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尻拭いのための事後報告

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 ジークムントを見送り、私は父のところへと向かった。
 やったこと、言ったこと全て説明した。
 とりあえず後から困らないように事後報告だ。
 尻拭いは父がやってくれる。いつものように。

「え、あれ、本当にやっちゃったの?」

 父はそう言いながらも、少し笑っている。
 怒らないあたり、それなりに今回のことに対して不満を持っているのがわかる。
 
「当たり前じゃないですか、あんなことされたのに、笑顔で何も言わなかったら死ぬまで舐められますよ」

 やられっぱなしだったら、負けを認めたようなもの。
 死ぬまで踏みつけにされるつもりはない。どちらが強者なのか知らしめてやる必要がある。

「もう少しやり方があったんじゃないの?」

 兄の声がした。どうやらいたようだ。存在感がなさすぎていることに気が付かなかった。
 
「おう、愚兄、いたのか、気が付かなかった」
「ひ、酷い」

 兄を呼ぶとあからさまに傷ついた顔をして、ショックを受けている。

「で、具体的にどうすればいいの?」

 ただ、穏便にことを済ませる方法も実は考えてなかったわけではない。
 兄のライナーの考える最良の方法も聞いてみることにした。
 まあ、聞いたところで絶対に言うことなんて聞かないのだけれど。
 
「そりゃ、ちゃんと穏便に話をして」
「穏便に話を聞いてくれると思ってるの?」
「……」

 ライナーは途端に黙った。
 彼も話なんて聞いてくれないと思ったのだろう。
 だったら言うな。

「これからの付き合い方どうすればいいんだ」

 父は困った顔をしている。
 あちらから何か言ってくることがあるとしたら、婚約破棄か婚約破棄か婚約破棄だろうか。
 王命?そんなものは知らない。
 私は一ミクロンも悪くないので、向こうが地面に頭を擦り付けて国王に謝ればいいだけじゃないか。
 私は悪くない。

「婚約破棄するなら、向こうの有責で吹っかけましょう!」

 当然もらえるものは、もらっとけというスンポーだ。

「だったら同レベルな事しなくてもよかったじゃない?うち、潰されちゃうよ」

 まあ、父は何とも弱気で情けない。

「情けない。男どもだ」
「サブリナ、頼むから早く目を覚ましてくれ、私たちにこの子を止める事はできない……」

 私が吐き捨てると、父は姉の部屋のある方角に手を合わせて何やらお祈りを始めた。
 今から死ぬわけでもないのに不謹慎だ。

 まあ、こんな感じでバーナー家からの反応に、父と兄は情けなくも怯えて待っていた。

 それから、数日後、ジークムントの名前で私宛に手紙が届いた。

 どうやら私と「お話」がしたいようだ。
 調査内容はどうだったのだろうか、それに対しては全く触れられていない。
 私が来て「お話し」したいようだ。

 何様のつもりなのか、使用人を連れてきて頭を下げるのが筋なのではないか。

 まあ、格上の公爵にそんなことを言えるわけがないので、私はそれを飲み込んだ。

 私だって常識はある。




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やってから事後報告ってなんか違うな。って私は思いました。ちょいちょい、お父さん色々な人に頭下げてるんだろうな
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