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30:死者からの叱責
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つかず離れずの距離を保って、ライヘンベルガー王国の騎兵がきっちり十騎だけ、私たちの馬車を追随している。こちらの馬車に国王陛下が居なければとっくに突撃してきているだろう。
「いやあ大層な見栄えですね~」
「笑い事じゃないでしょう」
不謹慎な事を言う妹のシャルロッテに、姉のヴィルギニアが律儀にツッコみを入れている。私と違って仲の良い姉妹で羨ましく思うわ。
そんな表情が漏れていたのだろうか、
「仲の良い姉妹だな」と、お父様が呟いた。
「そうですね」
「レティーツィア、お前はこれからどうするつもりだ」
「皇妃としてイスターツ帝国を栄えさせます。
出来ましたらマリアナお姉様とは今後も仲良くしたいと思っています」
ここで言うお姉様とはもちろん将来のライヘンベルガー王国と言う意味だ。
「こんなことをしでかして置いて随分と都合が良い事を言うのだな」
「あらお父様、今回の件はお互い様だと思ってますわ」
「ふん」
エルミーラは街道外れの村や町に変えの馬と食料、それに人員などを配置していた。彼女の手腕には驚かされるばかりだ。
そのお陰で、何度も馬を変え人を変えを繰り返して走った。
随分と距離を稼いだなと思うが、イスターツ帝国とライヘンベルガー王国を分ける高い山は遥かに先だ。
それもそのはず、ライヘンベルガー王国の王都からあの山までは普通に走れば一週間の道のりだ。強行軍の様なこの速度でも三日から四日は掛かるはずだ。
「ねえエルミーラ、本当に逃げ切れるの?」
「夜の闇と共に数で来られると困ります。ですから馬車は停めず、中で交代で休みながら進むことになります」
「そうなのね……」
ずっと走り通して一日目の陽が沈み始めた頃。
「皇妃様、そろそろ休憩をいたします」
「ほんとっ!?」
やっと止まるのかと明るい声が出た、なんせ私のお尻の痛みはもう限界だ!
しかしすぐにあっと思い直す。
「ねぇこんな所で停まってて良いの?」
そう言ってチラッと見るのは後ろを走る騎兵の一団。
「ええ構いません。火を熾して温かい食事を食べると少しは持ち直します。
それでもう少しだけ頑張って下さい」
「分かったわ、ありがとう」
私たちが止まると騎兵も止まった。
エルミーラが言った通り馬車の近くに暖を取るための火が熾された。
お父様が馬車を降りると、縄で捕らえられている訳でもないその姿を見て、ライヘンベルガー王国の騎兵が少しだけ緊張を解いたように思える。
もしかしてこういう狙いもあったのかなと疲れた頭でぼんやりと思った。
たき火の側に作られた席に座った。
「ハァ……」
私かお父様か、どちらともなく深いため息が落ちた。
ここまで強行軍の様な有様だ。馬車に乗っていただけだが私とお父様はそう言った事に慣れていなくてぐったり気味なのだ。
ほんの一〇分も待たない間に、たき火の火を使って体を温める為のスープが作られ振る舞われた。
「どうぞ熱いのでお気をつけて」
従者の一人から椀を受け取ったお父様がぽつりとつぶやいた。
「あの者たちは……」
「お母様の従者たちと聞いています」
「ああ覚えているとも……」
国王であるお父様がたかが従者を十五年も覚えていた事に素直に驚いた。
「グレーティアは大層慕われていた。
そのお陰で儂とあいつは恨まれておったな」
「あいつとは?」
「王妃のアデライード、つまりお前の継母じゃよ」
「一体なぜ恨まれるのですか?」
「アデライードは子を二人産んだ後は妊娠しなくなった。国には世継ぎの男子が必要だからと大臣らは新たな若い妻を娶る様にと薦めてきた。
しかし儂はアデライードを愛しておったからなそれは出来んと断ったのだ。その結果が第二妃などと言う取り繕った名を付けられたグレーティアじゃ」
「そうなんですね」
「しかしグレーティアはお前を生んだ後に病で亡くなった。
