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大切な人
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最初は、サブリナとの婚約予定だった。
しかし、彼女は体調不良が続き、妹のクラリスとの婚約に差し替えになった。
クラリスとの年齢の差は6歳だ。
どうしたものかと頭を抱えそうになる。
年下の微妙なお年頃の女の子にどう接したらいいのかわからない。
そもそも、異性と付き合ったこともない。異性とは無縁だ。
兄に相談すると、温室を勧められた。
「温室?」
「冬だけど温かいし、花も綺麗だから喜ぶんじゃないかな」
確かにいいかもしれない。
「好かれたいなら、相手の好きなものをちゃんと知ったほうがいいよ」
と、アドバイスももらった。
顔合わせ当日。
アクシデントが起こった。事前に使うと知らせてあったのに、アルネが温室で使用人とお茶会をしていたのだ。
「アルネ、悪いけどここは使うんだ」
「そう、でもすぐには退けないわよ?」
どくように言ってもアルネは呑気だ。
「ここに、クラリス嬢が来るんだ」
「……それなら、東屋ならどう?見晴らしもいいしきっと気にいると思うわよ」
そんなやり取りをしている間に、クラリスが屋敷へとやって来てしまった。
仕方なく僕はクラリスを東屋へと案内した。
初めてクラリスと会った時の印象は、「可愛い」だった。
ふわふわのピンクの髪の毛はわたあめのようで、ターコイズの瞳がとても綺麗だった。
若い女の子と話すという緊張もあったが、それよりも彼女の愛らしさに言葉が出なかったのだ。
特に自己紹介をした時は、モモンガが目を見開いてバンザイしているかのように可愛かった。
話を盛り上げようと思っていたところに、僕はアルネに何かあったかのように使用人に言われて呼び出されて中座した。
そこからは、僕が完全に悪かった。
帰った。暴力を奮われた。という言葉を間に受けて、アルネの「反省を促すためにしばらく連絡をしない方がいい」という言葉を少しも疑わずに行動に起こした。
その結果は、クラリスに再び危害を加えられるという結末となった。
あの時、ひっくり返された紅茶には砂が入っていた。
僕を憐れみ。優しく大切にしてくれた使用人がそんな恐ろしいことをしたのだ。
由緒正しいマホガニー家が没落した。と、暴言を吐く姿が信じられなかった。
それに、愛する人と一緒になれない僕が可哀想だ。と、婚約者であるクラリスの前で平気で彼女らは言ったのだ。
クラリスは、それに対して傷ついた様子もなかったけれど、それでもそんな事を言うのは間違っている。
「許せ」というアルネ。しかし、それは本当に正しいのだろうか。
許したとしても、無意味なことなら、ただ悪意を向けられて一生を食い物にれるのではないか。と。僕は思ったのだ。
僕も聖騎士の力に目覚めなければ、一生軽い扱いを受けていたと思うのだ。
不信感に塗れた目を向けられて、僕は許すことが本当に正しいのか考え始める。
その答えを返してくれたのは、クラリスだった。
許さなくていい。と、戦う。と、クラリスは態度で示した。
彼女は、きっと、不当な扱いを受けたら、怒り出すだろう。そして、絶対にやり返す。
それが正しいのかわからないけれど。
もしも、彼女と幼い時から友達だったとしたら、僕を不当に扱った奴らと、そして、その扱いを受け入れる僕を叱り飛ばしたと思う。
叱るどころか張り倒したかもしれない。
それくらい彼女は強かった。
限界を超えた許せない事もあるのだ。
……もっと早く出会いたかった。
そんなふうに誰かに対して思ったのは初めてだった。
気がつけば、僕は彼女から目が離せなくなっていた。
それが恋なのかわからない。
でも、僕にとって彼女は誰よりも大切な人になっていた。
「応援はするけど、協力はしないから」
兄のクラウスは、そう言って笑った。
昔よりも表情や顔色が良くなった気がする。
クラウスも彼女のような人と出会いたかったのかもしれない。
「でも、アドバイス、お姉さんを気にかけてあげるんだ」
兄のアドバイスは何よりも的確だった。
こうして、僕はクラリスの信用を取り戻すために、努力をする。
兄は彼女から名前を呼ばれているのに、僕はいまだに「お前」としか呼ばれないのだ。
認められていない。証拠だ。
せめて、名前を呼ばれるようになりたい。
まずは、聖騎士になった事で知らない間に自分は傲慢で人の心を考えられなくなっていた。
そこを直したいと思う。
~~~~
クラリス視点に戻ります
デート?になります!!
