【完結】それでも僕は貴方だけを愛してる 〜大手企業副社長秘書α×不憫訳あり美人子持ちΩの純愛ー

葉月

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2度目の… ①

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 店内も賑やかになり出した午後9時ごろ。

「瑞稀、ちょっと…」

 カウンター内で、かすみと奈子の話を聞きながら、他の客のカクテルを作っている時に、瑞稀はオーナーに呼ばれた。

「はい」

 なんだろう?と思いながら、オーナーの後をついていきスタッフルームに入る。

「瑞稀、今から晴人さんに連絡を入れて、今日はもう帰った方がいい」

「え?どうしてですか?」

 オーナーが言った意味が分からず、聞き返す。

「微かにだが、フェロモンが出始めている」

「え!?だってまだ…」

ヒートになるには1週間早い。
それに体調の変化もなくて、いつもと変わらないのに…。

「俺はベータだけど昔から鼻は良くて、フェロモンの香りに敏感なのと、表情のとか雰囲気でわかるんだ。ここはタバコの匂いも、客の香水の匂いもあって、まだ分からないと思うが、多分もう少しフェロモンが出始めたら、気付く奴も出てくる」

「!!」

「だから今日は早めに帰ったほうがいい。晴人さんと連絡取れるか?」

 心配そうに瑞稀をみるオーナーに対して、首を横に振る。

「今日は学会で帰りが遅いんです…。だから連絡はしたくないんです」

どうしよう…。
どうしよう…。
どうしよう…。

 不安が募るが、

迷惑をかけたくない…。

 そんな気持ちもあった。
 が裏腹に、脳裏では初めてヒートになった時のことが、思い出される。

あの時は晴人さんがいたてくれたから大丈夫だったけど、今はいない。
もしこんな状態でヒートになったら…。
もし他のアルファに気づかれたら…。

部屋を出る前に熱っぽかったのも、頭痛がしてたのも、ヒートこのせいだったんだ。
あの時気づいていれば…。
もし、晴人でないアルファに襲われたら、抵抗できない…。

 恐怖で震え出す。

「それでも、晴人さんに連絡を…」

 オーナーが連絡を入れるように促すが、瑞稀は首を横に振る。

「今日の学会で、晴人さんずっとしていた研究を発表するんです…」

 今回の学会で学生の頃から研究していた結果が出て、ようやく発表できることになった。
 瑞稀は研究に力を注いでいた晴人の姿を間近でみて来た。
 だからどうしても、自分のことで邪魔はしたくなかった。

「わかった。じゃあすぐに運転手が女性ベータのタクシーをよんでやるから、かすみちゃんに付き添ってもらって帰るといい」

「え…?」

でもかすみさんが抜けたら…。

「本当は俺が責任を持って送り届けたいが、こう言う時は女性のほうが、安心だろう」

 オーナーはどこまでも瑞稀の体と気持ちを心配している。

「ありがとう…ございます」

 徐々に瑞稀の体は火照りだし、ふらふらし始めだした。

「店のことは心配するな。新しいスタッフもいるし何とかなる。今は自分の体のことだけ考えてたらいい」

 そう言うと、オーナーは急いで瑞稀をソファーで寝かせると、タクシー会社に電話をする。

「かすみちゃんを呼んでくるから、ちょっと待ってろ」

 部屋の鍵を閉めて、かすみを呼びに部屋のドアのぶに手をかけた時、

「オーナー…ご迷惑をかけてしまって…すみません…」

 自分の情けなさに、涙が出る。

「いいよ、そんなこと思わなくて。瑞稀は俺にとって、大事な弟みたいなもんだからな」

 くしゃくしゃと瑞稀の頭を撫で、部屋を出た。

 1人部屋に残された瑞稀は、急に不安とこれからどうなっていくのか?という恐怖が襲いかかってくる。

晴人さん、晴人さん、晴人さん…。

 涙で視界が歪む。
 その時、部屋のドアがガチャガチャと言う音がして、ドアが開かれる。

誰!?
怖い!!

 瑞稀の体に力が入り、目をぎゅっときつく閉じると、

「瑞稀くん!」

 入って来たのは、慌てたかすみだった。

「オーナーがタクシー呼んでくれて、あと2、3分で来てくれるって。私もついてる。絶対大丈夫!こう見えて、私、ボクシングしてるから」

 瑞稀の気持ちが少しでも和らぐように、かすみは力こぶを見せる。
 かすみの笑顔に、瑞稀の不安も少し薄れる。

「かすみさん…、ごめんなさい…」

 ハァハァと瑞稀の息が上がり、意識も朦朧としてきた。

「いいのよ。困った時は、お互い様」

 かすみはあえて、急にヒートになってしまったことを、取るに足らないことのように言った。

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