これは本当の事なのだがな。残念ながらその後に、儂の寵愛を失い嫉妬に狂ったアデライードに謀殺されたと言う噂が流れたのだ。
事実無根ゆえに儂はアデライードを庇ったよ。まぁそう言う訳でな、誤解したままの彼らには今も恨まれておるらしいな」
「私はそうは思いません。
お継母様は、二人の姉に比べて私にはとても厳しいお方でした。実の子供ではないからとずっと我慢してきましたもの……」
「いいやアデライードはその様な女ではないよ。
グレーティアは娘の事を頼みますと言って息を引き取ったのじゃ。
あやつはきっと、その約束を律儀に護っておったのだろうな」
「左様でしたか」
「しかしグレーティアの従者がのぉ……」
お父様はそう呟いてスープの残りを飲み干した。
「レティーツィア、儂はイスターツ帝国から手を引こうと思う。
この様に死者にまで諌められる様では、グレーティアもあの世でゆっくり休めまい」
お父様はここではない、どこか遠くを見てそう呟いた。
「はあ……」
「なんだもっと喜ばんか」
「しかし当然のことを言われたのに、ありがとうございますと言うのは変ですわ」
「はははっ違いないな」
その後、お父様に言われて後ろの騎兵に伝令を送った。すると騎兵を指揮していた隊長が馬と剣を置いて一人でこちらにやって来る。
彼はお父様の前で跪き、
「陛下よくぞご無事で」
「ここまでご苦労であったな。
儂とレティーツィアは先ほど和解した。従ってこれ以上の追撃は不要じゃ」
「はあ……」
「念のため、儂は国境まで行くことになるだろう。
ここはもう良いからそこに迎えを頼むぞ」
「伝令の件、了承いたしました。
ですが陛下を残して帰れば我らは罪に問われます。このまま護衛の任として付き従わせて頂きます」
どうするとお父様が私に視線を向けてきた。
「付き従うのは許可します。ただし人数を減らしなさい」
「それはお聞きできません。
三姫様には反逆の罪がございます。そもそも和解と言うのが嘘と言う可能性もあります。ですからこのまま追従させて頂きます」
隊長の声色にははっきりと警戒が含まれていた。反逆から和解、確かにお互い口約束なので彼が警戒するのはもっともだろう。
「分かりました、ここは私が折れましょう。
ただし必要以上に近づかない事を誓いなさい」
「はい。それならば了承いたしましょう」
通常の一週間よりは早い五日。馬車はついにイスターツ帝国とライヘンベルガー王国を分ける高い山に入った。
山を登り始めて徐々に気温が下がっていくと、やっとこの生活も終わるのかと変な安心感が芽生えてきた。
ライヘンベルガー王国の国境、流石にお父様をこれ以上連れる訳にはいかないからここで解放する必要がある。
「お父様、ここまでありがとうございました」
「なんだ今生の別れの様な挨拶だな」
「このような騒ぎを起こしたのですもの、ライヘンベルガー王国には帰れませんわ」
「いやお前には帰ってきて貰うぞ」
「……お父様?」
また傀儡政権の話を蒸し返したのかと警戒する。
「お前はイスターツで子を産むのだろう?
ならば孫の顔を見せに帰ってこい。ああ花も忘れるなよ」
「花?」
「あほぅ、里帰りするのなら母親の墓に花くらい持ってまいらんか」
「そうですね、いつかはお花を持って、今日のお礼を言いに行きたいです」
しかし子を連れて帰れば、再び魔が差すこともあるかもしれない。その様な危険があるのにノコノコと帰る訳には行かない。
「ふむ。では生まれたら手紙をくれ。国王ではなくただのじじいとして、儂の方から孫に会いに参ろう。これなら良いか?」
「はい! それでしたらお待ちしておりますわ」
「では達者でなレティーツィア」
「お父様も」
騎兵の方へ単身歩いていくその背を少しだけ見送り、私は国境を越えた。
ふふっ子供が生まれたら手紙を書かなきゃね。
「ああっ!」
「どうされました皇妃様?」
「い、いいえ。なんでもないわ」
慌てて取り繕ったが、私の顔はきっと真っ赤であろう。
子供がどうのと言う前に、そもそも私は子供と言われて、当のヘクトールから一度も相手にされていないのだ。
雰囲気に流されて適当な事を言った過去の自分が憎い!
