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アイオラ以外の聖女はただの聖女
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無料の治療院も孤児院も問題なく運営する事ができた。
お披露目は、結局するのをやめた。
というのも、血の繋がっているだけの人たちのせいで悪評が広まっているので、する気をなくした。
無駄遣いするくらいなら治療院と孤児院に充てたい。と、言ったところみんなになぜか感動されてしまった。
まあ、そうこうしている間に、カオリがこの世界へとやってきた。
神殿で過ごすことはほとんどなく。治癒院で雑用をすることがほとんどだ。
ありがたい事に、評判も良く裕福な平民が来る事も多く。その際の治療費を運営費に充てている。
その知らせを聞いたのは治癒院にいる時だった。
「アイオラ様!聖女が現れました」
「アンヌさん、聖女様でしょ」
アンヌがしれっと聖女と言ったことに私は思わず目を見開く。
聖女を崇拝の対象として見ているはずではないのか。
「いいえ、アイオラ様以外の聖女はただの聖女です」
飛べないなんちゃらは、ただのなんちゃらと同じ理論なのか。
「……その人の前でそんな態度取らないでね。失礼よ」
私の事を人としてそれなりに尊敬して見てくれているのなら、誇らしいことではあるけれど、だからといって、カオリに対して無礼な態度をとるのは話が別だ。
「わかりました!聖女の前では聖女様っていいます」
釘を刺しておくが。少しだけ不安だった。
「マリネッタ様がお話ししたいそうです。久しぶりに神殿に来てください」
アンヌに言われて、私は神殿へと行くことにした。
神殿は良くも悪くも変わらず。
ほんの少ししかいなかったが、いい思い出しかないのでなんだか幸せな気分になった。
神官にマリネッタに会いにきたと伝えると、少しだけ睨まれた。
どうやら忙しいようだ。
名前を伝えると、渋々といった様子で執務室へと連れていってくれた。
もしかしたら、マリネッタも同じ態度を取るかもしれない。
少しだけ不安になりながら、執務室のドアを開くとそれは杞憂となった。
「アイオラ様!お久しぶりです」
「マリネッタ様もお久しぶりですね」
だらけずに真面目に治癒院で働いていると思われたくて、神殿にはあまり顔を出さないようにしていた。
マリネッタと顔を合わせるのはかなり久しぶりだ。
「聖女の話を聞きましたか?」
「はい」
マリネッタから、聖女が現れた経緯を説明された。
概ね。本の中と同じ内容だった。
「で、それでですね。彼女はお披露目を早くしたいと話していて、アイオラ様はいまだにしてませんでしょう?」
「そうですね」
そういえば、そうだった。
というのも、あの家に籍を置いている状況でお披露目したら、アイツらがでかい顔をするのが目に見えてわかっているからしたくなかったのだ。
「この際一緒にしてどうかしらと考えているのですが」
「やっぱり、必要ですか?可能なら顔を出すのは嫌なんですが」
「……カオリさんが、貴女の事をやたら気にしているんですよ。人前に出せないほど酷い人間性なのかって、私はいじめられるのではないか。って」
「なるほど」
カオリがそんな事言うとは、何というか被害妄想が強いのではないか。と、少しだけ思ってしまった。
しかし、今までの聖女の人間性を考えるとそう思われても仕方ないのかもしれない。
「あ、私たちはそんな事少しも思ってませんよ!ですが、アイオラ様を知らない若い神官は、カオリ様の言う事を信じかけていて、悪い話を払拭するためにも、できれば顔を出してもらえたら嬉しいのですが」
マリネッタが慌てて否定してくれて、私は少しほっとした。
カオリの言う事を全く信じていないからだ。
やはり、自分が行動で示したからだろう。
「わかりました」
死ななければどう思われても構わないが、マリネッタがそう言ってくれるならそれに応えようと思う。
「本当に申し訳ありません。治癒院や孤児院を運営しながら静かに暮らしたいのでしょう?」
「わかりましたか?」
「そんな気がしました」
「聖女になったので、最低限の責任は果たしたいと思います」
自分の意思を伝えると、マリネッタは微笑んで少しだけ困った顔をした。
「大切な話があるんです。もしかしたら、貴女が傷つくかもしれませんが、わかる事なので今伝えておきます」
