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①始まりはさよならから
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まずい、と気がついた時はまだ上手く話せない2歳だった
幼子には早い自我と、この世界に無い記憶が有った私は流行りの異世界転生ですか?と考えてはいたが、特に魔法も魔獣も無い世界だったからどこか軽く捉えていたのだと思う
優しい両親に育てられた私、レンファランは平民だ。
生活に不自由もなく、大きくなったら前世の記憶を生かして父の手伝いをしようかな、ぐらいで、後は普通に毎日を楽しく過ごす日々だった
父は子爵家の次男、母は伯爵家の長女で貴族だったけど継ぐ家が無い今の立場は平民で、学生時代に仲の良かった侯爵領の管理を任されている。
侯爵は父の学生時代の友人。
母も侯爵夫人と仲良く、また母と侯爵は親戚らしい
忙しい侯爵がたまに帰られた時は広い侯爵領を侯爵夫妻と両親で視察するのは恒例で、今回もその予定だと話していた
なんとなくの既視感に見舞われ、昼寝の時間にうつらうつら思いだしたのは野盗に襲われ侯爵夫妻と両親が亡くなるシーンだった
一気に覚醒し粟立つ感覚、倒れそうになるのを堪え、出かける寸前の父に必至に手を伸ばし訴えたが上手く言えなくて。
普段、あまり泣かない私が急にぎゃん泣きするのに驚きつつも優しくあやしながら執事に預け、父と母が微笑みながら手を振る姿が生きてる両親を見た最後だった。
危ない、行かないで!大好きな父さま、母さま、大好きな侯爵様、奥方様!頑張って伝えたかった
もちろん護衛の皆も誰も死んで欲しくなくて
アニメは凄腕の盗賊に囲まれ誰も帰って来なかった後だけが簡単に映し出されていた
何分、乙女ゲームが題材だったから、ここに居ない私の推しが両親である侯爵夫妻を喪い、心に暗闇を抱えた若き侯爵の誕生はストーリーに欠かせない必要な出来事だったのよね
私は婚約破棄されるモブ令嬢、推しは王子の側近としてヒロインに選ばれる攻略対象側だった
それを思いだしたのが今だったと言う最悪の事態である
何時もなら侯爵様と来る推しが居ないのは王子殿下の遊び相手に呼ばれている今回のみだから
震える小さな身体は限界を迎え、やがて私は意識を無くした
次に目を覚ました時は外は暗く、逆に侯爵邸はてんやわんやの騒ぎに私は察して声をあげずに泣いた
遠くからまだ幼い推しの叫ぶ声が聞こえ反射的に身体を起こして向かった。私の大好きな父と母の死を見届けるために
そして永遠の別れを告げ、数日後に行われた厳かな葬儀は何故か生きて帰ってくれた侯爵のもと、私の両親も侯爵夫人と一緒に行って下さった
アニメと違う展開で驚いたが、侯爵様が生きていて良かった
身体は下半身が不自由になったものの父が侯爵様の身体を庇って背に剣を受け、崖から生い茂る木々のその下の湖に向かって地元じゃないと分からない場所へ地の利を生かして一か八かで突き落とし一命を取り留めたらしい。
奥さまも母が覆うように守ったらしいが、細身の女性2人ではあっという間に殺されてしまった、と侯爵様が泣きながら葬儀に来た親族に話していた
私の異様な泣き姿に違和感を覚えた父が、何時もより警戒したから動くのが早かったんだと嗚咽を抑え微笑んでくれる侯爵様に返す言葉も出て来なくて、泣きながら頷くしか出来ない私の手をまだ小さなクロフォード・エルグラム様が握ってくれたまま、葬儀はしめやかに終わりを迎えたのがまもなく3歳になろうとする、6月の新緑芽生える季節
貴族に珍しい1人っ子の侯爵様、そして奥様が亡くなられ、必然的に1人っ子になるクロフォード様。
お二人が両親が先立った私を養子としてエルグラム侯爵に迎えてくれるのはアニメの通りで
父方、母方のどちらの家も私を養子に、と申し出てくれたが侯爵と言う身分、侯爵の両親への感謝と贖罪、何より義兄を1人にしない為に大人の話し合いで決まったのを母方のお爺様が教えてくれた
