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テセウス2
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テセウス
これは、報酬三倍くらいもらわないと割に合わないだろ!
そんな事を思いながら、テセウスはダリアに向けられた攻撃魔法を無効化する魔法の詠唱をしようとした。
しかし、攻撃魔法はすぐに消え去った。
ちなみに、攻撃した奴らはすでに逃げていた。
「嘘だろ」
テセウスは自分の手を疑った。
いやいや、ありえないって!攻撃魔法を無効化することなんて余程の熟練した魔術師くらいしかいないし、あの子にそんな能力もなさそうだし。
そう考えながら、テセウスは瞬く間にダリアを抱き上げてヒドラから離れた。
ダリアは、覚悟していた攻撃魔法は当たらず。突然抱き上げられた事に目を白黒とさせていた。
「あ、貴方は?」
ダリアは驚いてはいるもののパニックにはなっておらず。
テセウスは、この子意外と図太いのかもしれない。と思った。
「俺?俺だよ。俺、テセウス」
「は、はあ」
とりあえずテセウスが名前を名乗るが、それでもダリアは戸惑っていた。
そうだった!ご主人様はこの子に何も伝えてなかったんだ!
テセウスはその事に気がついて、ダリアに簡単な説明をした。
「アンタの弟が心配だからってつけてくれた護衛だ」
「あの子が?」
「とりあえず逃げるか、流石にあれを倒すのは無理だ」
「そうですね。S級冒険者達が何人かでパーティを組まないと倒せないレベルですものね」
テセウスがあれは倒せない。と言い切ってもダリアは詰ることはなくすんなりと納得して、逃げる方法を考える素振りを見せた。
なんというか、ミカエルもそうだがテセウスがイメージする貴族のおぼっちゃまお嬢様とは二人ともかけ離れていた。
「足手纏いになるかもしれませんが、何か協力できることがあったら言ってください」
「今のところ、俺に抱き抱えられてるのが一番足手纏いにならないから、このままでお願いできますか」
「承知しました」
「走り出すから舌を噛まないように、急いでダンジョンから出ないと閉鎖されるかもしれないからな」
テセウスは言うなり走り出した。
当然ヒドラが追いかけてきて、途中何度か即死系のブレスなどを吹きかけてくるが、テセウスは難なくそれを捌いて逃げていた。
途中体力を削るために攻撃魔法を何度か当てたが、効果が出ているかは微妙だった。
しかし、それが何度も続くと集中力も切れてくる。
ヒドラが二度放ったブレスを捌き切れず、それが二人に襲いかかってきた。
「わっ!」
テセウスは死を覚悟した。
せめてダリアだけでも逃げられるように彼女の身体を庇おうと身を屈める。
その瞬間だった。
ブレスは消え去ったのだ。
「えっ」
テセウスは突然のことに驚いていた。
そこに……。
「いやぁ、ヒドラ相手にここまで人一人守りながらよく持ったな。あとはまかせろ!」
五人の男女組が立っていた。
彼らは、テセウスにとって憧れそのものの存在で、遠くから顔を見たことはあったけれど、話したことは一度もなかった。
S級冒険者達だった。
「威圧されずによく頑張ったわね。名前を聞いておかないと」
「おい、唾つけとくなよ。こっちもスカウトしたいから、見込みがある奴は俺だって欲しいんだよ」
軽口を叩く彼らが、ヒドラに向かって走り出していくのをテセウスは見た。
彼らは見事な連携でヒドラを撃ち倒した。
テセウスは、逃げるだけで精一杯だったのに。
……俺、一生S級冒険者になるのは無理だ。
テセウスは、彼らの連携を見てかなり落ち込んだ。
ちなみに、テセウスが放った攻撃魔法が実はかなり効果があって、ヒドラが弱っていたことを後から教えられた。
その後、捜査官から色々と話を聞かされて、実はとんでもない事件に巻き込まれていた事を知らされて、彼はひっくり返った。
これは、報酬三倍くらいもらわないと割に合わないだろ!
