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鬼の正体(サブリナ)
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鬼の正体
「何から話したらいいのかしら」
私は、この世界がある本の物語であることを話した。
そして、その本の内容についても、ジャスパーは信じられないと言わんばかりの表情をして、クラウスは何か考えている表情をしている。
「私は、この世界の本当のサブリナの願いを聞き入れた魔女によって、異世界から魂だけ召喚されたの。クラリスを助けるためにね」
「そうだよな。王立図書館に文献があるって事は実在していた事実でもあるんだよな」
どうやら異邦人や魔女に対しての文献があるようで、それを、ジャスパーは知っていたみたいだ。
アルネの魂が突然現れた異邦人なら、本来の彼女の魂はどこに行ったのだろう?
そして、気になることがある。
「でも、納得できない。クラリスが死んでいたなんて、アイツ殺しても死なないような奴だぞ」
「私の可愛いクラリスをそんな化け物みたいに言うなんて不敬よ!」
ジャスパーはとてつもなく失礼なことを言い出す。
「……僕は死んでいた?」
クラウスは、ショックを受けたように呟く。
まあ、確かに死んでいるはずなのに生きているなんておかしな話だ。
「ええ、そうね。血を沢山吐いて死んだわ。それにしても、この時期なら本来なら棺桶に片足突っ込んでてもいいくらいに身体が弱ってるはずなのになんでピンピンしてるの?」
「いや、失礼だから」
ジャスパーは失礼だと私を窘めるが、事実を口にしているだけだ。
「僕に聞かれても」
クラウスに聞いたところで思い当たる事なんてないだろう。
もし、あるとしたら、何かしらの環境の変化かもしれない。
「そうね。確かに、貴方から見て変わった事なんて、ジークムントの婚約者が私からクラリスに変わったくらいですものね。他に何か変わった事でもあるのかしら?」
「使用人が、変わった」
そういえば、本の中でのクラウスは序盤は健康だった。次第に身体が弱くなっていったけれど、今考えてみるとそれは、使用人達が何かしたからではないのか。
アルネにとって邪魔者を排除しようとする姿を見ていると、殺しくらいは平然とやりそうな気がした。
実際に、クラウスが亡くなりジークムントが公爵になっている。
「なるほどね。じゃあそれだわ。貴方、本の中では邪魔者だから毒殺されたのね」
使用人達はわからないように、少量の毒を飲ませてゆっくりと殺したのだろう。
「アルネが別人だって気がつくくらい愛しているんでしょう?それなら、毒殺されるってわかっていても受け入れたのね」
「僕は邪魔者?」
「ジークムントが公爵家を継ぐために邪魔者だったのよ。それに、アルネと貴方は夫婦だったし」
盲目的にアルネとジークムントを崇拝していた使用人達からしたら、サブリナとクラウスは邪魔者でしかない。
クラウスも薄々勘付いていたように思える。
それでも、受け入れてしまったという事は、彼は私たちの敵になりうる可能性がある。
「ねえ、ところで、貴方は誰の味方なの?」
「え?」
「アルネが戻ってきたとして、彼女から見て私のクラリスは邪魔者になるわ。彼女がクラリスを殺そうとするなら私はアルネを殺すわ」
本物のアルネが戻ってきてクラリスに危害を加えるのなら私は黙っているつもりはない。
それに、本の中のクラウスは間違っている。
本当に彼女を愛しているのなら、死を選ぶのではなくジークムントを選ぶように言うべきだった。
「なんでも受け入れる事だけが愛じゃないわよ」
「……」
クラウスは何も言わない。
「俺、喋っていい?」
ジャスパーが気まずそうに手を挙げた。
そういえば、馬車のシミのはずなのに、何度も喋っているような気がする。
「悪いけど、クラリスに何かするつもりなら君を斬る」
珍しく頼もしい発言に私は驚く。
「珍しく頼もしいわね。彗星でも降ってこないかしら?とりあえず、私たちはジークムントの足取りを負いましょう」
私たちにできる事はそれくらいだ。
「時間はあるわ。クラウスは、これからの身の振り方を考えたらどうかしら?間違っても私たちを出し抜こうなんて思わないでね」
行動を共にするという事はお互いに監視できるという事でもある。
「ねえ、ところで聞きたいんだけど」
私よりも異邦人や聖女についてこの二人はよく知っているはずだ。
「聖女の力は魂に宿るの?肉体に宿るの?」
「なんでそんなことを聞くんだ」
ジャスパーは、何を言っているのかわからないといった顔をした。
「アルネの魂が別人で魂に神聖力が宿るなら、彼女は聖女の力が使えないということじゃないかしら?」
「……!」
クラウスとジャスパーが顔を見合わせた。
どうやら考えてもいなかったようだ。
どちらにしても、早くジークムント達を見つけ出さないとならない。
~~~
お読みくださりありがとうございます
悲しいお知らせです
2月中に完結は無理でした
ごめんなさい……
もし、よかったら恋愛大賞投票してもらえると嬉しいです
「何から話したらいいのかしら」
私は、この世界がある本の物語であることを話した。
そして、その本の内容についても、ジャスパーは信じられないと言わんばかりの表情をして、クラウスは何か考えている表情をしている。
「私は、この世界の本当のサブリナの願いを聞き入れた魔女によって、異世界から魂だけ召喚されたの。クラリスを助けるためにね」
「そうだよな。王立図書館に文献があるって事は実在していた事実でもあるんだよな」
どうやら異邦人や魔女に対しての文献があるようで、それを、ジャスパーは知っていたみたいだ。
アルネの魂が突然現れた異邦人なら、本来の彼女の魂はどこに行ったのだろう?
