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繊細で気が弱い
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「あの、今度、王家主催の夜会があるだろう?そのエスコートしてもいいだろうか」
「そんなものあったか?」
「急遽決まったんだ」
でも、王命での婚約をしているもののまだ公表はしていない。
「えっと、婚約発表もまだですし、大丈夫なんですかそれって」
ジークムントは、人気だ。
私は可愛いけれど、姉から見たら世界一可愛いのであって、客観的に見ると普通くらいだ。
釣り合いは取れていない。
「発表してなくても、別に良くないか」
「ですが」
良くないだろ。ジークムントにエスコートされるポッと出の私。
間違いなく恐ろしいお姉様方にいびられる。
あんたにはジーク様は相応しくない。とか、なんとか言われそうだ。
とても、繊細で気が弱い私がそんな地獄で生き残れるはずがない。
「ジーク、私をエスコートしてくれないの?前はよくしてくれたのに、困っているじゃないクラリスさんも」
挨拶以降、ずっと空気だったアルネが唐突にそんな事を言い出す。
この女、常識がないのか。
勝手にすればいい。とは、思うが、なんだかムカつくなこの女。
「僕の婚約者はクラリス嬢だ。たとえ、クラリス嬢のエスコートをしなくても君のエスコートはしない」
ジークムントは、意外にもキッパリとアルネの提案を断った。
あれ?彼女のことを好きなんじゃないのか。
まあ、別に私はこいつに愛されなくても結構だが。
「その、皇太子から直々に言われて、何か発表があるから一緒にいてくれって」
「発表の場に一緒にいればいいだけで、エスコートはしなくてもいいのでは?アルネは兄さんがいるじゃないか」
なぜか言い合いになっている。
痴話喧嘩は好きにやればいいけど、私を間に挟んでやるのはやめてくれないだろうか。迷惑だ。
クラウスはそのやり取りを見ているだけで何も言わない。いいのか、それで、自分の婚約者がアホなこと言い出しているのに。
「あ~、面倒なのでいいです。エスコートも必要ないです」
「僕がエスコートしようか?」
私が断ると今度はクラウスがエスコートを提案してきた。
「え、クラウス様がですか?」
私が驚いていると、彼は私の耳元で小さな声で話し出した。
『実は、今回の件でアルネがヘソを曲げてしまって、僕や君を困らせようとやっているんだ。ちょっと仕返しをしないか?』
聖女のくせに意外と心が狭いな。
クラウスもわかっていて、こういう提案をしてきたように思える。
彼も意外といい性格をしているのかもしれない。
「クラウスは、私の婚約者でしょう?だめよ!」
「君はジークムントがエスコートするんだし、別に問題はないだろう?クラリス嬢、仲良く参加しようか」
アルネがダメだと怒るが、クラウスはどこ吹く風だ。
怒らせたらいけないタイプなのは、こういう男なのかもしれない。
こういう時は、逆らわないで乗るのが一番だ。
「そうしましょう!」
「そんな僕が婚約者なのに」
ジークムントがショックを受けている。
アルネと好きに乳繰り合ってればいい。なんなら勝手にくっついてそれぞれ婚約破棄になればいいのに。
クラリスは理想的な男だと思う。
「ところで、サブリナ嬢はどうかな?」
ジークムントの質問に、私は目を伏せた。
「あまり代わりませんね」
「……そうか」
気遣わしげな視線。
彼もクラウスの事を大切に思っているようなので、私の気持ちもわかるようだ。
彼が真人間でよかった。
「彼女の好きな香油とか、石鹸とか保湿剤とか、教えて貰えば贈りたいんだが、もらっても迷惑じゃないだろうか?できれば一緒に選びたいのだが」
よくわかってるじゃないか。コイツ。
私はジークムントのことを少し見直した。
「ありがとうございます!喜んで受け取ります」
だからといって、コイツと一生を共にする気は毛頭ないけれど。
どうやったら結婚から逃げられるのか。
一番お手軽な方法は、アルネとジークムントがくっつくことではないか。と、今閃いたのだ。
そうと決まれば、私は二人をくっつくために動こうと決めた。
だが、それはすぐに邪魔された。
「それで、いつ一緒に見に行く?」
「……」
お前と交流するつもりはない!と、言いたかったが。すぐにクラウスが「いい考えだね!」とそれに乗ってしまったので言葉を飲み込む。
「初めてのデートだね」
と、悪気なくクラウスが言うので、想像して鳥肌がたった。
