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86 子爵令嬢として【アリア】
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伏し目がちに令嬢のお茶会で微笑みを崩さず紅茶の取っ手を親指と人差し指だけで優雅に持ち上げる
淡いピンクのワンピース型ドレスには花の刺繍が首元のレースに編み込まれ、薄茶色のストレートな髪の端だけ草冠の様に編んだ先には同じくピンクの細いリボンが風に揺らめく
瞳は水色に近く、アクセサリー等の装飾品はほぼ無い少女らしい装いだ
「アリアは良いよね」
お茶会に呼ばれる度に添えられる言葉は私には針を刺される感覚である
見えない血を流しているが、口には出せない
「そんな事無いわ」
同じ子爵令嬢のウララに首を振って否定する
私が今、王都近くのアパートメントに侍女と暮らしているのはマナー教室に通う為だ
同じくマナー教室に通うウララは同い年ですぐに意気投合したが、私がナタトリス家だとご家族に話されたのだろうがあの平民から侯爵家へ養子になり、王家の婚約者にまで上り詰めたレンファラン姉様の従姉妹と知って羡ましがる
確かに姉様は優しいし、私が幼い頃には既に有った馬車の座椅子やらもなんとまだ幼い姉様が提案したのだとかで才女な方でもある
見た目も髪色こそは私と同じだが、瞳が少し変わっていて亡くなったフレデリカ叔母様の瞳を受け継いだらしく華やかだ
ハリフォード叔父様と馬車の事故で亡くなった叔母様、どちらも私自身まだ産まれる前の事だからお会いした事は無い
けれど叔母様が隣の伯爵家出身で子爵の家に跡継ぎでも無い次男と結婚して平民になられたのはまだ若い令嬢にはロマン話なのだろうか、話題に出してはうっとりした面持ちでフレデリカ叔母様の話を、そしてレンファラン姉様を羨ましそうに語られるのだ
ウララ自身は既に婚約者も居るし、上手く行ってる様子なので私からしたらウララの方こそ羡ましい
「だって高位貴族と婚約のチャンス有るじゃない。隣のルアージュ伯爵領に更にエルグラム侯爵領まで縁有るんでしょ?どっちの跡継ぎも金髪碧眼のまるで王族みたいな素敵な殿方が!」
夢見心地で呟かれても困るのは私にまるでそんな予定が無いからだ
私だって憧れから従姉妹に相談した事も有るが先ずは産地の勉強から、と全然的外れな手紙を認められた。
うっかり紹介とか無いかと淡い期待をして居たからちょっとだけ自分に魅力が無いと言われた気分がして落ち込んだものだ
なら正攻法でとばかりに父にそれとなく伺うも良い顔はされない。
可愛がっていた弟の事を思い出されたのか割りと温和な父に珍しく眉間に深い皺が刻まれ目頭を押さえる姿にそれ以上は突っ込めなかった
多くの子女と同じく、親の縁もしくは学園に入り婚姻相手を見つけなくてはならない
母としては学園で恋して好きな相手と結ばれて欲しいそうだ
兄が学園で可愛らしい男爵令嬢の彼女が出来、卒業したらうちに嫁入りに来てくれるし、牧羊や乳製品に強い我が産地は子爵にしては実入りか良い方なので寒冷地にしては食にも困ってはいないし、そもそも両親も優しいから普通に考えても恵まれているのにどうしても晴れない憂いが心にこびりついて離れない
淡いピンクのワンピース型ドレスには花の刺繍が首元のレースに編み込まれ、薄茶色のストレートな髪の端だけ草冠の様に編んだ先には同じくピンクの細いリボンが風に揺らめく
瞳は水色に近く、アクセサリー等の装飾品はほぼ無い少女らしい装いだ
「アリアは良いよね」
お茶会に呼ばれる度に添えられる言葉は私には針を刺される感覚である
見えない血を流しているが、口には出せない
「そんな事無いわ」
同じ子爵令嬢のウララに首を振って否定する
私が今、王都近くのアパートメントに侍女と暮らしているのはマナー教室に通う為だ
同じくマナー教室に通うウララは同い年ですぐに意気投合したが、私がナタトリス家だとご家族に話されたのだろうがあの平民から侯爵家へ養子になり、王家の婚約者にまで上り詰めたレンファラン姉様の従姉妹と知って羡ましがる
確かに姉様は優しいし、私が幼い頃には既に有った馬車の座椅子やらもなんとまだ幼い姉様が提案したのだとかで才女な方でもある
見た目も髪色こそは私と同じだが、瞳が少し変わっていて亡くなったフレデリカ叔母様の瞳を受け継いだらしく華やかだ
ハリフォード叔父様と馬車の事故で亡くなった叔母様、どちらも私自身まだ産まれる前の事だからお会いした事は無い
けれど叔母様が隣の伯爵家出身で子爵の家に跡継ぎでも無い次男と結婚して平民になられたのはまだ若い令嬢にはロマン話なのだろうか、話題に出してはうっとりした面持ちでフレデリカ叔母様の話を、そしてレンファラン姉様を羨ましそうに語られるのだ
ウララ自身は既に婚約者も居るし、上手く行ってる様子なので私からしたらウララの方こそ羡ましい
「だって高位貴族と婚約のチャンス有るじゃない。隣のルアージュ伯爵領に更にエルグラム侯爵領まで縁有るんでしょ?どっちの跡継ぎも金髪碧眼のまるで王族みたいな素敵な殿方が!」
夢見心地で呟かれても困るのは私にまるでそんな予定が無いからだ
私だって憧れから従姉妹に相談した事も有るが先ずは産地の勉強から、と全然的外れな手紙を認められた。
うっかり紹介とか無いかと淡い期待をして居たからちょっとだけ自分に魅力が無いと言われた気分がして落ち込んだものだ
なら正攻法でとばかりに父にそれとなく伺うも良い顔はされない。
可愛がっていた弟の事を思い出されたのか割りと温和な父に珍しく眉間に深い皺が刻まれ目頭を押さえる姿にそれ以上は突っ込めなかった
多くの子女と同じく、親の縁もしくは学園に入り婚姻相手を見つけなくてはならない
母としては学園で恋して好きな相手と結ばれて欲しいそうだ
兄が学園で可愛らしい男爵令嬢の彼女が出来、卒業したらうちに嫁入りに来てくれるし、牧羊や乳製品に強い我が産地は子爵にしては実入りか良い方なので寒冷地にしては食にも困ってはいないし、そもそも両親も優しいから普通に考えても恵まれているのにどうしても晴れない憂いが心にこびりついて離れない
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