そんな事を思いながら、テセウスはダリアに向けられた攻撃魔法を無効化する魔法の詠唱をしようとした。
しかし、攻撃魔法はすぐに消え去った。
ちなみに、攻撃した奴らはすでに逃げていた。
「嘘だろ」
テセウスは自分の手を疑った。
いやいや、ありえないって!攻撃魔法を無効化することなんて余程の熟練した魔術師くらいしかいないし、あの子にそんな能力もなさそうだし。
そう考えながら、テセウスは瞬く間にダリアを抱き上げてヒドラから離れた。
ダリアは、覚悟していた攻撃魔法は当たらず。突然抱き上げられた事に目を白黒とさせていた。
「あ、貴方は?」
ダリアは驚いてはいるもののパニックにはなっておらず。
テセウスは、この子意外と図太いのかもしれない。と思った。
「俺?俺だよ。俺、テセウス」
「は、はあ」
とりあえずテセウスが名前を名乗るが、それでもダリアは戸惑っていた。
そうだった!ご主人様はこの子に何も伝えてなかったんだ!
テセウスはその事に気がついて、ダリアに簡単な説明をした。
「アンタの弟が心配だからってつけてくれた護衛だ」
「あの子が?」
「とりあえず逃げるか、流石にあれを倒すのは無理だ」
「そうですね。S級冒険者達が何人かでパーティを組まないと倒せないレベルですものね」
テセウスがあれは倒せない。と言い切ってもダリアは詰ることはなくすんなりと納得して、逃げる方法を考える素振りを見せた。
なんというか、ミカエルもそうだがテセウスがイメージする貴族のおぼっちゃまお嬢様とは二人ともかけ離れていた。
「足手纏いになるかもしれませんが、何か協力できることがあったら言ってください」
「今のところ、俺に抱き抱えられてるのが一番足手纏いにならないから、このままでお願いできますか」
「承知しました」
「走り出すから舌を噛まないように、急いでダンジョンから出ないと閉鎖されるかもしれないからな」
テセウスは言うなり走り出した。
当然ヒドラが追いかけてきて、途中何度か即死系のブレスなどを吹きかけてくるが、テセウスは難なくそれを捌いて逃げていた。
途中体力を削るために攻撃魔法を何度か当てたが、効果が出ているかは微妙だった。
しかし、それが何度も続くと集中力も切れてくる。
ヒドラが二度放ったブレスを捌き切れず、それが二人に襲いかかってきた。
「わっ!」
テセウスは死を覚悟した。
せめてダリアだけでも逃げられるように彼女の身体を庇おうと身を屈める。
その瞬間だった。
ブレスは消え去ったのだ。
「えっ」
テセウスは突然のことに驚いていた。
そこに……。
「いやぁ、ヒドラ相手にここまで人一人守りながらよく持ったな。あとはまかせろ!」
五人の男女組が立っていた。
彼らは、テセウスにとって憧れそのものの存在で、遠くから顔を見たことはあったけれど、話したことは一度もなかった。
S級冒険者達だった。
「威圧されずによく頑張ったわね。名前を聞いておかないと」
「おい、唾つけとくなよ。こっちもスカウトしたいから、見込みがある奴は俺だって欲しいんだよ」
軽口を叩く彼らが、ヒドラに向かって走り出していくのをテセウスは見た。
彼らは見事な連携でヒドラを撃ち倒した。
テセウスは、逃げるだけで精一杯だったのに。
……俺、一生S級冒険者になるのは無理だ。
テセウスは、彼らの連携を見てかなり落ち込んだ。
ちなみに、テセウスが放った攻撃魔法が実はかなり効果があって、ヒドラが弱っていたことを後から教えられた。
その後、捜査官から色々と話を聞かされて、実はとんでもない事件に巻き込まれていた事を知らされて、彼はひっくり返った。
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