ううっきっとお父様は首を長くして待っているに違いないわ……
「いやあ大層な見栄えですね~」
「笑い事じゃないでしょう」
不謹慎な事を言う妹のシャルロッテに、姉のヴィルギニアが律儀にツッコみを入れている。私と違って仲の良い姉妹で羨ましく思うわ。
そんな表情が漏れていたのだろうか、
「仲の良い姉妹だな」と、お父様が呟いた。
「そうですね」
「レティーツィア、お前はこれからどうするつもりだ」
「皇妃としてイスターツ帝国を栄えさせます。
出来ましたらマリアナお姉様とは今後も仲良くしたいと思っています」
ここで言うお姉様とはもちろん将来のライヘンベルガー王国と言う意味だ。
「こんなことをしでかして置いて随分と都合が良い事を言うのだな」
「あらお父様、今回の件はお互い様だと思ってますわ」
「ふん」
エルミーラは街道外れの村や町に変えの馬と食料、それに人員などを配置していた。彼女の手腕には驚かされるばかりだ。
そのお陰で、何度も馬を変え人を変えを繰り返して走った。
随分と距離を稼いだなと思うが、イスターツ帝国とライヘンベルガー王国を分ける高い山は遥かに先だ。
それもそのはず、ライヘンベルガー王国の王都からあの山までは普通に走れば一週間の道のりだ。強行軍の様なこの速度でも三日から四日は掛かるはずだ。
「ねえエルミーラ、本当に逃げ切れるの?」
「夜の闇と共に数で来られると困ります。ですから馬車は停めず、中で交代で休みながら進むことになります」
「そうなのね……」
ずっと走り通して一日目の陽が沈み始めた頃。
「皇妃様、そろそろ休憩をいたします」
「ほんとっ!?」
やっと止まるのかと明るい声が出た、なんせ私のお尻の痛みはもう限界だ!
しかしすぐにあっと思い直す。
「ねぇこんな所で停まってて良いの?」
そう言ってチラッと見るのは後ろを走る騎兵の一団。
「ええ構いません。火を熾して温かい食事を食べると少しは持ち直します。
それでもう少しだけ頑張って下さい」
「分かったわ、ありがとう」
私たちが止まると騎兵も止まった。
エルミーラが言った通り馬車の近くに暖を取るための火が熾された。
お父様が馬車を降りると、縄で捕らえられている訳でもないその姿を見て、ライヘンベルガー王国の騎兵が少しだけ緊張を解いたように思える。
もしかしてこういう狙いもあったのかなと疲れた頭でぼんやりと思った。
たき火の側に作られた席に座った。
「ハァ……」
私かお父様か、どちらともなく深いため息が落ちた。
ここまで強行軍の様な有様だ。馬車に乗っていただけだが私とお父様はそう言った事に慣れていなくてぐったり気味なのだ。
ほんの一〇分も待たない間に、たき火の火を使って体を温める為のスープが作られ振る舞われた。
「どうぞ熱いのでお気をつけて」
従者の一人から椀を受け取ったお父様がぽつりとつぶやいた。
「あの者たちは……」
「お母様の従者たちと聞いています」
「ああ覚えているとも……」
国王であるお父様がたかが従者を十五年も覚えていた事に素直に驚いた。
「グレーティアは大層慕われていた。
そのお陰で儂とあいつは恨まれておったな」
「あいつとは?」
「王妃のアデライード、つまりお前の継母じゃよ」
「一体なぜ恨まれるのですか?」
「アデライードは子を二人産んだ後は妊娠しなくなった。国には世継ぎの男子が必要だからと大臣らは新たな若い妻を娶る様にと薦めてきた。
しかし儂はアデライードを愛しておったからなそれは出来んと断ったのだ。その結果が第二妃などと言う取り繕った名を付けられたグレーティアじゃ」
「そうなんですね」
「しかしグレーティアはお前を生んだ後に病で亡くなった。
これは本当の事なのだがな。残念ながらその後に、儂の寵愛を失い嫉妬に狂ったアデライードに謀殺されたと言う噂が流れたのだ。
事実無根ゆえに儂はアデライードを庇ったよ。まぁそう言う訳でな、誤解したままの彼らには今も恨まれておるらしいな」
「私はそうは思いません。
