乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ

いつき

文字の大きさ
69 / 202

69そんなのアニメには無かったので

しおりを挟む
「子どもでも王族に手を上げ無事で済むはず無いでしょう!まずは謝罪なさい、妃殿下教育まで受けていたのは嘘では無いでしょうに」

女官は鼻息荒く再度、私を叩こうと手を振り上げた

「そこまでにして下され、マーニャ夫人」

穏やかな、しかし有無を言わせぬ厳格な声が何時の間にか開かれた扉から聞こえ頭を上げた。お祖父様だ

室内全員の視線が釘つけになる
お祖父様と一緒に来たのだろう義兄さまがお祖父様の脇を駆け抜け、私を騎士から引き剥がして抱き締めてくれた

目の前に義兄様が来てもゆったりした足取りのお祖父様から殿下もマーニャと呼ばれた女官も目が離せない

金髪碧眼、明らかな王家の風貌だからだろうか
大好きな義兄に抱かれ漸く震える身体を弛緩させる事が出来、声を発する

「第一王子殿下、叩いてしまった事はお詫び申し上げます。ですが、私の命と引き換えにどうか家族の命は御許し下さいませ」

胸元のボタンを素早く閉める義兄の眉間に皺が寄せられ、少なくともこんな辱しめを受けた元妹を嫌悪している様子も無く、ホッと息を付いた

階級の有る世界は命の価値は儚い
ゆえに虚勢を張り相手を貶め、自身の価値を上書きしていく者も多い世界なのだ
ただ、何故王子殿下とも在ろう方がこんな真似をされたのかは不思議でならない
女性なら閨教育担当の女官も居たのでは無かろうか?
もしかして愛でるだけで済まないタイプの少女趣味が有る方なのだろうか?

想像したら怖くて無意識に王子から視線を外し義兄の胸元に片頬を当てた

「そんな事、国王陛下が赦さんよ」

お祖父様がゆっくり近づき私の頭を撫でた

「なっ何故、父上の名が!?」

「そうです、その娘はこの国の第一王子を殴ったのですよ?如何にアンバード様が間に入ったとしても赦されませんわ」

女官が庇うように第一王子殿下とお祖父様の間に入るが、お祖父様は悠然と微笑まれ王子を見据えたのが顔だけ向けた私にもはっきり見えた

「祖父が亡くなったにも関わらず、葬儀前に合意も無く貴族の少女を襲うなど到底、王族のする事とは思えず。また近くに居る者も諌めもせず、良くも減らず口を聞けたものだ」

咎め睥睨する姿は元伯爵とは思えない程、威厳に溢れ少し瞬く。

何時も優しいのんびりしたお祖父様の面影は無く、どちらかと言えば少しだが亡くなられた前国王陛下のルーファラン様が思い出された

第一王子含め部屋に居た全ての者が顔を青褪めて見える

「ベルナンディウス殿下、何故こんな真似を?」

頭上から義兄の声は酷く硬い
明らかな不快を示すその声質に恐怖で私まで軽く戦慄した
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路

八代奏多
恋愛
 公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。  王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……  ……そんなこと、絶対にさせませんわよ?

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

「お幸せに」と微笑んだ悪役令嬢は、二度と戻らなかった。

パリパリかぷちーの
恋愛
王太子から婚約破棄を告げられたその日、 クラリーチェ=ヴァレンティナは微笑んでこう言った。 「どうか、お幸せに」──そして姿を消した。 完璧すぎる令嬢。誰にも本心を明かさなかった彼女が、 “何も持たずに”去ったその先にあったものとは。 これは誰かのために生きることをやめ、 「私自身の幸せ」を選びなおした、 ひとりの元・悪役令嬢の再生と静かな愛の物語。

もう我慢したくないので自由に生きます~一夫多妻の救済策~

岡暁舟
恋愛
第一王子ヘンデルの妻の一人である、かつての侯爵令嬢マリアは、自分がもはや好かれていないことを悟った。 「これからは自由に生きます」 そう言い張るマリアに対して、ヘンデルは、 「勝手にしろ」 と突き放した。

ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな
恋愛
 目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。  って、ベタすぎなので勘弁してください。  しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。  私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。

婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。

風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。 ※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。

拝啓~私に婚約破棄を宣告した公爵様へ~

岡暁舟
恋愛
公爵様に宣言された婚約破棄……。あなたは正気ですか?そうですか。ならば、私も全力で行きましょう。全力で!!!

処理中です...