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本来であれば皇帝陛下との面会は予約が必要、でもお父様に関してはそんなものは不要でした。
お父様との接し方を間違えてしまいますと、大変なことになると、皇帝陛下自信も知っていたからなのです。
「お連れしなさい」
もちろん、皇帝陛下はすぐさま招き入れました。
「皇帝陛下、お久しぶりですね」
「これはこれは……ランドン公爵、お久しぶりですな……」
皇帝陛下は、どうしてお父様が押しかけてきたのか、その理由が分かりませんでした。
「どうして、私がここに来たのか、分かりませんかね???」
「ええ、さっぱり……」
「まあ、そうでしょうなあ。あなた様は皇帝陛下としてこの世界の安寧を保つ重要な働きをなさった……そして、その教えは語り継がれるはずだった……それなのに……」
皇帝陛下のほうがかえって恐縮するような感じになってしまいました。
「ひょっとして、ポワソンが何か仕出かしたのですか???」
「おやおや、流石は皇帝陛下……察しがいいですねえ……」
「それは……まことに恐縮ですが……」
「いいえ、あなた様が恐縮することはありません。なんといっても、私はあなた様のよき僕なのですから」
(よく言うよ。実質的にはお前の方が上手なのだから……)
皇帝陛下の心の声を耳にしたお父様は思わず笑いだしてしまいました。
「どうかしたのですか???」
その笑いを見ていると、当然のことながら皇帝陛下は困惑一色……もう大変でした。ひょっとして、お父様の機嫌を損ねてしまったのではないか……(心の中では随分と言っておりますけどね)と。
「いえいえ、まあその話は置いておいて。今日ですね、娘であるマリアが我が家に帰って来たんですよ」
「マリア殿が???どうして???」
「どうしてって……理由は一つしかないでしょう???」
蛇に睨まれた蛙のように……皇帝陛下はすっかり固まってしまいました。
「まままままさか!!!!」
「ええ、そのまさかですよ」
「なんてことだ……」
皇帝陛下は一気に力が抜けて、その場に座り込んでしまいました。
「どうして……そんなバカなことを……」
「ねえ、皇帝陛下。この落とし前はどうなさるおつもりですかい???」
お父様は皇帝陛下の元に近づきました。距離が縮まるほど、皇帝陛下の恐怖はどんどん増強していくようでした。
「どうすると言っても……ポワソンのやってしまったことを、私がどうできるかって……」
「あらあら、それはがっかりですね。あなたは父親として誤った方向に進もうとしているご子息を再び正しい方向に導く義務があるんじゃないですか???」
「そんなことを言われましても……」
「おやおや、それは無理だとおっしゃるのですか???それは残念ですねえ……」
お父様は一瞬案じました。すると……???
「大変だ!!!誰か来てくれ!!!!!」
ポワソン様の声が王宮内に響きわたりました。そして、皇帝陛下の部屋にそのまま入って来たのでした。
「ああ、ロバート。ポワソンを止めるんだ……」
お父様と皇帝陛下のやり取りを見物されると再び話が厄介になる……そう思った皇帝陛下はポワソン様が部屋に入って来るのを阻止しようとしました。でも、ポワソン様があまりにも勢いよく走ってくるため、ロバートが軽めに体当たりをしても、その動きを止めることはできませんでした。
「皇帝陛下!!!!!」
「今はお客様の対応をしているところだ!!!!!」
皇帝陛下は叫びましたが、ポワソン様は聞く耳を持ちませんでした。
「そんなことはどうでもいいのです!!!!!」
いやいや、どうでもいいわけないのですよ。皇帝陛下と客人が話をしている場に、いくら王子様とは言え、関係のない人間がのこのこと入って来るのは、非常に失礼なことでした。
「皇帝陛下、私の友人が死にました!!!!!」
ポワソン様はそう言いました。
「既に警察を手配、王宮の出入り口を封鎖しました!!!!!」
「だから……そんなことを一々報告する必要があるのか???」
皇帝陛下は呆れかえっておりました。王子様の友人が死ぬなんて、大した問題ではありませんでした。それ以上に、お父様と話をする方が何百倍も大切だったのです。
「犯人はまだこの王宮のどこかに隠れているのでしょう。探してきます!!!!!」
そう言って、再び部屋から出ていきました。再び静まり返って、皇帝陛下とお父様が対峙しました。
「騒がしくて申し訳ない……」
「いえいえ、いいご子息を持たれて幸せですな……」
お父様の言葉には十分な皮肉が込められておりました。
「ひょっとして……」
「ああ、皇帝陛下。話を続けましょうか」
「…………はいっ……」
皇帝陛下は薄々気が付いていたのかもしれません。お父様が案ずるだけで、人の命を吹き飛ばすくらい、容易いことでした。まあ、これが一つ、ポワソン様に対する復讐のつもりだったのでしょうか。本当、私にとってはどうでもいい話だったのですがね。
