいと思い参上いたしました」
「私で分かる事なら良いのだけど?」
「街道が出来て無事に荷が回り始めたのですが、その反面、今度は山賊が増えており困っております」
「兵を配置して巡回させる以外にやれることはあって?」
「ええわたしもそのように考えてましたから巡回の兵を増員しました。しかし街道は長くどれだけ増やそうが兵の数は足りません」
これ以上増やせば街に回す人数が減って治安に影響が出るかもと言われれば、人数が限界を迎えているのは容易に理解できた。
「それをどうやって解決するか聞きたいのね?」
「ええ良いお知恵は無いでしょうか?」
思い出すのは、やはり畑の話だ。
いつ来るか分からない賊を巡回だけで捕らえるのは不可能。
いいえ待って。
「ねえロザムンデ、賊を捕らえるような罠はないかしら?」
家の畑では使わなかったが、山賊相手なら怪我をさせるような罠も使えるはずだ。
「捕らえるだけの話でしたら無い事もございませんが、場所を間違えれば商人に罠の被害が及びますよ?」
「そっかぁ」
罠ダメじゃん!
「そうですね、わたしから言えることは、賊は見晴らしの悪い場所を嫌います。
まずは街道付近の木々を切り道を広げる事から始めてはどうでしょうか?」
「それは可能ですが、山を抜けますのでどうしても見晴らしの悪い場所があります」
「だったらその場所を重点的に、巡回の兵を回せば防げないかしら?」
「確かに効果はありそうですね」
「分かりました兵に指示してやってみます」
トロスト将軍はそう言って帰って行った。
そして一ヶ月。
再びトロスト将軍がやって来た。彼が口を開く前に先んじて、
「ダメだったと言う報告は聞きたくないわ」
「……」
すると沈黙が返って来た。
ハァとため息を一つ。
「どうぞ、なんでも言ってみなさい」
「済みません。街道を広げた所、山賊は見晴らしの悪い場所だけに出現するようになりました。兵に巡回させて未然に防ぐことも増えたと思っております」
「でも被害が減らないのね?」
「ええ街道を通る商人の数が圧倒的に多すぎます」
それだけ荷が流れていると言う事だから喜ばしい事だとは思うが、被害を軽視すれば損害を出したくない商人が道を使わなくなる。
人が減ればさらに敬遠するから~の悪循環が続き、いずれは誰も通らない道になるかもしれない。
「ここで罠ね!」
「実はそれもやりました。
しかし山賊の方が一枚も二枚も上手でして、罠はすぐに発見されて破壊されるばかりです」
「もしや山賊と言うのは、元は狩人らではないでしょうか?」とロザムンデが口を挟んできた。
「そっか。元が狩人だったら兵士が造った素人同然の罠なんて、すぐに見つけるかもしれないわね」
結局この日は結論が出ず、トロスト将軍は肩を落として帰って行った。
その日の夕食。
ロザムンデは当初、皇妃であり王女でもあった私と一緒の食卓につくのは嫌がっていたが、今ではすっかり慣れたもので、食器を並べ終わるとテーアの隣に座って食事をとるようになった。
私はいつも通りの味の薄いスープを口に運びながら、頭の中では昼間の話を考えていた。
すくって飲んですくって飲んでと、ただの動作が繰り返される。
気付けば皿は空になっていた。
ふと視線を前に向けるとテーアが一生懸命な顔でスプーンを使っていた。
王宮で徹底的にマナーを叩きこまれた私は、物思いに耽っていようがその動作が乱れるようなことは無い。はっきりと確認はしていないがロザムンデもきっと良い家の出身だからそのマナーは完璧だ。
しかしテーアは違う。彼女は幼い頃に修道院に入りずっとそこで暮らしていた。テーブルマナーなんて誰からも習う事が無くこの年まで生きてきた。
別に覚えなくても困らないから私は特に教えていなかったが……
テーアはスープをスプーンでかき回してから口に運ぶ癖を持っている。
じっと見ているとかき回した後は豆やらキノコなどをスプーンに乗せているような?