私もジークムントと同じで、クラリスみたいな友達欲しいですわ……
しかし、彼女は体調不良が続き、妹のクラリスとの婚約に差し替えになった。
クラリスとの年齢の差は6歳だ。
どうしたものかと頭を抱えそうになる。
年下の微妙なお年頃の女の子にどう接したらいいのかわからない。
そもそも、異性と付き合ったこともない。異性とは無縁だ。
兄に相談すると、温室を勧められた。
「温室?」
「冬だけど温かいし、花も綺麗だから喜ぶんじゃないかな」
確かにいいかもしれない。
「好かれたいなら、相手の好きなものをちゃんと知ったほうがいいよ」
と、アドバイスももらった。
顔合わせ当日。
アクシデントが起こった。事前に使うと知らせてあったのに、アルネが温室で使用人とお茶会をしていたのだ。
「アルネ、悪いけどここは使うんだ」
「そう、でもすぐには退けないわよ?」
どくように言ってもアルネは呑気だ。
「ここに、クラリス嬢が来るんだ」
「……それなら、東屋ならどう?見晴らしもいいしきっと気にいると思うわよ」
そんなやり取りをしている間に、クラリスが屋敷へとやって来てしまった。
仕方なく僕はクラリスを東屋へと案内した。
初めてクラリスと会った時の印象は、「可愛い」だった。
ふわふわのピンクの髪の毛はわたあめのようで、ターコイズの瞳がとても綺麗だった。
若い女の子と話すという緊張もあったが、それよりも彼女の愛らしさに言葉が出なかったのだ。
特に自己紹介をした時は、モモンガが目を見開いてバンザイしているかのように可愛かった。
話を盛り上げようと思っていたところに、僕はアルネに何かあったかのように使用人に言われて呼び出されて中座した。
そこからは、僕が完全に悪かった。
帰った。暴力を奮われた。という言葉を間に受けて、アルネの「反省を促すためにしばらく連絡をしない方がいい」という言葉を少しも疑わずに行動に起こした。
その結果は、クラリスに再び危害を加えられるという結末となった。
あの時、ひっくり返された紅茶には砂が入っていた。
僕を憐れみ。優しく大切にしてくれた使用人がそんな恐ろしいことをしたのだ。
由緒正しいマホガニー家が没落した。と、暴言を吐く姿が信じられなかった。
それに、愛する人と一緒になれない僕が可哀想だ。と、婚約者であるクラリスの前で平気で彼女らは言ったのだ。
クラリスは、それに対して傷ついた様子もなかったけれど、それでもそんな事を言うのは間違っている。
「許せ」というアルネ。しかし、それは本当に正しいのだろうか。
許したとしても、無意味なことなら、ただ悪意を向けられて一生を食い物にれるのではないか。と。僕は思ったのだ。
僕も聖騎士の力に目覚めなければ、一生軽い扱いを受けていたと思うのだ。
不信感に塗れた目を向けられて、僕は許すことが本当に正しいのか考え始める。
その答えを返してくれたのは、クラリスだった。
許さなくていい。と、戦う。と、クラリスは態度で示した。
彼女は、きっと、不当な扱いを受けたら、怒り出すだろう。そして、絶対にやり返す。
それが正しいのかわからないけれど。
もしも、彼女と幼い時から友達だったとしたら、僕を不当に扱った奴らと、そして、その扱いを受け入れる僕を叱り飛ばしたと思う。
叱るどころか張り倒したかもしれない。
それくらい彼女は強かった。
限界を超えた許せない事もあるのだ。
……もっと早く出会いたかった。
そんなふうに誰かに対して思ったのは初めてだった。
気がつけば、僕は彼女から目が離せなくなっていた。
それが恋なのかわからない。
でも、僕にとって彼女は誰よりも大切な人になっていた。
「応援はするけど、協力はしないから」
兄のクラウスは、そう言って笑った。
昔よりも表情や顔色が良くなった気がする。
クラウスも彼女のような人と出会いたかったのかもしれない。
「でも、アドバイス、お姉さんを気にかけてあげるんだ」
兄のアドバイスは何よりも的確だった。
こうして、僕はクラリスの信用を取り戻すために、努力をする。
兄は彼女から名前を呼ばれているのに、僕はいまだに「お前」としか呼ばれないのだ。
認められていない。証拠だ。
せめて、名前を呼ばれるようになりたい。
まずは、聖騎士になった事で知らない間に自分は傲慢で人の心を考えられなくなっていた。
そこを直したいと思う。
~~~~
クラリス視点に戻ります
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