お父様との接し方を間違えてしまいますと、大変なことになると、皇帝陛下自信も知っていたからなのです。
「お連れしなさい」
もちろん、皇帝陛下はすぐさま招き入れました。
「皇帝陛下、お久しぶりですね」
「これはこれは……ランドン公爵、お久しぶりですな……」
皇帝陛下は、どうしてお父様が押しかけてきたのか、その理由が分かりませんでした。
「どうして、私がここに来たのか、分かりませんかね???」
「ええ、さっぱり……」
「まあ、そうでしょうなあ。あなた様は皇帝陛下としてこの世界の安寧を保つ重要な働きをなさった……そして、その教えは語り継がれるはずだった……それなのに……」
皇帝陛下のほうがかえって恐縮するような感じになってしまいました。
「ひょっとして、ポワソンが何か仕出かしたのですか???」
「おやおや、流石は皇帝陛下……察しがいいですねえ……」
「それは……まことに恐縮ですが……」
「いいえ、あなた様が恐縮することはありません。なんといっても、私はあなた様のよき僕なのですから」
(よく言うよ。実質的にはお前の方が上手なのだから……)
皇帝陛下の心の声を耳にしたお父様は思わず笑いだしてしまいました。
「どうかしたのですか???」
その笑いを見ていると、当然のことながら皇帝陛下は困惑一色……もう大変でした。ひょっとして、お父様の機嫌を損ねてしまったのではないか……(心の中では随分と言っておりますけどね)と。
「いえいえ、まあその話は置いておいて。今日ですね、娘であるマリアが我が家に帰って来たんですよ」
「マリア殿が???どうして???」
「どうしてって……理由は一つしかないでしょう???」
蛇に睨まれた蛙のように……皇帝陛下はすっかり固まってしまいました。
「まままままさか!!!!」
「ええ、そのまさかですよ」
「なんてことだ……」
皇帝陛下は一気に力が抜けて、その場に座り込んでしまいました。
「どうして……そんなバカなことを……」
「ねえ、皇帝陛下。この落とし前はどうなさるおつもりですかい???」
お父様は皇帝陛下の元に近づきました。距離が縮まるほど、皇帝陛下の恐怖はどんどん増強していくようでした。
「どうすると言っても……ポワソンのやってしまったことを、私がどうできるかって……」
「あらあら、それはがっかりですね。あなたは父親として誤った方向に進もうとしているご子息を再び正しい方向に導く義務があるんじゃないですか???」
「そんなことを言われましても……」
「おやおや、それは無理だとおっしゃるのですか???それは残念ですねえ……」
お父様は一瞬案じました。すると……???
「大変だ!!!誰か来てくれ!!!!!」
ポワソン様の声が王宮内に響きわたりました。そして、皇帝陛下の部屋にそのまま入って来たのでした。
「ああ、ロバート。ポワソンを止めるんだ……」
お父様と皇帝陛下のやり取りを見物されると再び話が厄介になる……そう思った皇帝陛下はポワソン様が部屋に入って来るのを阻止しようとしました。でも、ポワソン様があまりにも勢いよく走ってくるため、ロバートが軽めに体当たりをしても、その動きを止めることはできませんでした。
「皇帝陛下!!!!!」
「今はお客様の対応をしているところだ!!!!!」
皇帝陛下は叫びましたが、ポワソン様は聞く耳を持ちませんでした。
「そんなことはどうでもいいのです!!!!!」
いやいや、どうでもいいわけないのですよ。皇帝陛下と客人が話をしている場に、いくら王子様とは言え、関係のない人間がのこのこと入って来るのは、非常に失礼なことでした。
「皇帝陛下、私の友人が死にました!!!!!」
ポワソン様はそう言いました。
「既に警察を手配、王宮の出入り口を封鎖しました!!!!!」
「だから……そんなことを一々報告する必要があるのか???」
皇帝陛下は呆れかえっておりました。王子様の友人が死ぬなんて、大した問題ではありませんでした。それ以上に、お父様と話をする方が何百倍も大切だったのです。
「犯人はまだこの王宮のどこかに隠れているのでしょう。探してきます!!!!!」
そう言って、再び部屋から出ていきました。再び静まり返って、皇帝陛下とお父様が対峙しました。
「騒がしくて申し訳ない……」
「いえいえ、いいご子息を持たれて幸せですな……」
お父様の言葉には十分な皮肉が込められておりました。
「ひょっとして……」
「ああ、皇帝陛下。話を続けましょうか」
「…………はいっ……」
皇帝陛下は薄々気が付いていたのかもしれません。お父様が案ずるだけで、人の命を吹き飛ばすくらい、容易いことでした。まあ、これが一つ、ポワソン様に対する復讐のつもりだったのでしょうか。本当、私にとってはどうでもいい話だったのですがね。
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