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空回り
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次の日から、カオリは治癒院の手伝いにやってきた。
カオリの聖女ムーブで上手く溶け込み。治癒院を乗っ取るかもしれない。という、不安が少しあったがそんな事は起こらなかった。
「アイオラ!そのやり方って合っているの?」
私が何かをするたびに彼女はこうして突っかかってくるのだ。
「効率とか考えてる?そんなやり方してる人に治癒院なんて任せられないわ!」
カオリとしては、私が治癒院の運営に相応しくないと周囲に知らしめるためにやっている事なのだろうけれど。逆効果だ。
顰蹙を買っている。
「あの、聖女サマっていつ帰るんですか?」
「正直迷惑なんですけど」
「私たちには優しいけど、あの人が治癒院を運営するようになったら、次に当たられるのは僕たちですよね。怖すぎる」
治癒院のスタッフ達からこんな声が上がっているなどと、カオリは思っていないはずだ。
私を追い出す方面で頑張っているのだと思うが、空回りしている。いやしすぎだ。
誰も顔には出さないが、みんなカオリのことを厄介者だと思うようになっていった。
軽く距離を取られつつ、カオリが治癒院を手伝うようになって月日が流れた。
そして、「あの事件」が起こった。
本の中で、カオリを愛するあまり私を殺した男が治癒院へとやってきたのだ。
彼の名は、カサディンといい。自治区を所有する辺境伯だ。
彼は、聖女のお披露目を見るために辺境からやってきて、その道中で魔獣に襲われるのだ。
瘴気を纏った深い傷を負った彼を癒したのはカオリだった。
「ここに、聖女がいると聞いてやってきた!彼を癒して欲しい!」
仲間に連れられてやってきたカサディンは、血まみれでぐったりとしている。
「こちらへ!」
流石に瘴気を纏った傷を周囲に見られるのは良くないと判断した私は個室へと案内しようとする。
しかし、空気を読まない女が一人いた。
「何をしているんですか!命に関わることなのに!早くこちらに寝かせてください」
カオリは、私を勢いよく押し退けて、私たちがいた部屋のベッドへとカサディンを寝かせるように指示をした。
ちなみに部屋は、軽症者が使っている部屋だ。
部屋の人たちが騒然としている中、カオリは「私が瘴気を払います」と言い出す。
「この方は、辺境伯なのです。彼を助けてください」
カサディンの部下達は、カオリに縋り付くように頭を下げた。
「アイオラ、アンタ邪魔なの。さっきも部屋を変えろって言ったり。空気読めないの?私の邪魔をしないでくれる?」
カオリの一言で、カサディンの部下達は私に鋭い視線を向けた。
「邪魔をするのはやめてもらえますか?」
「こいつ、悪役聖女のアイオラじゃないのか?」
カサディンの部下達は好き勝手に私の事を言い出す。
貴族の間で私のことをなんと言われているのか、容易に想像できた。
「カオリ様、お願いします」
「承知しました。あの、席を外してもらえますか?」
「はい」
「アイオラは、ここに残って!私が聖女の力の使い方を見せてあげる」
なんという上から目線なのだろう。
怒りを通り越して、ここまでくると面白くなってくる。
どのみち彼女の浄化を見ないといけないので、私はここに残るつもりだった。
だから、下手に反論はせずに「わかりました」とだけ返事をした。
「では、私たちは失礼します」
カサディンの部下達は、言われた通りに部屋から出ていった。
カオリは、気分の良さそうな顔をして、カサディンの傷口を見た。
「……」
傷口を見たカオリの表情がみるみる険しいものへと変わって行った。
次の日から、カオリは治癒院の手伝いにやってきた。
カオリの聖女ムーブで上手く溶け込み。治癒院を乗っ取るかもしれない。という、不安が少しあったがそんな事は起こらなかった。
「アイオラ!そのやり方って合っているの?」
私が何かをするたびに彼女はこうして突っかかってくるのだ。
「効率とか考えてる?そんなやり方してる人に治癒院なんて任せられないわ!」
カオリとしては、私が治癒院の運営に相応しくないと周囲に知らしめるためにやっている事なのだろうけれど。逆効果だ。
顰蹙を買っている。
「あの、聖女サマっていつ帰るんですか?」
「正直迷惑なんですけど」
「私たちには優しいけど、あの人が治癒院を運営するようになったら、次に当たられるのは僕たちですよね。怖すぎる」
治癒院のスタッフ達からこんな声が上がっているなどと、カオリは思っていないはずだ。
私を追い出す方面で頑張っているのだと思うが、空回りしている。いやしすぎだ。
誰も顔には出さないが、みんなカオリのことを厄介者だと思うようになっていった。
軽く距離を取られつつ、カオリが治癒院を手伝うようになって月日が流れた。
そして、「あの事件」が起こった。
本の中で、カオリを愛するあまり私を殺した男が治癒院へとやってきたのだ。
彼の名は、カサディンといい。自治区を所有する辺境伯だ。
彼は、聖女のお披露目を見るために辺境からやってきて、その道中で魔獣に襲われるのだ。
瘴気を纏った深い傷を負った彼を癒したのはカオリだった。
「ここに、聖女がいると聞いてやってきた!彼を癒して欲しい!」
仲間に連れられてやってきたカサディンは、血まみれでぐったりとしている。
「こちらへ!」
流石に瘴気を纏った傷を周囲に見られるのは良くないと判断した私は個室へと案内しようとする。
しかし、空気を読まない女が一人いた。
「何をしているんですか!命に関わることなのに!早くこちらに寝かせてください」
カオリは、私を勢いよく押し退けて、私たちがいた部屋のベッドへとカサディンを寝かせるように指示をした。
ちなみに部屋は、軽症者が使っている部屋だ。
部屋の人たちが騒然としている中、カオリは「私が瘴気を払います」と言い出す。
「この方は、辺境伯なのです。彼を助けてください」
カサディンの部下達は、カオリに縋り付くように頭を下げた。
「アイオラ、アンタ邪魔なの。さっきも部屋を変えろって言ったり。空気読めないの?私の邪魔をしないでくれる?」
カオリの一言で、カサディンの部下達は私に鋭い視線を向けた。
「邪魔をするのはやめてもらえますか?」
「こいつ、悪役聖女のアイオラじゃないのか?」
カサディンの部下達は好き勝手に私の事を言い出す。
貴族の間で私のことをなんと言われているのか、容易に想像できた。
「カオリ様、お願いします」
「承知しました。あの、席を外してもらえますか?」
「はい」
「アイオラは、ここに残って!私が聖女の力の使い方を見せてあげる」
なんという上から目線なのだろう。
怒りを通り越して、ここまでくると面白くなってくる。
どのみち彼女の浄化を見ないといけないので、私はここに残るつもりだった。
だから、下手に反論はせずに「わかりました」とだけ返事をした。
「では、私たちは失礼します」
カサディンの部下達は、言われた通りに部屋から出ていった。
カオリは、気分の良さそうな顔をして、カサディンの傷口を見た。
「……」
傷口を見たカオリの表情がみるみる険しいものへと変わって行った。
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