何を言われるのだろう。私は不安になりながら、マリネッタの次の言葉を待った。
お披露目は、結局するのをやめた。
というのも、血の繋がっているだけの人たちのせいで悪評が広まっているので、する気をなくした。
無駄遣いするくらいなら治療院と孤児院に充てたい。と、言ったところみんなになぜか感動されてしまった。
まあ、そうこうしている間に、カオリがこの世界へとやってきた。
神殿で過ごすことはほとんどなく。治癒院で雑用をすることがほとんどだ。
ありがたい事に、評判も良く裕福な平民が来る事も多く。その際の治療費を運営費に充てている。
その知らせを聞いたのは治癒院にいる時だった。
「アイオラ様!聖女が現れました」
「アンヌさん、聖女様でしょ」
アンヌがしれっと聖女と言ったことに私は思わず目を見開く。
聖女を崇拝の対象として見ているはずではないのか。
「いいえ、アイオラ様以外の聖女はただの聖女です」
飛べないなんちゃらは、ただのなんちゃらと同じ理論なのか。
「……その人の前でそんな態度取らないでね。失礼よ」
私の事を人としてそれなりに尊敬して見てくれているのなら、誇らしいことではあるけれど、だからといって、カオリに対して無礼な態度をとるのは話が別だ。
「わかりました!聖女の前では聖女様っていいます」
釘を刺しておくが。少しだけ不安だった。
「マリネッタ様がお話ししたいそうです。久しぶりに神殿に来てください」
アンヌに言われて、私は神殿へと行くことにした。
神殿は良くも悪くも変わらず。
ほんの少ししかいなかったが、いい思い出しかないのでなんだか幸せな気分になった。
神官にマリネッタに会いにきたと伝えると、少しだけ睨まれた。
どうやら忙しいようだ。
名前を伝えると、渋々といった様子で執務室へと連れていってくれた。
もしかしたら、マリネッタも同じ態度を取るかもしれない。
少しだけ不安になりながら、執務室のドアを開くとそれは杞憂となった。
「アイオラ様!お久しぶりです」
「マリネッタ様もお久しぶりですね」
だらけずに真面目に治癒院で働いていると思われたくて、神殿にはあまり顔を出さないようにしていた。
マリネッタと顔を合わせるのはかなり久しぶりだ。
「聖女の話を聞きましたか?」
「はい」
マリネッタから、聖女が現れた経緯を説明された。
概ね。本の中と同じ内容だった。
「で、それでですね。彼女はお披露目を早くしたいと話していて、アイオラ様はいまだにしてませんでしょう?」
「そうですね」
そういえば、そうだった。
というのも、あの家に籍を置いている状況でお披露目したら、アイツらがでかい顔をするのが目に見えてわかっているからしたくなかったのだ。
「この際一緒にしてどうかしらと考えているのですが」
「やっぱり、必要ですか?可能なら顔を出すのは嫌なんですが」
「……カオリさんが、貴女の事をやたら気にしているんですよ。人前に出せないほど酷い人間性なのかって、私はいじめられるのではないか。って」
「なるほど」
カオリがそんな事言うとは、何というか被害妄想が強いのではないか。と、少しだけ思ってしまった。
しかし、今までの聖女の人間性を考えるとそう思われても仕方ないのかもしれない。
「あ、私たちはそんな事少しも思ってませんよ!ですが、アイオラ様を知らない若い神官は、カオリ様の言う事を信じかけていて、悪い話を払拭するためにも、できれば顔を出してもらえたら嬉しいのですが」
マリネッタが慌てて否定してくれて、私は少しほっとした。
カオリの言う事を全く信じていないからだ。
やはり、自分が行動で示したからだろう。
「わかりました」
死ななければどう思われても構わないが、マリネッタがそう言ってくれるならそれに応えようと思う。
「本当に申し訳ありません。治癒院や孤児院を運営しながら静かに暮らしたいのでしょう?」
「わかりましたか?」
「そんな気がしました」
「聖女になったので、最低限の責任は果たしたいと思います」
自分の意思を伝えると、マリネッタは微笑んで少しだけ困った顔をした。
「大切な話があるんです。もしかしたら、貴女が傷つくかもしれませんが、わかる事なので今伝えておきます」
何を言われるのだろう。私は不安になりながら、マリネッタの次の言葉を待った。
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