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結局、この場において婚約は決まってしまった。私とザイツ様はそれぞれ親から離れ、暫くは二人だけの時間が与えられた。どんな話をすればいいのか……私には分からなかった。
「どうかしましたか???」
私が浮かない顔をしていて心配したのか、ザイツ様の方から声をかけてくれた。
「ああっ……申し訳ございません!!!」
ザイツ様に気を使わせるだなんて、これほど罪深いことはないと思った。
「どうして謝るんですか???」
ザイツ様はそんな私のことをあまり気にしていないようだった。
「ああ、すみません……」
「もう少し打ち解けましょう。肩の力を抜いてください……」
そう言われて、私は少しリラックスできた。案外、ザイツ様は優しいのだと思った。王子だから、婚約者のことを常に虐げている印象があったから。そんな印象とは正反対の好青年だった。
「ありがとうございます!!!!」
だから、なんだか私は無性に感謝をしたくなった。
「気にしないでください。これから夫婦になるのですから……お互い打ち解けていきましょう。ああ、確かに私は王子ですが……本当に気にしなくていいですからね……」
結構優しい……この婚約はあながち悪い物ではないかも……なんて思ってしまった。
************************************************
そして、夜がやって来た。両親はこの夜だけに感心があるはずだった。
ザイツ様は分かっているのだろうか???
食事を終えて、ザイツ様は私の手を取った。随分と顔を赤らめて……姿は美しいが考え方は私と変わらずまだまだ子供なんだと思った。
「あの……マリア殿。今晩はその……初夜ですね……」
やはり緊張しているのだろうか。私も緊張してきた。
「ええ、そうですねえ……」
「その……これから一緒にベッドに行きますか???」
ザイツ様はそう言った。私はザイツ様以上に緊張してしまって、中々答えることができなかった。そんな姿を見て、ザイツ様もまた、より一層緊張してしまったようだ。
「ああ、まだ早過ぎますかね…………」
そう言われて、私も何となく、
「ええ……そうかもしれませんわね……」
なんて答えてしまったものだから……二人の距離は一度縮まりかけたのだが、これを契機に再び開いてしまったのかもしれないと思った。
「どうかしましたか???」
私が浮かない顔をしていて心配したのか、ザイツ様の方から声をかけてくれた。
「ああっ……申し訳ございません!!!」
ザイツ様に気を使わせるだなんて、これほど罪深いことはないと思った。
「どうして謝るんですか???」
ザイツ様はそんな私のことをあまり気にしていないようだった。
「ああ、すみません……」
「もう少し打ち解けましょう。肩の力を抜いてください……」
そう言われて、私は少しリラックスできた。案外、ザイツ様は優しいのだと思った。王子だから、婚約者のことを常に虐げている印象があったから。そんな印象とは正反対の好青年だった。
「ありがとうございます!!!!」
だから、なんだか私は無性に感謝をしたくなった。
「気にしないでください。これから夫婦になるのですから……お互い打ち解けていきましょう。ああ、確かに私は王子ですが……本当に気にしなくていいですからね……」
結構優しい……この婚約はあながち悪い物ではないかも……なんて思ってしまった。
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そして、夜がやって来た。両親はこの夜だけに感心があるはずだった。
ザイツ様は分かっているのだろうか???
食事を終えて、ザイツ様は私の手を取った。随分と顔を赤らめて……姿は美しいが考え方は私と変わらずまだまだ子供なんだと思った。
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やはり緊張しているのだろうか。私も緊張してきた。
「ええ、そうですねえ……」
「その……これから一緒にベッドに行きますか???」
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「ああ、まだ早過ぎますかね…………」
そう言われて、私も何となく、
「ええ……そうかもしれませんわね……」
なんて答えてしまったものだから……二人の距離は一度縮まりかけたのだが、これを契機に再び開いてしまったのかもしれないと思った。
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