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私は今日、婚約破棄されることを知っていました。どうしてかって???実は私、未来予知することができるんです。いや、冗談じゃなくて、本当なんです。我がランドン家の人間はそれぞれ特殊能力を持っているのです。だからこそ、この世界である意味最強、場合によっては王家を凌いでいました。
私の婚約者である第一王子ポワソン様が婚約破棄を宣言する理由……それは、ポワソン様が一人で自らを慰めているのを予知してしまったからだと思います。と言うか、その場面を通して、私どもの恐ろしい力を知ったのでしょう。ある休日のこと、ポワソン様は私の豊満な肉体を求めることなく、自ら慰めておりました。その前日、私はポワソン様に申し上げたのです。
「ひょっとして……マンネリ化してきましたか???」
婚約する前から内内に話は進んでおりました。そして、婚前交渉は本来ご法度なのですが、ランドン家と王家との間に取り交わされた密約によって、特別に許可されました。と言うのも、ポワソン様の父に当たる皇帝陛下がだいぶ高齢であり、いつ亡くなってもおかしくない状態であり、できるだけ速やかに孫の顔を拝みたい、とこう言った具合でした。ですから、私とポワソン様の交わりはもうかれこれ数年前から続いておりました。
しかしながら、不思議なことに、いつまでたっても、私は新たなる世継ぎの命を授かることができませんでした。
「お前は欠陥品なんじゃないか???」
ポワソン様はストレートに言いました。別に驚きはしませんでした。彼は思ったことをなんでも素直に言ってしまうタイプなのです。ですから、王宮のパーティーが開かれますと、私よりも美しい令嬢を見つけては、
「あの女はなんと言うのかな???早くお前と別れて、あの女と婚約したいなあっ!!!」
なんて言っておりました。私は別に気にしておりませんでしたけど、皇帝陛下や側近は大変慌てているようでした。まあ、そうですよね。王家の婚約者は基本的に我がランドン家から選ばれると決まっておりましたから。基本的に例外は許されないのです。
「ああ、お前はやっぱり退屈な女だ!!!」
時には乳首を千切られそうになったり……それはもう雑な扱いでした。そして、私たちの交わりがマンネリ化していくと、ポワソン様は遂に自らを慰めるようになりました。もちろん、私がそのことを知っているとは思わなかったのでしょう。でもね、私には予知能力がありますから、ポワソン様がどこで何をしようとするのか、おおよそ予想がついてしまうのです。ですから、翌日、ポワソン様がどこで自らを慰めるのか、何を妄想するのか、分かってしまいました。少し虐めてやろうと思って、ポワソン様の前に現れてみました。人気のない、庭の茂みに建てられた小さな小屋……昔は王家の人間と女中の密会に使われたとされる部屋……ここならば誰にも邪魔されずに安心だと思っていたのでしょう。ドアの隙間から、最初のぞき見をし、10分程度経過してから、部屋に踏み入りました。
「うわあああああああっ!!!なにをしているんだ!!!」
それは本来こっちのセリフなんですが……。まあ、いいと思いました。
「いや、先ほどから熱心にやられておりますゆえ、気になってしまいまして……」
「ふざけるな!!!これは非常にプライベートな問題なんだ!!!」
「ええ、存じ上げております……」
これで虐めになったしょうか???
