乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ

いつき

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◯169 幕引きは呆気なく

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「貴女のお家事情は存じ上げませんが私はユーリを愛しています。妻の座を譲る気は有りませんし、職を譲る気も有りません」

落ち着いたスミレ様の凛とした声に令嬢方はそんなつもりは、と焦り出した。
勿論、令嬢方にユーリお兄様を取るつもりは無かったにしろ、言ってる事はそう言う事。

強気に出れば思い通りになるなんて私は嫌だ

「エルグラム商会としてどの分野でも貴女を雇う事は無い。それだけは確かです、どんな事情があれ。それと前回のこれは過分に甘い処置でした」

過去系の意味、気付いたのはランティス嬢のみ、今日帰れば分かるだろう。卒業式を終えた彼女達はもう学生では無いのだから

さて、と留学生を見据えた

《クララ公女殿下は何故ここに?》

カレイド公用語で問い掛ければ、軽く柳眉を上げて笑う。支配者ならではの余裕な笑みだ

《何、面白そうな気配を感じたのでな。ただの見学だよ》

《そうですか。コレが楽しかったかは些か謎ですが大切な御身、どうかお気を付け下さいませ》

カレイドからの留学生、クラ(ハ).アイザス公爵令嬢と名乗っているが、本当は公国の公女殿下クララ.カレイドだと王家の執務室で書類を見た私は知っていた。
見聞を広めるた為に敢えてカレイドを名乗らず、と書いて有り思わず天を仰いだものだ(王宮の天井だけに模様が綺麗でした)

カレイドからだけで面倒な上、更に2学年で入る為、公女次第でまだ1年有るのも、2年生は偶々高い身分の生徒が少なく侯爵からシルバー様ぐらいな事も含め頭を抱えたものだが、まさかここで遭遇するとは思いもよらず、公女殿下は私の顔を見詰めニヤリと笑んで立ち去った。

スミレ様に何かしたり言ったり参加されて居なかったのが余計に質悪い。

去る姿を目の端で追うとお付きの護衛が影からこちらを見ているのが分かった

厄介過ぎる。さぞ私の瞳も至近距離で確認出来た事だろう

「「申し訳有りませんでした」」

私とスミレ様へ頭を垂れるがもう遅い

アンバーダー家、ナタトリス家からは勿論、エルグラムからも義兄に言って抗議して貰う。エルグラムの事業が絡む事だけに迅速に動くだろう

ランティス嬢はもはや失うものが無いのか滂沱の涙を流した後は達観したように遠くを見詰めていた。 

ランティス侯爵か跡継ぎの兄上様かは知らないが、かなり歳上の子爵の後妻に、と大切な令嬢を贈るのだから義兄もこれ以上はランティス嬢を責めたりしないだろう。

「レンファ様、そろそろ会場へ戻らないと心配しますわ」

スミレ様は物悲しそうに同級生の令嬢に微笑まれ、私を促すと2人で会場へ足早に戻った。
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