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その25
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「ちょっと、そんなにくっつかないで!」
私がこういうと、不思議なことにジューンは、
「えへへ……」
と不気味に笑いながら、私の足をそっと撫でている。
「気持ち悪いじゃないの!」
だが、関係ないみたいだ。
「聖女様!!!」
皇帝陛下が遠くで私のことを呼んでいる。早く帰らないと。そう思っても、帰り方がわからない。そもそも、ここはどこなんだろう?
「まあまあ、そう焦らないで。まだ時間はたっぷりあるから」
女は私になるべく優しく話しかけようと思っていたらしい。だが、それは不可解だった。
「そうやって隙を見て、私を殺すつもりなんでしょう?」
私がこう言ってみると、女は、
「まさか!」
と答えた。
「別に世界はあなたのためだけに存在しているわけじゃないのよ?自惚れないことね」
女の拳が飛んできた。ゴムのように体を伸ばすことができるみたいだ。
「ぎゃあああっ!」
私は時計仕掛けの人形を思い出した。ああ、このまま時間が止まってしまったら、彼女が静止して、私はその腕を引っこ抜く。そこに最大限の悪意を込めて、彼女のもとへ配達する。
「こんにちは。郵便です」
「ああ、どうもありがとうございますって………これ、私の腕じゃないですか?」
「はい、たまたま捨てられていたものを、誰かさんが拾ったみたいですよ」
「あー、それはどうもありがとうございますって、そういう問題じゃないでしょう!」
まもなく爆発しそうだ。私はとりあえずこの得体の知れない女から逃げようと思う。だが、一体どこに行けば出口があるのだろうか?そんな問いを立てているうちに、女が迫ってくる。
「さあ、大人しく私に殺されなさい!」
そんな事は到底できない。どうして、あなたに殺されなければならないのか。ぜひとも説明してみてほしい。
「お姉様!」
おまけに、もう一つの荷物を抱えている。
「聖女様なんて肩書きは捨てて、私と一緒に遊びましょう!」
うーん……どうしてこうなったんだ?
私がこういうと、不思議なことにジューンは、
「えへへ……」
と不気味に笑いながら、私の足をそっと撫でている。
「気持ち悪いじゃないの!」
だが、関係ないみたいだ。
「聖女様!!!」
皇帝陛下が遠くで私のことを呼んでいる。早く帰らないと。そう思っても、帰り方がわからない。そもそも、ここはどこなんだろう?
「まあまあ、そう焦らないで。まだ時間はたっぷりあるから」
女は私になるべく優しく話しかけようと思っていたらしい。だが、それは不可解だった。
「そうやって隙を見て、私を殺すつもりなんでしょう?」
私がこう言ってみると、女は、
「まさか!」
と答えた。
「別に世界はあなたのためだけに存在しているわけじゃないのよ?自惚れないことね」
女の拳が飛んできた。ゴムのように体を伸ばすことができるみたいだ。
「ぎゃあああっ!」
私は時計仕掛けの人形を思い出した。ああ、このまま時間が止まってしまったら、彼女が静止して、私はその腕を引っこ抜く。そこに最大限の悪意を込めて、彼女のもとへ配達する。
「こんにちは。郵便です」
「ああ、どうもありがとうございますって………これ、私の腕じゃないですか?」
「はい、たまたま捨てられていたものを、誰かさんが拾ったみたいですよ」
「あー、それはどうもありがとうございますって、そういう問題じゃないでしょう!」
まもなく爆発しそうだ。私はとりあえずこの得体の知れない女から逃げようと思う。だが、一体どこに行けば出口があるのだろうか?そんな問いを立てているうちに、女が迫ってくる。
「さあ、大人しく私に殺されなさい!」
そんな事は到底できない。どうして、あなたに殺されなければならないのか。ぜひとも説明してみてほしい。
「お姉様!」
おまけに、もう一つの荷物を抱えている。
「聖女様なんて肩書きは捨てて、私と一緒に遊びましょう!」
うーん……どうしてこうなったんだ?
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