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「どうやら婚約破棄が進んでいるようだな……」
「本当ですか。それは良かった……」
お父様とお兄様がちょうど話をしているようでした。私は絶賛ポワソン様とケンカ中でした。もちろん、家族がどんな話をしているのか、どこでなにをしているのか、そう言うのは全てテレパシーのようなものでつながっているわけでございまして、分かってしまうのです。
「我がランドン家を侮ると……大変なことになるとも知らずに……」
お父様は紅茶を飲んでいました。
「全く……愚かな連中ですよ。まあ、それでも皇帝陛下はこの理屈をよく理解なさっていらっしゃいました。ですから、我が家と王家の関係は良好……そして、世界の安寧が担保されていた、ということですよね」
お兄様もお父様と同じ紅茶をすっかり飲み干して、すぐ隣にある王宮を眺めていました。
「マリアはうまくやっているのかな???」
「まあ、あの子ならば大丈夫でしょう……」
「そうだな……」
************************************************
「マリア……本当に婚約破棄でいいのか???」
ポワソン様が心配していた理由……それは簡単です。勿論、彼自身としては、私との婚約には消極的でした。彼は女好きで有名……私よりも魅力的な女はたくさんいたわけでございます。ですから、わざわざ私を婚約者に選ぶ必要はなかったのです。でもね、これは全て皇帝陛下が決めたこと……だって、皇帝陛下がわざわざ我が家まで赴いて、お父様とお話をするんですよ。
もちろん、表向きには皇帝陛下がこの世界の最高権力者です。でもね、その皇帝陛下ですら、我がランドン家を蔑ろにすることはできない……皇帝陛下はこの事情をよく理解されていたのでした。
そして、皇帝陛下はポワソン様に言い聞かせたのでした。
「お前は間もなく次の皇帝になる。お前の仕事はこの世界の安寧を祈ること……そのためには、まずランドン家の娘、マリアと婚約する必要がある……」
「マリア???始めて聞きました」
彼の眼中に私はいませんでした。彼を取り巻いていたのは、もっと美しい公爵令嬢たちでした。常に5人ほどのガールフレンド(主に交尾目的)をキープしておりました。
「まあ、無理もない。お前の好みの女ではないと思う。だがな……これは必然なのだ。お前が婚約する運命にある、とでも言えばいいかな」
「どうして……自分の婚約相手を選ぶことができないんですか???」
「それは……お前が第一王子ポワソンだからだ……」
全てはこの一言に集約されました。そうなんです、彼が次の皇帝としてこの世界の安寧を保つためには、私と婚約することが必須……そして、私とポワソン様の間に生まれる子供が次の世代の安寧を維持するためにまた大切、ということになるのです。
「そんな……あまりにも勝手ではございませんか???」
「まあ、お前が何をどう言っても、こればかりは仕方のない問題なのだ……」
「そんな……酷いですよ……」
「仕方ないだろう……」
皇帝陛下もすっかり呆れていました。まあ、簡単な話、ポワソン様には次の皇帝になるという自覚が足りなかった、ということでしょうね。
「お前の気持ちも分からなくはないが……それが王家の血筋を引く責務ということだ……」
この一件を通して、私は初めてポワソン様と会うことになりました。私はもちろん、最初から彼の声を聞くことができましたから、よく耳を傾けておりました。
(なんだ、この女は???美しさの欠片もない。胸は大きいが……身体は全く引き締まっていないし、どちらかと言えば少しデブなのか???身長は低いし……瞼は虫に刺されたかのように腫れていて……出来損ないの女なのか???それとも、まだ発展途上???)
