婚約破棄を宣告した王子は慌てる?~公爵令嬢マリアの思惑~

岡暁舟

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「これより、新しい皇帝の即位式を挙行致します!!!」

それから1カ月ほど経過して、お兄様が皇帝となる日がやって参りました。お兄様は演説を行い、旧態依然とした王家の批判、そして、今ではすっかり落ちぶれたポワソン様を処刑しました。

ポワソン様が処刑される様子を、民衆は静かに見守っておりました。グロテスクかもしれませんが、なんだかんだ言って、たくさんの野次馬が集まりました。

処刑が滞りなく行われると、お兄様は次の演説を始めました。

まあ、私にとってはこの演説が最も印象に残っているわけなのですが……結果として民衆の心を引き寄せることとなりました。

「ええ、私は妃に妹のマリアを迎え入れたいと思います。彼女は私が最も愛する妹……という枠組みを超えて、もはや一人の女性としてしっかり愛しているわけでございますゆえ……マリアも私の気持ちを理解してくれるものと信じております。おーい……マリア!!!」

私はお兄様に導かれて、式場に上がりました。

そうです、結果として私はお兄様の気持ちを受け入れることにしました。まあ、確かにここまで私のことを愛してくれる人って、お兄様とお父様くらいしかいませんでしたから。おかしいと笑う人がいるかもしれません。でも、これが私の出した結論……もちろん、皇帝となったお兄様の前で声を大にして異論を唱える者など、誰一人としていませんでした。

「さあ、マリア。新しい未来を作っていこう。この世界のため……そして、私たちのため……」

お兄様に抱きかかえられて……お兄様は優しい顔をしておりました。私は最後にお兄様の優しい顔を強烈に目に焼き付けることとなりました。


*************************************************


突然、身体が動かなくなり、そのまま空を見上げる形になってしまいました。この日の空は青かった。お兄様の声が響きましたが、よく分かりませんでした。とにかく、景色は変わらなかった……私を抱きしめてくれたお兄様の優しさでいっぱいでした。そして、その景色はこれから何年も続くんだろうと思いながら、全てが止まったのでした。
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