「あの、今度、王家主催の夜会があるだろう?そのエスコートしてもいいだろうか」
「そんなものあったか?」
「急遽決まったんだ」
でも、王命での婚約をしているもののまだ公表はしていない。
「えっと、婚約発表もまだですし、大丈夫なんですかそれって」
ジークムントは、人気だ。
私は可愛いけれど、姉から見たら世界一可愛いのであって、客観的に見ると普通くらいだ。
釣り合いは取れていない。
「発表してなくても、別に良くないか」
「ですが」
良くないだろ。ジークムントにエスコートされるポッと出の私。
間違いなく恐ろしいお姉様方にいびられる。
あんたにはジーク様は相応しくない。とか、なんとか言われそうだ。
とても、繊細で気が弱い私がそんな地獄で生き残れるはずがない。
「ジーク、私をエスコートしてくれないの?前はよくしてくれたのに、困っているじゃないクラリスさんも」
挨拶以降、ずっと空気だったアルネが唐突にそんな事を言い出す。
この女、常識がないのか。
勝手にすればいい。とは、思うが、なんだかムカつくなこの女。
「僕の婚約者はクラリス嬢だ。たとえ、クラリス嬢のエスコートをしなくても君のエスコートはしない」
ジークムントは、意外にもキッパリとアルネの提案を断った。
あれ?彼女のことを好きなんじゃないのか。
まあ、別に私はこいつに愛されなくても結構だが。
「その、皇太子から直々に言われて、何か発表があるから一緒にいてくれって」
「発表の場に一緒にいればいいだけで、エスコートはしなくてもいいのでは?アルネは兄さんがいるじゃないか」
なぜか言い合いになっている。
痴話喧嘩は好きにやればいいけど、私を間に挟んでやるのはやめてくれないだろうか。迷惑だ。
クラウスはそのやり取りを見ているだけで何も言わない。いいのか、それで、自分の婚約者がアホなこと言い出しているのに。
「あ~、面倒なのでいいです。エスコートも必要ないです」
「僕がエスコートしようか?」
私が断ると今度はクラウスがエスコートを提案してきた。
「え、クラウス様がですか?」
私が驚いていると、彼は私の耳元で小さな声で話し出した。
『実は、今回の件でアルネがヘソを曲げてしまって、僕や君を困らせようとやっているんだ。ちょっと仕返しをしないか?』
聖女のくせに意外と心が狭いな。
クラウスもわかっていて、こういう提案をしてきたように思える。
彼も意外といい性格をしているのかもしれない。
「クラウスは、私の婚約者でしょう?だめよ!」
「君はジークムントがエスコートするんだし、別に問題はないだろう?クラリス嬢、仲良く参加しようか」
アルネがダメだと怒るが、クラウスはどこ吹く風だ。
怒らせたらいけないタイプなのは、こういう男なのかもしれない。
こういう時は、逆らわないで乗るのが一番だ。
「そうしましょう!」
「そんな僕が婚約者なのに」
ジークムントがショックを受けている。
アルネと好きに乳繰り合ってればいい。なんなら勝手にくっついてそれぞれ婚約破棄になればいいのに。
クラリスは理想的な男だと思う。
「ところで、サブリナ嬢はどうかな?」
ジークムントの質問に、私は目を伏せた。
「あまり代わりませんね」
「……そうか」
気遣わしげな視線。
彼もクラウスの事を大切に思っているようなので、私の気持ちもわかるようだ。
彼が真人間でよかった。
「彼女の好きな香油とか、石鹸とか保湿剤とか、教えて貰えば贈りたいんだが、もらっても迷惑じゃないだろうか?できれば一緒に選びたいのだが」
よくわかってるじゃないか。コイツ。
私はジークムントのことを少し見直した。
「ありがとうございます!喜んで受け取ります」
だからといって、コイツと一生を共にする気は毛頭ないけれど。
どうやったら結婚から逃げられるのか。
一番お手軽な方法は、アルネとジークムントがくっつくことではないか。と、今閃いたのだ。
そうと決まれば、私は二人をくっつくために動こうと決めた。
だが、それはすぐに邪魔された。
「それで、いつ一緒に見に行く?」
「……」
お前と交流するつもりはない!と、言いたかったが。すぐにクラウスが「いい考えだね!」とそれに乗ってしまったので言葉を飲み込む。
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と、悪気なくクラウスが言うので、想像して鳥肌がたった。
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