乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ

いつき

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●115 王無双

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小一時間程は過ぎただろうか、今回は地方を納める男爵、子爵も早馬でお知らせが来て遠い道のりをわざわざ来ている。

何しろ強制収集の1文が入っていた招待状、何時もなら秋の社交シーズンと年始の祝賀会で王に挨拶をするぐらいしか来ない貴族も多い

学園に生徒を持つ親は、入学前に制服作りや王城でデビューに一緒に来ていたり居なかったり、王都に親戚が住んでいるならお任せの親も居て、社交は強制で無い為に本当に一年に1度しか王都に来ない貴族も来ている為に挨拶だけでもすぐに時は経つものの王家、高位貴族筆頭にこれだけ集め主催者が未だ姿を見せないのは前代未聞である

立食で簡易な食事やスイーツ、お茶と酒の用意はされて第二王子殿下の機転で既に振る舞われているのと各々、挨拶や近況報告がなされていたので、もしかしたら逆にそれが終わるのを待ってくれていたのかも知れないが、他国の側妃殿下が王族を待たせるのはイラッとしてしまうのは愛国心でしょうか

衛兵の掛け声と共に優雅に愛娘ミクル姫様を連れ、王のエスコートでやってくるカナデ.フォーレット側妃殿下。ソニア様よりも垂れ下がった目元は色っぽくも儚げ、胸元もソニア様より控えめで華奢な身体は更に細く壊れてしまいそうな程。しかし、眼からの自信に満ちた佇まいはまさに長年、支配する立場にいた上位貴族そのもので彼女がエトワール王国にいた際に付き合いが有った親世代が当主夫妻からはどよめきも沸き立った

「皆、待たせたな。こちらが『フォーレット』からわざわざ我が最愛なる父、息子に側妃殿下への喪いともらいと新たな妃の祝いにお越し頂いたカナデ側妃殿下である。またこちらの可愛らしい令嬢は今、エトワール学園に留学中のミクル姫とリードナイト公爵子息だ。子息はミクル姫の婚約者、候補と聞いているのでその内結ばれるのを期待している」

牽制パンチを先に繰り出す王に眉間に皺が寄り掛けたカナデ様
知ってか知らずか盛り上がる貴族
戸惑うリードナイト公子とミクル姫と三者三様で有る

「今回はカナデ側妃殿下経っての希望で遠路はるばる良く来てくれた。未だ起き上がる事の出来無い王妃に代わりマルチネットのカサンドラと書類上は既に婚姻を済ませて職務に当たって貰って居る事。まだうら若い令嬢かつ、亡くなった息子の婚約者に、と良く思われていない者もおるかと思う。しかし、カサンドラは王太子妃教育もされた淑女、他国に嫁がせる訳にはいくまい?又、我と親子ほど年の差が有れど仲は極めて良好と申しておく。祝賀パーティーまで後僅かだからその時に披露出来るのを楽しみにしておいてくれ」

王の威風堂々たる姿に貴族は一斉に頭を下げる

苦虫を潰したような顔を隣で浮かべていたがカナデ様の視線はカルデナ、そしてマルチネット公爵に注がれてにんまりと人の悪い笑顔を見せた

「このパーティーが終わった後、祝賀までは優先的に地方を護る当主の謁見を許可する、相談含め遠慮無く申し出よ。宰相にでも良い、折角来たのだから何か成果を持ち帰って欲しい。また
子息や令嬢の婚約は王家に報告の義務が有るが余り深くは考え無くて良い、ただ間違って婚約者有る令嬢に声を掛ける恥知らずに我がなりたくなくて作っただけなのでな」

自嘲気味に微笑みを浮かべた瞬間、カナデ様はギョッとした表情を浮かべた。己の欲望のせいで犠牲になったのはソニア様とアンタロス男爵たちだけでは無い、王とて犠牲者なのだと初めて気付いたのだろう
敢えて自嘲される事で恥知らずにさせられたのだと訴えられて、僅かに顔を青褪めた
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