「ねえテーア、それ何やってるの?」
「はぅごめんなさい。うるさかったですか?」
「いいえ別に気にしないわ。なぜスープをかき回しているのかなと思ってね」
「えっとお皿の中で具を片方に集めてるんです」
それを聞きなるほどなと感心した、纏める事で獲物が多くなるから彼女の下手くそなスプーン使いでも、具をすくって来れるらしい。
ああ、そう言う事ね。
「テーアお手柄よ」
「はい?」
よく分かっていない様だが私は頭をなでなでしてあげた。
私は次の日にトロスト将軍を呼び出した。
「もしや良い案が浮かびましたか!?」
「ええバッチリなのがあったわ。でもね、この案を教えるのには対価が必要なの」
「対価ですか?」
トロスト将軍は普段なにも欲しない私がそんな事を言い出すのは珍しいなとでも思った事だろう。私も自分の案なら何も要求するつもりは無いが、今回はテーアの案なのでちゃんと貰ってあげないとね。
「対価は子供が好きなお菓子で良いわよ」
「はあそんなものでよろしいのですか」
もちろんと言ってから、私はテーアの案を伝えた。
「なるほど。街道の通行を時間制にするのですな」
「ええそうよ。例えば一時間毎に集まって隊商を組みなさい。その時間だけは兵士を付けて護衛します」
「しかし時間外に街道に入った商人はどうします?」
「時間外の者は悪いけれど自己責任ね」
「ふむ……」
「いいかしらここからは貴方の仕事よ。隊商の数は兵の数と相談して適切な数にしなさいな」
少なすぎれば荷が減るし、多すぎれば兵が無駄になる。この匙加減は私には絶対に分からないだろう。
「分かりました。どうやらこれで上手く回りそうですが……」
「が?」
「皇妃様にはもう一つだけお願いがございます」
「何かしら」
「それはもちろんオシュケナート王国の商人に対して、隊商のお話をして頂く事ですな」
ニヤッとトロスト将軍が笑った。
「あ~。うん、わかりましたラースに書面を渡しておくわ」
「ありがとうございます。では!」
最後の最後に面倒な事を押し付けていくなんて、案外ちゃっかりしてるなぁ~と、私はトロスト将軍の事を少しばかり見直した。
街道を引く様に指示を出してから四か月ほど経っていたから、無事に引けましたと言う報告だろうなと高を括っていた。
「本日お伺いしたのは、皇妃様にお知恵を頂いた山の街道の件です」
「無事に引けたと言う話なら時間の無駄だから報告は不要よ。後は貴方達がしっかり管理なさいな」
「はい勿論です。ですが一つ困った事がありまして、今一度皇妃様のお知恵をお借りしたいと思い参上いたしました」
「私で分かる事なら良いのだけど?」
「街道が出来て無事に荷が回り始めたのですが、その反面、今度は山賊が増えており困っております」
「兵を配置して巡回させる以外にやれることはあって?」
「ええわたしもそのように考えてましたから巡回の兵を増員しました。しかし街道は長くどれだけ増やそうが兵の数は足りません」
これ以上増やせば街に回す人数が減って治安に影響が出るかもと言われれば、人数が限界を迎えているのは容易に理解できた。
「それをどうやって解決するか聞きたいのね?」
「ええ良いお知恵は無いでしょうか?」
思い出すのは、やはり畑の話だ。
いつ来るか分からない賊を巡回だけで捕らえるのは不可能。
いいえ待って。
「ねえロザムンデ、賊を捕らえるような罠はないかしら?」
家の畑では使わなかったが、山賊相手なら怪我をさせるような罠も使えるはずだ。
「捕らえるだけの話でしたら無い事もございませんが、場所を間違えれば商人に罠の被害が及びますよ?」
「そっかぁ」
罠ダメじゃん!
