やんちゃな公爵令嬢の駆け引き~不倫現場を目撃して~

岡暁舟

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「あの女のことが憎い……なんとかしなければ……」

 そんな声が聞こえてくる。きっと、私からトスカーナ様のことを奪った王女様の声なんだろう。毎晩毎晩夢を見る。トスカーナ様と王女様が仲睦まじく生活している姿を。別に我慢するとかそういうことじゃないけど、このまま何もせず、というのは嫌なんだ。

 私は、このまま王宮に行こうと思った。王宮に行って、トスカーナ様を武力行使で奪還しようと思った。案外簡単なのでは……私は作戦を立てた。


「一度謝罪にきたんですうううっ……」

 まずは破門された学院に乱入した。

「君は……この学院から破門されているはずだがっ?」
 
 学院の玄関で、いきなり足止めを食らってしまった。

「ええ、ご存じの通り、私は正式に王女メアリー様に謝罪をしたいんですううっ!」


 私って可愛い?それとも健気?どっちでもいいけど、しっかりアピールして!


「おい、どうするんだ?」

 門番たちは勝手に議論を始めた。

「仮にそうだとしても……部外者を学院に入れることは出来ないし……」

 門番たちのシンキングタイムが続く中、とある馬車が玄関に差し掛かった。馬車を引き連れてやって来る令嬢、それなりの地位のある令嬢と確信した……あれ、どこかで見たことのある顔だった。


「そこで何をしているのかしら?」

 門番たちは馬車を確認して直ちに敬礼を行った。学院の生徒に敬礼をすることがあるんだ……これはやはり、相当地位の高い令嬢ってことなんだな……。


「ああ、失礼いたしました。いや、何分にも元学院生の令嬢殿が王女メアリー様に直接謝罪をしたいと言ってきて…どう対応すればいいのか分かりかねるところなんですよっ……」

 令嬢はすぐさま、「それならば私の許可でお通ししなさい」と答えた。

「承知いたしました。それでは……セレウス様の許可に基づきまして、この令嬢の通行を許可します……」


 セレウス……記憶にあった。学院のトップが確か、セレウス公爵とか言ったっけ……と言うことは、こちらの令嬢は学院長の親戚ということか。道理で……王女様とも親しいわけだ、と納得した。


「一度は逃げてしまったのに、戻って来るだなんて、よっぽど私たちの拷問を受けたいのかしら!?」


 この令嬢も相当変わり者だと思った。まあ、何はともあれ、作戦は順調に進みそうだった。
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