乙女ゲームで婚約破棄をリアルに体験するのはごめんだ

いつき

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◯175 ホウレンソウ

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ピナ達と一緒とは言え、着の身着のまま侯爵家馬車に乗せられる貴族令嬢なんて他に居ないだろう。広めの座席は向かい合わせで6人余裕、とは言えないが一応座れるカボチャ型馬車で私自慢の設計だ。
間に小さなテーブルが有り、飲み物を置く台に穴やタンブラーに蓋など砂利道でも気軽に水分補給可能にして遠方へ家族旅行に行く際に便利な仕様だ

近場の伯爵邸に来るには大き過ぎるが、ピナ、キュララ、メリッサ、私、ジェームスにマーヤも馬車に乗っていた為に満席で上の天窓を少し開いて換気はしてもちょっと狭苦しい。
キュララ達は細身でも流石に筋肉の圧が違うのよ

侯爵邸に着いたら身支度と今夜中に仕事の割り振りをして、と脳内シミュレーションだけで直ぐに着く距離だ。

明日は伯爵邸からも私兵団が馬車で来てそのまま伯爵領へ向かうつもりで居るのだけど、ついでに私の私物と宝物かつ黒歴史になる日記も始末しなければ。

リナーニャが如何に仲良くしている友達とは言え、アレは呪物に近いから見られたら確実に引かれてしまうわ

「あれなら最近はクロフォード様のお気に入りの書物ですよ」

「確か今は36冊目でしたかな」

「はい。偶に爆笑していらっしゃいますね」

先を歩くマーヤとジェームスの会話に嘘でしょ…と血の気も引き気味に慣れた道を歩む。フラフラと玄関に入るや否や猛ダッシュで秘密の小部屋へ向かうが、使われて居ない小部屋は鍵が掛かり入れ無かった。
ただの物置だったので鍵は最近付けられた事は明白。2人の言葉が真実身帯びてまるでムンクの叫びの如く両頬を抑え叫んだが、侯爵邸だけに使用人が素通りして行く。
多少、憐れみの視線も有るが皆ひどい

「お嬢様、迷惑ですからさっさと立って下さい」

やがてライオンが肩ポンとして執務室へ引き摺られてたが、どんな顔して会えと!?

ちなみにキュララ達は身支度やら、明日からの帰省準備に追われ、まさか仮にも侯爵へ普段着のワンピース姿で会うと予想だにして居なかった模様。

皆、気を抜き過ぎよ!

「やっと来たか」

執務室で顔を上げたクロフォード様だって普段着の姿を見て数拍呆けたわ

「まぁ、良いか」

私は一ミリも良く有りませんが

膨れ面の私の側に眼鏡姿も麗しい学生から一皮向けた大人びた姿で近付き両頬を包まれた。
膨れ頬から淑女らしからぬ、ぷしゅっと萎み音が聴こえたが多分、気の所為で有ると信じてる

「明日からあちらへ行くのだろう?先に渡して置くものが有る」

た…っぷりの書類だろう、と机を見遣るが私宛の専用封筒は見当たらず、顔を机へ背けた瞬間に手に置かれたのは卒業し、もう見る機会が無くなった制服のネクタイだった

「えっあの、えっ?私が頂いても?えっでもあれ?」

私が超絶に混乱するのは無理が無いだろう。これは3年間使っていたネクタイ。
学生同士なら恋人とネクタイとリボンで交換する伝説級の代物である

「お前が何故か卒業してから避けだしたから先日、メイラン伯爵令嬢へ確認したらお互い偽装婚約だと伝え忘れた様だから伝えて置こうと思ってな」

「はい?偽装?」

大混乱のまま、両手でネクタイを握り締めた

何がなんだか、ちゃんと報告連絡相談してって絶叫したわよ
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