…かくして私は王都の侯爵邸に移り住み、平民から貴族になったのだった
幼子には早い自我と、この世界に無い記憶が有った私は流行りの異世界転生ですか?と考えてはいたが、特に魔法も魔獣も無い世界だったからどこか軽く捉えていたのだと思う
優しい両親に育てられた私、レンファランは平民だ。
生活に不自由もなく、大きくなったら前世の記憶を生かして父の手伝いをしようかな、ぐらいで、後は普通に毎日を楽しく過ごす日々だった
父は子爵家の次男、母は伯爵家の長女で貴族だったけど継ぐ家が無い今の立場は平民で、学生時代に仲の良かった侯爵領の管理を任されている。
侯爵は父の学生時代の友人。
母も侯爵夫人と仲良く、また母と侯爵は親戚らしい
忙しい侯爵がたまに帰られた時は広い侯爵領を侯爵夫妻と両親で視察するのは恒例で、今回もその予定だと話していた
なんとなくの既視感に見舞われ、昼寝の時間にうつらうつら思いだしたのは野盗に襲われ侯爵夫妻と両親が亡くなるシーンだった
一気に覚醒し粟立つ感覚、倒れそうになるのを堪え、出かける寸前の父に必至に手を伸ばし訴えたが上手く言えなくて。
普段、あまり泣かない私が急にぎゃん泣きするのに驚きつつも優しくあやしながら執事に預け、父と母が微笑みながら手を振る姿が生きてる両親を見た最後だった。
危ない、行かないで!大好きな父さま、母さま、大好きな侯爵様、奥方様!頑張って伝えたかった
もちろん護衛の皆も誰も死んで欲しくなくて
アニメは凄腕の盗賊に囲まれ誰も帰って来なかった後だけが簡単に映し出されていた
何分、乙女ゲームが題材だったから、ここに居ない私の推しが両親である侯爵夫妻を喪い、心に暗闇を抱えた若き侯爵の誕生はストーリーに欠かせない必要な出来事だったのよね
私は婚約破棄されるモブ令嬢、推しは王子の側近としてヒロインに選ばれる攻略対象側だった
それを思いだしたのが今だったと言う最悪の事態である
何時もなら侯爵様と来る推しが居ないのは王子殿下の遊び相手に呼ばれている今回のみだから
震える小さな身体は限界を迎え、やがて私は意識を無くした
次に目を覚ました時は外は暗く、逆に侯爵邸はてんやわんやの騒ぎに私は察して声をあげずに泣いた
遠くからまだ幼い推しの叫ぶ声が聞こえ反射的に身体を起こして向かった。私の大好きな父と母の死を見届けるために
そして永遠の別れを告げ、数日後に行われた厳かな葬儀は何故か生きて帰ってくれた侯爵のもと、私の両親も侯爵夫人と一緒に行って下さった
アニメと違う展開で驚いたが、侯爵様が生きていて良かった
身体は下半身が不自由になったものの父が侯爵様の身体を庇って背に剣を受け、崖から生い茂る木々のその下の湖に向かって地元じゃないと分からない場所へ地の利を生かして一か八かで突き落とし一命を取り留めたらしい。
奥さまも母が覆うように守ったらしいが、細身の女性2人ではあっという間に殺されてしまった、と侯爵様が泣きながら葬儀に来た親族に話していた
私の異様な泣き姿に違和感を覚えた父が、何時もより警戒したから動くのが早かったんだと嗚咽を抑え微笑んでくれる侯爵様に返す言葉も出て来なくて、泣きながら頷くしか出来ない私の手をまだ小さなクロフォード・エルグラム様が握ってくれたまま、葬儀はしめやかに終わりを迎えたのがまもなく3歳になろうとする、6月の新緑芽生える季節
貴族に珍しい1人っ子の侯爵様、そして奥様が亡くなられ、必然的に1人っ子になるクロフォード様。
お二人が両親が先立った私を養子としてエルグラム侯爵に迎えてくれるのはアニメの通りで
父方、母方のどちらの家も私を養子に、と申し出てくれたが侯爵と言う身分、侯爵の両親への感謝と贖罪、何より義兄を1人にしない為に大人の話し合いで決まったのを母方のお爺様が教えてくれた
…かくして私は王都の侯爵邸に移り住み、平民から貴族になったのだった
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