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本当のアルネ(アルネ視点です)
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本当のアルネ
自分が、「アルネのための物語」という本の世界にいることに気がついたのは、最初の瘴気を祓う旅に出た時だった。
「アルネ……!」
瘴気に触れそうになって、ジークムントに声をかけられた瞬間に、私はアルネになっていたのだ。
私は「アルネのための物語」が大好きだった。
心優しいアルネも好きだが、それよりも彼女を守ろうとするジークムントが大好きだった。
やったわ!ジークムントが私のものになる!
私は嬉しかった。
ジークムントとの距離を詰めようとしても、彼は「兄の婚約者」の私に対して距離を置こうとする。
それが少し寂しいけれど、どうせ、クラウスは亡くなるので関係ない。
旅の終わりにジークムントにどうするのか聞かれたが、私は迷わずクラウスと結婚すると言った。
クラウスが亡くなるとはいえ、今の次期公爵夫人の立場を捨てたくはなかったのだ。
予想外の出来事が起こり出したのは、旅が終わりジークムントの婚約者が決まった時からだった。
「クラリスと婚約?」
サブリナが突然意識不明になったらしく、その代打としてクラリスとジークムントとの婚約が決まったと聞かされた。
クラリスって、あのクラリス?死んだはずよね。なぜ生きているの?
本の展開とは全く違う事になっている。だが、ジークムントが最後に選ぶのは私だと決まっている。
でも、不安だった。本の通りの展開にならない可能性が出てきた。
クラリスはサブリナとは違い私に嫌がらせをしなかったらどうなるのだろうか。
そうなると、正義感の強いジークムントは、クラウスを失くした私に対して同情的な態度を取ることはあっても好意を示してはくれなくなるかもしれない。
「アルネ様、大丈夫ですか?」
不安のまま過ごしていたら、使用人達が気遣わしげに私を見ている。
だから、私は不安をこぼした。
「ジークムントの婚約者さんが、私を目障りだと言わないか不安で」
……クラリスを悪者にしたら、私は被害者になる。
そんな考えが、頭の中に浮かんだ。
クラリスがどんな子なのか知らないのに、まるで嫌がらせをされるかのように不安を口からこぼす自分が信じられなかった。
クラリスが初めて屋敷にやってきた時、少しだけ彼女の顔を見たが、小柄でピンクのふわふわの髪の毛がとても可愛らしくて思わず見惚れてしまった。
私とは違い庇護欲を駆り立てるような見た目をしていたのだ。
ダメだわ!奪われてしまう!ジークは私のものなのに!
頭の中で警告がした。
私は何がなんでもジークムントの心を掴まないといけないのだ。
……でもなぜ?
その疑問はすぐに掻き消えた。
そこからは、怒涛の展開だった。
クラリスは、信じられないような嫌がらせを使用人から受けていたとジークムントに訴えた。
私の余計な一言のせいで、彼女達はあんなことをしてしまったのではないのかしら……?
謝ろうと思った。私の余計な一言のせいでこんなことになってしまったなんて、許して欲しいなんて思わない。でも、彼女達だけが悪いわけではない。
そう言いたかった。
それなのに、私の身体は乗っ取られたかのように、使用人達を許して欲しい。としか言えなかった。
……ジークムントに愛されないといけない。
あたまの中でその考えが常に付き纏った。眠っている時ですらそうだった。
自分が、「アルネのための物語」という本の世界にいることに気がついたのは、最初の瘴気を祓う旅に出た時だった。
「アルネ……!」
瘴気に触れそうになって、ジークムントに声をかけられた瞬間に、私はアルネになっていたのだ。
私は「アルネのための物語」が大好きだった。
心優しいアルネも好きだが、それよりも彼女を守ろうとするジークムントが大好きだった。
やったわ!ジークムントが私のものになる!
私は嬉しかった。
ジークムントとの距離を詰めようとしても、彼は「兄の婚約者」の私に対して距離を置こうとする。
それが少し寂しいけれど、どうせ、クラウスは亡くなるので関係ない。
旅の終わりにジークムントにどうするのか聞かれたが、私は迷わずクラウスと結婚すると言った。
クラウスが亡くなるとはいえ、今の次期公爵夫人の立場を捨てたくはなかったのだ。
予想外の出来事が起こり出したのは、旅が終わりジークムントの婚約者が決まった時からだった。
「クラリスと婚約?」
サブリナが突然意識不明になったらしく、その代打としてクラリスとジークムントとの婚約が決まったと聞かされた。
クラリスって、あのクラリス?死んだはずよね。なぜ生きているの?
本の展開とは全く違う事になっている。だが、ジークムントが最後に選ぶのは私だと決まっている。
でも、不安だった。本の通りの展開にならない可能性が出てきた。
クラリスはサブリナとは違い私に嫌がらせをしなかったらどうなるのだろうか。
そうなると、正義感の強いジークムントは、クラウスを失くした私に対して同情的な態度を取ることはあっても好意を示してはくれなくなるかもしれない。
「アルネ様、大丈夫ですか?」
不安のまま過ごしていたら、使用人達が気遣わしげに私を見ている。
だから、私は不安をこぼした。
「ジークムントの婚約者さんが、私を目障りだと言わないか不安で」
……クラリスを悪者にしたら、私は被害者になる。
そんな考えが、頭の中に浮かんだ。
クラリスがどんな子なのか知らないのに、まるで嫌がらせをされるかのように不安を口からこぼす自分が信じられなかった。
クラリスが初めて屋敷にやってきた時、少しだけ彼女の顔を見たが、小柄でピンクのふわふわの髪の毛がとても可愛らしくて思わず見惚れてしまった。
私とは違い庇護欲を駆り立てるような見た目をしていたのだ。
ダメだわ!奪われてしまう!ジークは私のものなのに!
頭の中で警告がした。
私は何がなんでもジークムントの心を掴まないといけないのだ。
……でもなぜ?
その疑問はすぐに掻き消えた。
そこからは、怒涛の展開だった。
クラリスは、信じられないような嫌がらせを使用人から受けていたとジークムントに訴えた。
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謝ろうと思った。私の余計な一言のせいでこんなことになってしまったなんて、許して欲しいなんて思わない。でも、彼女達だけが悪いわけではない。
そう言いたかった。
それなのに、私の身体は乗っ取られたかのように、使用人達を許して欲しい。としか言えなかった。
……ジークムントに愛されないといけない。
あたまの中でその考えが常に付き纏った。眠っている時ですらそうだった。
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