そして、気になることがある。
「でも、納得できない。クラリスが死んでいたなんて、アイツ殺しても死なないような奴だぞ」
「私の可愛いクラリスをそんな化け物みたいに言うなんて不敬よ!」
ジャスパーはとてつもなく失礼なことを言い出す。
「……僕は死んでいた?」
クラウスは、ショックを受けたように呟く。
まあ、確かに死んでいるはずなのに生きているなんておかしな話だ。
「ええ、そうね。血を沢山吐いて死んだわ。それにしても、この時期なら本来なら棺桶に片足突っ込んでてもいいくらいに身体が弱ってるはずなのになんでピンピンしてるの?」
「いや、失礼だから」
ジャスパーは失礼だと私を窘めるが、事実を口にしているだけだ。
「僕に聞かれても」
クラウスに聞いたところで思い当たる事なんてないだろう。
もし、あるとしたら、何かしらの環境の変化かもしれない。
「そうね。確かに、貴方から見て変わった事なんて、ジークムントの婚約者が私からクラリスに変わったくらいですものね。他に何か変わった事でもあるのかしら?」
「使用人が、変わった」
そういえば、本の中でのクラウスは序盤は健康だった。次第に身体が弱くなっていったけれど、今考えてみるとそれは、使用人達が何かしたからではないのか。
アルネにとって邪魔者を排除しようとする姿を見ていると、殺しくらいは平然とやりそうな気がした。
実際に、クラウスが亡くなりジークムントが公爵になっている。
「なるほどね。じゃあそれだわ。貴方、本の中では邪魔者だから毒殺されたのね」
使用人達はわからないように、少量の毒を飲ませてゆっくりと殺したのだろう。
「アルネが別人だって気がつくくらい愛しているんでしょう?それなら、毒殺されるってわかっていても受け入れたのね」
「僕は邪魔者?」
「ジークムントが公爵家を継ぐために邪魔者だったのよ。それに、アルネと貴方は夫婦だったし」
盲目的にアルネとジークムントを崇拝していた使用人達からしたら、サブリナとクラウスは邪魔者でしかない。
クラウスも薄々勘付いていたように思える。
それでも、受け入れてしまったという事は、彼は私たちの敵になりうる可能性がある。
「ねえ、ところで、貴方は誰の味方なの?」
「え?」
「アルネが戻ってきたとして、彼女から見て私のクラリスは邪魔者になるわ。彼女がクラリスを殺そうとするなら私はアルネを殺すわ」
本物のアルネが戻ってきてクラリスに危害を加えるのなら私は黙っているつもりはない。
それに、本の中のクラウスは間違っている。
本当に彼女を愛しているのなら、死を選ぶのではなくジークムントを選ぶように言うべきだった。
「なんでも受け入れる事だけが愛じゃないわよ」
「……」
クラウスは何も言わない。
「俺、喋っていい?」
ジャスパーが気まずそうに手を挙げた。
そういえば、馬車のシミのはずなのに、何度も喋っているような気がする。
「悪いけど、クラリスに何かするつもりなら君を斬る」
珍しく頼もしい発言に私は驚く。
「珍しく頼もしいわね。彗星でも降ってこないかしら?とりあえず、私たちはジークムントの足取りを負いましょう」
私たちにできる事はそれくらいだ。
「時間はあるわ。クラウスは、これからの身の振り方を考えたらどうかしら?間違っても私たちを出し抜こうなんて思わないでね」
行動を共にするという事はお互いに監視できるという事でもある。
「ねえ、ところで聞きたいんだけど」
私よりも異邦人や聖女についてこの二人はよく知っているはずだ。
「聖女の力は魂に宿るの?肉体に宿るの?」
「なんでそんなことを聞くんだ」
ジャスパーは、何を言っているのかわからないといった顔をした。
「アルネの魂が別人で魂に神聖力が宿るなら、彼女は聖女の力が使えないということじゃないかしら?」
「……!」
クラウスとジャスパーが顔を見合わせた。
どうやら考えてもいなかったようだ。
どちらにしても、早くジークムント達を見つけ出さないとならない。
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