「そうですね、わたしから言えることは、賊は見晴らしの悪い場所を嫌います。
まずは街道付近の木々を切り道を広げる事から始めてはどうでしょうか?」
「それは可能ですが、山を抜けますのでどうしても見晴らしの悪い場所があります」
「だったらその場所を重点的に、巡回の兵を回せば防げないかしら?」
「確かに効果はありそうですね」
「分かりました兵に指示してやってみます」
トロスト将軍はそう言って帰って行った。
そして一ヶ月。
再びトロスト将軍がやって来た。彼が口を開く前に先んじて、
「ダメだったと言う報告は聞きたくないわ」
「……」
すると沈黙が返って来た。
ハァとため息を一つ。
「どうぞ、なんでも言ってみなさい」
「済みません。街道を広げた所、山賊は見晴らしの悪い場所だけに出現するようになりました。兵に巡回させて未然に防ぐことも増えたと思っております」
「でも被害が減らないのね?」
「ええ街道を通る商人の数が圧倒的に多すぎます」
それだけ荷が流れていると言う事だから喜ばしい事だとは思うが、被害を軽視すれば損害を出したくない商人が道を使わなくなる。
人が減ればさらに敬遠するから~の悪循環が続き、いずれは誰も通らない道になるかもしれない。
「ここで罠ね!」
「実はそれもやりました。
しかし山賊の方が一枚も二枚も上手でして、罠はすぐに発見されて破壊されるばかりです」
「もしや山賊と言うのは、元は狩人らではないでしょうか?」とロザムンデが口を挟んできた。
「そっか。元が狩人だったら兵士が造った素人同然の罠なんて、すぐに見つけるかもしれないわね」
結局この日は結論が出ず、トロスト将軍は肩を落として帰って行った。
その日の夕食。
ロザムンデは当初、皇妃であり王女でもあった私と一緒の食卓につくのは嫌がっていたが、今ではすっかり慣れたもので、食器を並べ終わるとテーアの隣に座って食事をとるようになった。
私はいつも通りの味の薄いスープを口に運びながら、頭の中では昼間の話を考えていた。
すくって飲んですくって飲んでと、ただの動作が繰り返される。
気付けば皿は空になっていた。
ふと視線を前に向けるとテーアが一生懸命な顔でスプーンを使っていた。
王宮で徹底的にマナーを叩きこまれた私は、物思いに耽っていようがその動作が乱れるようなことは無い。はっきりと確認はしていないがロザムンデもきっと良い家の出身だからそのマナーは完璧だ。
しかしテーアは違う。彼女は幼い頃に修道院に入りずっとそこで暮らしていた。テーブルマナーなんて誰からも習う事が無くこの年まで生きてきた。
別に覚えなくても困らないから私は特に教えていなかったが……
テーアはスープをスプーンでかき回してから口に運ぶ癖を持っている。
じっと見ているとかき回した後は豆やらキノコなどをスプーンに乗せているような?
「ねえテーア、それ何やってるの?」
「はぅごめんなさい。うるさかったですか?」
「いいえ別に気にしないわ。なぜスープをかき回しているのかなと思ってね」
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それを聞きなるほどなと感心した、纏める事で獲物が多くなるから彼女の下手くそなスプーン使いでも、具をすくって来れるらしい。
ああ、そう言う事ね。
「テーアお手柄よ」
「はい?」
よく分かっていない様だが私は頭をなでなでしてあげた。
私は次の日にトロスト将軍を呼び出した。
「もしや良い案が浮かびましたか!?」
「ええバッチリなのがあったわ。でもね、この案を教えるのには対価が必要なの」
「対価ですか?」
トロスト将軍は普段なにも欲しない私がそんな事を言い出すのは珍しいなとでも思った事だろう。私も自分の案なら何も要求するつもりは無いが、今回はテーアの案なのでちゃんと貰ってあげないとね。
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もちろんと言ってから、私はテーアの案を伝えた。
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「ええそうよ。例えば一時間毎に集まって隊商を組みなさい。その時間だけは兵士を付けて護衛します」
「しかし時間外に街道に入った商人はどうします?」
「時間外の者は悪いけれど自己責任ね」
「ふむ……」
「いいかしらここからは貴方の仕事よ。隊商の数は兵の数と相談して適切な数にしなさいな」
少なすぎれば荷が減るし、多すぎれば兵が無駄になる。この匙加減は私には絶対に分からないだろう。
「分かりました。どうやらこれで上手く回りそうですが……」
「が?」
「皇妃様にはもう一つだけお願いがございます」
「何かしら」
「それはもちろんオシュケナート王国の商人に対して、隊商のお話をして頂く事ですな」
ニヤッとトロスト将軍が笑った。
「あ~。うん、わかりましたラースに書面を渡しておくわ」
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