ポワソン様の本音を聞いていると、自分でも納得してしまうのが逆に恐ろしいと思いました。でもね、彼が言っていることは大体当たっておりましたから、まあ反論はしませんでした。
「これからもよろしくお願いします」
私はきちんと挨拶をしました。
「あああっ、よろしく頼むよ……」
ポワソン様はあまり目を合わせようとはしませんでした。
それから……私とポワソン様は目的を遂行するために、子作りに励みました。でもね、子供ができない原因はたぶん、ポワソン様にあると思うんですよ。私の子宮はポワソン様のことを求めて疼いていると言うのに、ポワソン様は快楽を感じることもなく、ただ義務感に任せて腰を振るだけ……乱暴なだけでお互いの愛を育むことなんて全くないのです。命の源を宿してくれないと、子供を授かることなんてできませんからね。
「くどいですよ。あなた様が私のことをこれ以上愛せないというんだったら、とっとと別れてしまいましょう」
私はきっぱりと言いました。恐らく、ポワソン様には本当の意味が分かっていないようでした。でも、そんなことはどうでもいいんです。世界が滅びようとも、私は健在ですから。
「ああ、そうだな」
自分の意思としては当然婚約破棄……でも、父親に当たる皇帝陛下の言葉を思い返せば……なんとも複雑な気分だったのでしょう。まあ、私の知ったことではありませんでしたけれども……。
「本当ですか。それは良かった……」
お父様とお兄様がちょうど話をしているようでした。私は絶賛ポワソン様とケンカ中でした。もちろん、家族がどんな話をしているのか、どこでなにをしているのか、そう言うのは全てテレパシーのようなものでつながっているわけでございまして、分かってしまうのです。
「我がランドン家を侮ると……大変なことになるとも知らずに……」
お父様は紅茶を飲んでいました。
「全く……愚かな連中ですよ。まあ、それでも皇帝陛下はこの理屈をよく理解なさっていらっしゃいました。ですから、我が家と王家の関係は良好……そして、世界の安寧が担保されていた、ということですよね」
お兄様もお父様と同じ紅茶をすっかり飲み干して、すぐ隣にある王宮を眺めていました。
「マリアはうまくやっているのかな???」
「まあ、あの子ならば大丈夫でしょう……」
「そうだな……」
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「マリア……本当に婚約破棄でいいのか???」
ポワソン様が心配していた理由……それは簡単です。勿論、彼自身としては、私との婚約には消極的でした。彼は女好きで有名……私よりも魅力的な女はたくさんいたわけでございます。ですから、わざわざ私を婚約者に選ぶ必要はなかったのです。でもね、これは全て皇帝陛下が決めたこと……だって、皇帝陛下がわざわざ我が家まで赴いて、お父様とお話をするんですよ。
もちろん、表向きには皇帝陛下がこの世界の最高権力者です。でもね、その皇帝陛下ですら、我がランドン家を蔑ろにすることはできない……皇帝陛下はこの事情をよく理解されていたのでした。
そして、皇帝陛下はポワソン様に言い聞かせたのでした。
「お前は間もなく次の皇帝になる。お前の仕事はこの世界の安寧を祈ること……そのためには、まずランドン家の娘、マリアと婚約する必要がある……」
「マリア???始めて聞きました」
彼の眼中に私はいませんでした。彼を取り巻いていたのは、もっと美しい公爵令嬢たちでした。常に5人ほどのガールフレンド(主に交尾目的)をキープしておりました。
「まあ、無理もない。お前の好みの女ではないと思う。だがな……これは必然なのだ。お前が婚約する運命にある、とでも言えばいいかな」
「どうして……自分の婚約相手を選ぶことができないんですか???」
「それは……お前が第一王子ポワソンだからだ……」
全てはこの一言に集約されました。そうなんです、彼が次の皇帝としてこの世界の安寧を保つためには、私と婚約することが必須……そして、私とポワソン様の間に生まれる子供が次の世代の安寧を維持するためにまた大切、ということになるのです。
「そんな……あまりにも勝手ではございませんか???」
「まあ、お前が何をどう言っても、こればかりは仕方のない問題なのだ……」
「そんな……酷いですよ……」
「仕方ないだろう……」
皇帝陛下もすっかり呆れていました。まあ、簡単な話、ポワソン様には次の皇帝になるという自覚が足りなかった、ということでしょうね。
「お前の気持ちも分からなくはないが……それが王家の血筋を引く責務ということだ……」
この一件を通して、私は初めてポワソン様と会うことになりました。私はもちろん、最初から彼の声を聞くことができましたから、よく耳を傾けておりました。
(なんだ、この女は???美しさの欠片もない。胸は大きいが……身体は全く引き締まっていないし、どちらかと言えば少しデブなのか???身長は低いし……瞼は虫に刺されたかのように腫れていて……出来損ないの女なのか???それとも、まだ発展途上???)
ポワソン様の本音を聞いていると、自分でも納得してしまうのが逆に恐ろしいと思いました。でもね、彼が言っていることは大体当たっておりましたから、まあ反論はしませんでした。
「これからもよろしくお願いします」
私はきちんと挨拶をしました。
「あああっ、よろしく頼むよ……」
ポワソン様はあまり目を合わせようとはしませんでした。
それから……私とポワソン様は目的を遂行するために、子作りに励みました。でもね、子供ができない原因はたぶん、ポワソン様にあると思うんですよ。私の子宮はポワソン様のことを求めて疼いていると言うのに、ポワソン様は快楽を感じることもなく、ただ義務感に任せて腰を振るだけ……乱暴なだけでお互いの愛を育むことなんて全くないのです。命の源を宿してくれないと、子供を授かることなんてできませんからね。
「くどいですよ。あなた様が私のことをこれ以上愛せないというんだったら、とっとと別れてしまいましょう」
私はきっぱりと言いました。恐らく、ポワソン様には本当の意味が分かっていないようでした。でも、そんなことはどうでもいいんです。世界が滅びようとも、私は健在ですから。
「ああ、そうだな」
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