「だったら……どうして、こんなことをしたんだ!!!」
ポワソン様はどんどん怒りました。まあ、怒っても、私には正直関係がなかったのです。
「いいじゃないですか。私たち、これから夫婦になるんですよ???」
「夫婦だと……???」
「ええ、そうです。ポワソン様がなにを考えても……私がなにをしても、私たちが婚約する未来は既に決まっているんですよ。ねえ、そうでしょう???」
私は首を傾げました。これで、少しは私のことを可愛いと思ってくれるのでしょうか???別に、期待したわけではありませんでした。でもね、そう言ってくれると少し嬉しかったような……そんな気分になれると思いました。
「ところで……誰としているところを想像したんですか???」
私は勿論答えを知っておりました。でもね、ストレートに答えてしまうと、あんまり面白くないと思ったので、何人か候補を挙げることにしました。もちろん、一人以外はダミーなのですがね。
「ああ、公爵令嬢は沢山いますし……何と言っても、みんなポワソン様の身体を求めておりますからね……エリーゼ、ドルベツコイ、ナターシャ、プライズ、ドールズ、レーナル、アンソニー、ブィブィアン……」
もちろん、この中に答えはありました。ポワソン様はだんだん焦っているようでした。そして……。
「君は、私のことをここまで辱めておいて……一体何がしたいんだ???」
「別に……ただ、私のことを本当に愛してくださっているのか……それを確かめたいだけですよ」
「ふんっ……そこまで分かっているのであれば、いまさら質問する必要もないんじゃないか???」
「まあ……そう言うことになりますかしら???」
「君と一緒にいると、色々狂ってくるな。何をした???君は危険な存在だ……。このことにまだ誰も気づいていないのが不安なくらいに……」
あと3秒後……。
「君との婚約を破棄しようと思う……」
遂に来ました。ポワソン様の口から婚約破棄と宣告されました!!!
ああ、やっとか……長い間待っていた……わけではありませんでしたけど、正直私もこれ以上ポワソン様と夫婦をやっていくのは難しいと感じておりました。そして……ポワソン様は気付いてしまいましたね。私どもの恐ろしさに。だから、遠ざけようと考えるのはある意味懸命……ですが、それがこの世界の安寧と秩序を破壊するリスクとなることには気が付いていないようでした……。
「承知いたしました……」
私は当然、ポワソン様の提案を受け入れました。
「あれっ……そうなの???」
「ええ……」
「ああ、そうなんだ……ふーん……」
ポワソン様はだいぶ困惑しているようでした。
「では……早く手続きをしましょう!!!」
私が婚約破棄に乗り気なのが、かえって不安に感じるようでした。
「本当に……いいのか???」
「いいのって……あなたが言い出したんでしょう???」
「まあ、そうなんだけど…………」
「それでは、書類を持ってきてください!!!」
こうして、私とポワソン様の新たな物語が始まりました。
私の婚約者である第一王子ポワソン様が婚約破棄を宣言する理由……それは、ポワソン様が一人で自らを慰めているのを予知してしまったからだと思います。と言うか、その場面を通して、私どもの恐ろしい力を知ったのでしょう。ある休日のこと、ポワソン様は私の豊満な肉体を求めることなく、自ら慰めておりました。その前日、私はポワソン様に申し上げたのです。
「ひょっとして……マンネリ化してきましたか???」
婚約する前から内内に話は進んでおりました。そして、婚前交渉は本来ご法度なのですが、ランドン家と王家との間に取り交わされた密約によって、特別に許可されました。と言うのも、ポワソン様の父に当たる皇帝陛下がだいぶ高齢であり、いつ亡くなってもおかしくない状態であり、できるだけ速やかに孫の顔を拝みたい、とこう言った具合でした。ですから、私とポワソン様の交わりはもうかれこれ数年前から続いておりました。
しかしながら、不思議なことに、いつまでたっても、私は新たなる世継ぎの命を授かることができませんでした。
「お前は欠陥品なんじゃないか???」
ポワソン様はストレートに言いました。別に驚きはしませんでした。彼は思ったことをなんでも素直に言ってしまうタイプなのです。ですから、王宮のパーティーが開かれますと、私よりも美しい令嬢を見つけては、
「あの女はなんと言うのかな???早くお前と別れて、あの女と婚約したいなあっ!!!」
なんて言っておりました。私は別に気にしておりませんでしたけど、皇帝陛下や側近は大変慌てているようでした。まあ、そうですよね。王家の婚約者は基本的に我がランドン家から選ばれると決まっておりましたから。基本的に例外は許されないのです。
「ああ、お前はやっぱり退屈な女だ!!!」
時には乳首を千切られそうになったり……それはもう雑な扱いでした。そして、私たちの交わりがマンネリ化していくと、ポワソン様は遂に自らを慰めるようになりました。もちろん、私がそのことを知っているとは思わなかったのでしょう。でもね、私には予知能力がありますから、ポワソン様がどこで何をしようとするのか、おおよそ予想がついてしまうのです。ですから、翌日、ポワソン様がどこで自らを慰めるのか、何を妄想するのか、分かってしまいました。少し虐めてやろうと思って、ポワソン様の前に現れてみました。人気のない、庭の茂みに建てられた小さな小屋……昔は王家の人間と女中の密会に使われたとされる部屋……ここならば誰にも邪魔されずに安心だと思っていたのでしょう。ドアの隙間から、最初のぞき見をし、10分程度経過してから、部屋に踏み入りました。
「うわあああああああっ!!!なにをしているんだ!!!」
それは本来こっちのセリフなんですが……。まあ、いいと思いました。
「いや、先ほどから熱心にやられておりますゆえ、気になってしまいまして……」
「ふざけるな!!!これは非常にプライベートな問題なんだ!!!」
「ええ、存じ上げております……」
これで虐めになったしょうか???
