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第一章 魔道都市ルーメンポートと魔族の影
#40「バルドの告白、託された願い」
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蝋燭の炎が揺れる広間で、バルドは深々と息をついた。
「あの母娘をさらったのは……ヴァルセロ・ファミリーの幹部、ロガンだ」
低い声が広間に響く。
「ロガンはここ一年ほどで頭角を現した男だ。温厚で堅実、裏でも筋を通す性格で、俺も信頼していた。だが……ここ数日で人が変わったように荒事に手を出し始めた」
苦々しさがにじむ声。
「対応が遅れた。変貌が急すぎて、完全に後手に回っちまったんだ」
拳を握りしめたまま、バルドはうつむいた。
「……お前にまで迷惑をかけた。すまねぇ、キョウマ」
「待て……どういうことだ?意味が分からないぞ」
眉をひそめる俺に、バルドは深く息を吐く。
「リーナ母娘は堅気だ。本来なら裏の世界に巻き込まれる理由なんざない」
そう言うと、バルドは遠い過去を思い出すように目を細めた。
「若い頃、血気に逸って敵対組織に突っ込み、瀕死の重傷を負った。その俺を助けてくれたのが……リーナの親父さんだ」
バルドの声にかすかな震えが混じる。
「……俺は親父さんに、返しきれない恩がある。その時に言われたんだ。
『何かあれば娘と妻を守ってやってくれ』とな。
本来なら俺が守るはずだったんだ……」
苦悶に顔を歪め、拳をさらに握りしめる。
「だが、守れなかった……」
その言葉に、胸の奥で怒りが爆ぜた。
「謝罪なんか聞きたくない!リーナとおふくろさんはどこにいる!?」
机を叩き、身を乗り出す。
バルドはわずかに目を伏せ、低く答えた。
「……町の北、貧民街の奥だ。ロガンの隠れ家にいるはずだ。
だが、今回の件は単なる抗争じゃねぇ。裏で糸を引いてる何者かがいる。
怪しいのはノクトと名乗る男だ」
ノクト――その名を聞いた瞬間、背筋に冷たいものが走る。
「ノクトがこの町に現れたのは一年前。その直後に親父さんは命を落とし……ロガンは少しずつ頭角を現し始めた」
「……あの時、親父さんが死んだ原因を徹底的に調べた。街の裏路地から役人どもの記録まで、隅から隅までだ。だが結局、親父さんがなぜ死んだのか……決定的な証拠は何一つ掴めなかった」
バルドの眼差しに影が落ちる。
「ただ……あの一年を境に、何かが狂い始めたんだ」
バルドの視線が俺を射抜く。
「そして――リーナの家の地下には秘密がある。契約の祭壇だ。望むものに力を与える代わりに、必ず代償を要求する。
親父さんは全力で抑えようとしたが、あまりに強力で……結局リーナを媒介にした血の封印を施すしかなかった」
バルドの言葉に、俺は思わず口を開いた。
「……祭壇?なんのことだ?話が見えない」
「魔族が残したものだ。この街が築かれるよりも、もっと前に作られた。
元々神父だった親父さんが、それを発見したんだ」
「魔族の残したもの……?」
混乱する俺に、バルドはじっと視線を投げる。
「ああ。奴らはリーナを使って封印を解かせるつもりだ。そのために母親ごと攫った。……キョウマ、お前も城塞都市で見たんじゃないのか?あの血の祭壇を」
「……そんなものは記憶にない」
俺の返答に、バルドは口をつぐんだ。
蝋燭の火が揺れ、広間には重たい沈黙が落ちる。
やがて胸の奥で苛立ちが爆ぜ、言葉が迸る。
「……そんなことはどうでもいい!リーナとおふくろさんを助けるのが先だろ!――ロガンの隠れ家に案内しろ!」
ルミナスを握り、立ち上がる。
バルドは黙って立ち上がった。
重い足取りで広間の扉へ向かい、音を立てて開け放つ。
「……案内する。町の北、貧民街へ」
冷たい夜気が流れ込み、蝋燭の火が揺れる。