お継母様は、二人の姉に比べて私にはとても厳しいお方でした。実の子供ではないからとずっと我慢してきましたもの……」
「いいやアデライードはその様な女ではないよ。
グレーティアは娘の事を頼みますと言って息を引き取ったのじゃ。
あやつはきっと、その約束を律儀に護っておったのだろうな」
「左様でしたか」
「しかしグレーティアの従者がのぉ……」
お父様はそう呟いてスープの残りを飲み干した。
「レティーツィア、儂はイスターツ帝国から手を引こうと思う。
この様に死者にまで諌められる様では、グレーティアもあの世でゆっくり休めまい」
お父様はここではない、どこか遠くを見てそう呟いた。
「はあ……」
「なんだもっと喜ばんか」
「しかし当然のことを言われたのに、ありがとうございますと言うのは変ですわ」
「はははっ違いないな」
その後、お父様に言われて後ろの騎兵に伝令を送った。すると騎兵を指揮していた隊長が馬と剣を置いて一人でこちらにやって来る。
彼はお父様の前で跪き、
「陛下よくぞご無事で」
「ここまでご苦労であったな。
儂とレティーツィアは先ほど和解した。従ってこれ以上の追撃は不要じゃ」
「はあ……」
「念のため、儂は国境まで行くことになるだろう。
ここはもう良いからそこに迎えを頼むぞ」
「伝令の件、了承いたしました。
ですが陛下を残して帰れば我らは罪に問われます。このまま護衛の任として付き従わせて頂きます」
どうするとお父様が私に視線を向けてきた。
「付き従うのは許可します。ただし人数を減らしなさい」
「それはお聞きできません。
三姫様には反逆の罪がございます。そもそも和解と言うのが嘘と言う可能性もあります。ですからこのまま追従させて頂きます」
隊長の声色にははっきりと警戒が含まれていた。反逆から和解、確かにお互い口約束なので彼が警戒するのはもっともだろう。
「分かりました、ここは私が折れましょう。
ただし必要以上に近づかない事を誓いなさい」
「はい。それならば了承いたしましょう」
通常の一週間よりは早い五日。馬車はついにイスターツ帝国とライヘンベルガー王国を分ける高い山に入った。
山を登り始めて徐々に気温が下がっていくと、やっとこの生活も終わるのかと変な安心感が芽生えてきた。
ライヘンベルガー王国の国境、流石にお父様をこれ以上連れる訳にはいかないからここで解放する必要がある。
「お父様、ここまでありがとうございました」
「なんだ今生の別れの様な挨拶だな」
「このような騒ぎを起こしたのですもの、ライヘンベルガー王国には帰れませんわ」
「いやお前には帰ってきて貰うぞ」
「……お父様?」
また傀儡政権の話を蒸し返したのかと警戒する。
「お前はイスターツで子を産むのだろう?
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「花?」
「あほぅ、里帰りするのなら母親の墓に花くらい持ってまいらんか」
「そうですね、いつかはお花を持って、今日のお礼を言いに行きたいです」
しかし子を連れて帰れば、再び魔が差すこともあるかもしれない。その様な危険があるのにノコノコと帰る訳には行かない。
「ふむ。では生まれたら手紙をくれ。国王ではなくただのじじいとして、儂の方から孫に会いに参ろう。これなら良いか?」
「はい! それでしたらお待ちしておりますわ」
「では達者でなレティーツィア」
「お父様も」
騎兵の方へ単身歩いていくその背を少しだけ見送り、私は国境を越えた。
ふふっ子供が生まれたら手紙を書かなきゃね。
「ああっ!」
「どうされました皇妃様?」
「い、いいえ。なんでもないわ」
慌てて取り繕ったが、私の顔はきっと真っ赤であろう。
子供がどうのと言う前に、そもそも私は子供と言われて、当のヘクトールから一度も相手にされていないのだ。
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