「だったら……どうして、こんなことをしたんだ!!!」
ポワソン様はどんどん怒りました。まあ、怒っても、私には正直関係がなかったのです。
「いいじゃないですか。私たち、これから夫婦になるんですよ???」
「夫婦だと……???」
「ええ、そうです。ポワソン様がなにを考えても……私がなにをしても、私たちが婚約する未来は既に決まっているんですよ。ねえ、そうでしょう???」
私は首を傾げました。これで、少しは私のことを可愛いと思ってくれるのでしょうか???別に、期待したわけではありませんでした。でもね、そう言ってくれると少し嬉しかったような……そんな気分になれると思いました。
「ところで……誰としているところを想像したんですか???」
私は勿論答えを知っておりました。でもね、ストレートに答えてしまうと、あんまり面白くないと思ったので、何人か候補を挙げることにしました。もちろん、一人以外はダミーなのですがね。
「ああ、公爵令嬢は沢山いますし……何と言っても、みんなポワソン様の身体を求めておりますからね……エリーゼ、ドルベツコイ、ナターシャ、プライズ、ドールズ、レーナル、アンソニー、ブィブィアン……」
もちろん、この中に答えはありました。ポワソン様はだんだん焦っているようでした。そして……。
「君は、私のことをここまで辱めておいて……一体何がしたいんだ???」
「別に……ただ、私のことを本当に愛してくださっているのか……それを確かめたいだけですよ」
「ふんっ……そこまで分かっているのであれば、いまさら質問する必要もないんじゃないか???」
「まあ……そう言うことになりますかしら???」
「君と一緒にいると、色々狂ってくるな。何をした???君は危険な存在だ……。このことにまだ誰も気づいていないのが不安なくらいに……」
あと3秒後……。
「君との婚約を破棄しようと思う……」
遂に来ました。ポワソン様の口から婚約破棄と宣告されました!!!
ああ、やっとか……長い間待っていた……わけではありませんでしたけど、正直私もこれ以上ポワソン様と夫婦をやっていくのは難しいと感じておりました。そして……ポワソン様は気付いてしまいましたね。私どもの恐ろしさに。だから、遠ざけようと考えるのはある意味懸命……ですが、それがこの世界の安寧と秩序を破壊するリスクとなることには気が付いていないようでした……。
「承知いたしました……」
私は当然、ポワソン様の提案を受け入れました。
「あれっ……そうなの???」
「ええ……」
「ああ、そうなんだ……ふーん……」
ポワソン様はだいぶ困惑しているようでした。
「では……早く手続きをしましょう!!!」
私が婚約破棄に乗り気なのが、かえって不安に感じるようでした。
「本当に……いいのか???」
「いいのって……あなたが言い出したんでしょう???」
「まあ、そうなんだけど…………」
「それでは、書類を持ってきてください!!!」
こうして、私とポワソン様の新たな物語が始まりました。
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