俺はルミナスを背に預け、バルドの後ろに続いた。
――必ず助け出す。
そう心に誓い、闇が覆う街へ足を踏み出した。
「あの母娘をさらったのは……ヴァルセロ・ファミリーの幹部、ロガンだ」
低い声が広間に響く。
「ロガンはここ一年ほどで頭角を現した男だ。温厚で堅実、裏でも筋を通す性格で、俺も信頼していた。だが……ここ数日で人が変わったように荒事に手を出し始めた」
苦々しさがにじむ声。
「対応が遅れた。変貌が急すぎて、完全に後手に回っちまったんだ」
拳を握りしめたまま、バルドはうつむいた。
「……お前にまで迷惑をかけた。すまねぇ、キョウマ」
「待て……どういうことだ?意味が分からないぞ」
眉をひそめる俺に、バルドは深く息を吐く。
「リーナ母娘は堅気だ。本来なら裏の世界に巻き込まれる理由なんざない」
そう言うと、バルドは遠い過去を思い出すように目を細めた。
「若い頃、血気に逸って敵対組織に突っ込み、瀕死の重傷を負った。その俺を助けてくれたのが……リーナの親父さんだ」
バルドの声にかすかな震えが混じる。
「……俺は親父さんに、返しきれない恩がある。その時に言われたんだ。
『何かあれば娘と妻を守ってやってくれ』とな。
本来なら俺が守るはずだったんだ……」
苦悶に顔を歪め、拳をさらに握りしめる。
「だが、守れなかった……」
その言葉に、胸の奥で怒りが爆ぜた。
「謝罪なんか聞きたくない!リーナとおふくろさんはどこにいる!?」
机を叩き、身を乗り出す。
バルドはわずかに目を伏せ、低く答えた。
「……町の北、貧民街の奥だ。ロガンの隠れ家にいるはずだ。
だが、今回の件は単なる抗争じゃねぇ。裏で糸を引いてる何者かがいる。
怪しいのはノクトと名乗る男だ」
ノクト――その名を聞いた瞬間、背筋に冷たいものが走る。
「ノクトがこの町に現れたのは一年前。その直後に親父さんは命を落とし……ロガンは少しずつ頭角を現し始めた」
「……あの時、親父さんが死んだ原因を徹底的に調べた。街の裏路地から役人どもの記録まで、隅から隅までだ。だが結局、親父さんがなぜ死んだのか……決定的な証拠は何一つ掴めなかった」
バルドの眼差しに影が落ちる。
「ただ……あの一年を境に、何かが狂い始めたんだ」
バルドの視線が俺を射抜く。
「そして――リーナの家の地下には秘密がある。契約の祭壇だ。望むものに力を与える代わりに、必ず代償を要求する。
親父さんは全力で抑えようとしたが、あまりに強力で……結局リーナを媒介にした血の封印を施すしかなかった」
バルドの言葉に、俺は思わず口を開いた。
「……祭壇?なんのことだ?話が見えない」
「魔族が残したものだ。この街が築かれるよりも、もっと前に作られた。
元々神父だった親父さんが、それを発見したんだ」
「魔族の残したもの……?」
混乱する俺に、バルドはじっと視線を投げる。
「ああ。奴らはリーナを使って封印を解かせるつもりだ。そのために母親ごと攫った。……キョウマ、お前も城塞都市で見たんじゃないのか?あの血の祭壇を」
「……そんなものは記憶にない」
俺の返答に、バルドは口をつぐんだ。
蝋燭の火が揺れ、広間には重たい沈黙が落ちる。
やがて胸の奥で苛立ちが爆ぜ、言葉が迸る。
「……そんなことはどうでもいい!リーナとおふくろさんを助けるのが先だろ!――ロガンの隠れ家に案内しろ!」
ルミナスを握り、立ち上がる。
バルドは黙って立ち上がった。
重い足取りで広間の扉へ向かい、音を立てて開け放つ。
「……案内する。町の北、貧民街へ」
冷たい夜気が流れ込み、蝋燭の火が揺れる。
俺はルミナスを背に預け、バルドの後ろに続いた。
――必ず助け出す。
そう心に誓い、闇が覆う街へ足を踏み出した。
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